2008年06月08日

LOST season 4

ようやく全部見た。
脚本家ストの影響で当初の話数より大分短縮されたらしいが、そのためにかえって一話一話の密度が濃くなったのかも。S1〜S3に比べると展開が速い。

相変わらず自分たちが何に巻き込まれているのかほとんどあずかり知らないジャックたち主人公が島を脱出しようと奔走する背後で、ベンとチャールズ・ウィドモアの巨大なスケールの対決構図が徐々に浮かび上がるという陰謀サスペンス風の描き方が楽しめた。

これだけスケール広がってくるとS5、S6の30話程度で無事完結するか心配になってくるが、LOSTの天才脚本家集団なら中途半端に妥協することなく最後までクオリティの高さを維持してくれそうな気がする。そのクオリティの高さのためにはシーズンごとに間隔開くのは仕方ないにしても、S5が開始するまでまた半年以上待たなくてはならないのはじれったい。とりあえずDVDセットで購入してS1E1からじっくり見直していこうかな、と思っている。あとは2chのLOSTオチ予想スレを見ながら想像を膨らませて楽しむぐらいですかね。
posted by chocolala at 15:44 | Comment(1) | TrackBack(0) | TVシリーズ
2008年06月07日

デジャヴ

トニー・スコットの作品は「ドミノ」以来だが、なかなか面白かった。

デンゼル・ワシントンがフェリー爆破犯を追うという何の変哲もなさそうなクライム・サスペンスに始まるんだが、中盤からSF的プロットが絡まってきて段々面白くなる。犯人の過去の足取りを衛星からのストリーミングで追跡するシステムが実は過去とつながったワームホールだというアイデアはよい。このワームホールをうまく使い過去と現実を錯綜させるスピード感あふれる演出は離れ業で、特に秀逸なのが、デンゼル・ワシントンがゴーグルからワームホールを通じてみる過去で犯人を追いながら現実世界でカーチェイスするシーン。異様なトリップ感覚が楽しめる。

けっこう好きな類の作品なんだけど、タイトルが平凡なせいかまったくアンテナに引っかかってなかった。
それにしてもしばらく見かけなかったヴァル・キルマーがいつの間にやら太った中年にまる変わりしていたのは驚き。

posted by chocolala at 00:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | クライム
2008年06月01日

「タイム・オブ・ザ・ウルフ」

またミヒャエル・ハネケの作品を見る。

これまた最初から最後まで陰鬱の一言に尽きる作品だった。
詳しい背景は語られないが、水質汚染と食糧不足のカタストロフに見舞われたヨーロッパの田舎で、夫を殺された妻(イザベル・ユペール)と娘・息子が放浪する。同じように行き場のない難民たちが線路脇の掘建て小屋に集い、いつか列車がきて彼らを絶望の地から連れ去ってくれるとはかない希望を抱く。

この掘建て小屋での難民の生活の描写が、ハネケ独特の暗く、緊張感に満ちた視点に満ちている。物語的に面白いことがおきるようなエンターテインメント要素は皆無で、見ている間はひたすら登場人物たちの殺伐とした心理の綾や憎悪の只中にさらされてるような不快感だけがある。しかし、人間の汚い部分だけを好んで描きたがるだけの厭世的な作品というわけでもなく、途中で出てくるレイシスト男がラスト近くで自殺を図ろうとする少年を慰めたりと、シロとクロで割り切れない複雑な人間描写がハネケらしい。

基本的に余計なカットは入れず、オフスクリーンで語りたがる監督なのだが、それだけに突然レイプシーンとか馬を殺すシーンがくると衝撃が大きい。短いワンカットながら背筋にぞわっとくる恐怖がある(馬を殺すのは基本、賛成できないが)。

イザベル・ユペールも狂気と紙一重の状態にいる妻をよく演じているが、娘のエヴァ役が非常に印象的だった。

posted by chocolala at 22:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ
2008年05月08日

隠された記憶

ハネケの作品をちゃんと見てみようと思ってたら、タイミングよくBSで「隠された記憶」をやっていた。

自分たちの住まいを撮影したビデオテープが夫婦のもとに届けられる。。というプロットに、「ロストハイウェイ」のぱくりかよ、というつっこみよりはむしろ、このご時勢いまだにカセットテープかよ、という思いを強く感じた冒頭だったが、そんなどうでもいいつっこみもすぐに忘れてしまう内容の濃さだった。

残忍なシーンが何度もあるわけではないのにやたら濃密なテンション。というか、あの鶏のアレとアルジェリア親父のアレと、キラーな描写を2発に抑え、あとはあえて暴力シーンを過剰に乱用せずひたすら静謐なカットに終始することで、通常のシーンでもあれだけ張り詰めた空気を出すことに成功していると思う。こういう空気の演出というのは映画芸術ならでは。

事件の真相についてはウェブで調べるといろいろ推論・議論が出てくるのであえてふれないが、ここここが参考になった。
私自身は最後の一見何の変哲もないカットに何が写ってるか分からなかったので、へぇーって感じ。
ただ、犯人はこいつ(ら)かと大体納得したとしても妙な後味の悪さが起こる。それは主人公の嘘をつくやましさによって再構築された視点からフィルタリングされた事件を見ているがために、提示されたままのことが真相だと割り切れない残余感が最後まで消えないことによる。このへんの気持ち悪さを感じさせる件をひとつ。アルジェ親父のアレだけは、主人公以外の人物にビデオとして届けられない。これは、かなり主人公のファンタズム的な解釈につながるヒントになりうるかも。

ストーカー的な事件を題材にした映画はくさるほどあるが、たいていの場合単なる幼稚なフリークス趣味に終わることが多い中、この作品はそうした事件の裏に潜む心理の綾を複雑緻密に描いていて、単なるサイコスリラーで終わらせず、鑑賞を終えた後でも観客に問題を突きつけ続ける異様な力がある。

「ピアニスト」「ファニー・ゲーム」と見たが、いまのところこれが一番好きかも。映画は最近興味薄れつつあるのですが、再びシネフィル道へ揺り戻してくれる契機を与えてくれそうなクオリティの高い作品でした。

posted by chocolala at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ
2008年04月30日

「顔のない眼」「ファニーゲーム」

しばらく映画を見てなかったが、ツタヤの会員証期限切れで更新ついでに何か借りることにした。なんとなく気がめいるような映画が見たい気分で、選んだのはフランスの古典ホラー「顔のない眼」と、ミヒャエル・ハネケのウルトラ・バイオレンス映画「ファニー・ゲーム」。

「顔のない眼」は、事故で顔がぐちゃぐちゃになった娘に顔面移植するため、外科医が若い女をさらって犠牲にするというストーリー。私は極度の医療恐怖症で、注射打つシーンだけでも身震いするのだが(そのくせ、スプラッタの首チョンパシーンは割りと平気だったりする。。なぜ?)移植手術シーンの気持ち悪さは卒倒寸前だった。
ホラー映画としての出来はさておき、修復できない傷を負った女性というテーマが心理的にかなりつらい。



「ファニーゲーム」は、若い異常者2人が別荘地の家族の家に侵入し地獄のような責め苦を味あわせるサディスト映画。残虐な描写に、もうやめろと目を覆いながらも指の間から見てしまうある種不道徳的な快感というか、異常な事件に同情しながらも覗き見的好奇心を抑えられない自分の中の黒い欲望をまざまざと見せ付けられる暗い興奮がある。しかもハネケときたら、客のそうしたいやらしい欲望をあおるように、異常者2人にカメラ目線で「まだまだ映画の尺は残ってるんだぜ。お楽しみはこれからだ」みたいなことを言わせたりと、趣味の悪いメタ映画的な小細工を仕込んでるものだから腹が立つ。

個人的に見ていて最後の最後までこの種の不快感から解放されなかったのは、パゾリーニの「ソドム」と、イーライ・ロスの「ホステル」、それにこの「ファニー・ゲーム」ぐらいか。

ハネケの映画は他に「ピアニスト」しか見てないが、あれも後味の悪い作品だった。それにしてもこのおっさん、相当病的である。先日、オーストリアで自分の娘を24年間監禁して子供を7人生ませた鬼畜じじいがつかまったショッキングな事件があったが、こうした事件にも通底する異常さをとらえる視点には独特のものがある。他の作品もみたくなった。

ちなみに「ファニー・ゲーム」は2007年、ハネケ自身がアメリカバージョンとして新たにリメイクしている。いたぶられる夫婦役にナオミ・ワッツとティム・ロス、異常者役にはマイケル・ピットという面白い配役。しかしまあもう一度このひたすらイライラする作品を見る気になるかどうか。。

posted by chocolala at 22:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス・ホラー
2008年01月23日

ヒース・レジャー死去

こないだブラッド・レンフロが死んだと思ったら、また若い役者の訃報でさすがにぎょっとする。「ブロークバック・マウンテン」でゲイのカウボーイを演じたヒース・レジャー。

死因は薬物多量摂取とのこと。どっちかというと、ジェイク・ギレンホールの方がこういう運命たどりそうな感じだけど。ご冥福を祈ります。
posted by chocolala at 19:04 | Comment(1) | TrackBack(0) | 雑感
2008年01月14日

硫黄島からの手紙

「父親たちの星条旗」より2作目のこっちを推す声が多いが、やはり日本側からの視点で描かれていることだけあり、深く共感するところが多かった。アメリカ映画にありがちな偏った日本のイメージも特になく、ここらへんのフェアな視点はさすがイーストウッド。

心情に訴えるドラマ仕立てになっているので、硫黄島をめぐる戦争のディテールがかなり荒っぽく削られているのは仕方ないが、個人的には、硫黄島戦最大の醍醐味である地下壕モグラ作戦をもう少しクローズアップしてほしかったのと、すり鉢山陥落があっさりしすぎなのは多少残念。
海軍主導の水際迎撃作戦の撤回から地下壕構築による「一人十殺」の歩兵戦闘への転換という、栗林中将が指揮においてカリスマ性を発揮する天才軍人ぶりをもっとよく知るには柘植久慶の「栗林忠道」がお勧めです。

それにしても、本土から見捨てられたこの孤立した島で、死ぬ以外に何の選択肢もなく若い命を散らしていく兵士の恐怖は想像を絶する。自分だったらとにかく隙をついて逃げることしか考えないんじゃないか、と映画を見ている間何度となく思ったが、投降しても撃たれるし、洞窟のどこかに隠れるか死んだふりし続けても、食料もない、水もない(それでも、あの手榴弾自爆を選ぶぐらいなら餓死の方がましだ)。
危険の届かない作戦室から、物資も援軍もよこさず使い捨て兵士に玉砕させるだけの大本営の無能ぶりはすさまじい怒りを覚えるし、こうした狂気の状況がたかだか60余年前のことだと思うと背筋がぶるっとする。



posted by chocolala at 15:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 戦争