監督シドニー・ルメット、出演フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、2007年アメリカ。
ホフマンとホーク。好きな役者なのでこの二人が兄弟役という掛け合わせは興味深い。ホフマン演じる兄貴アンディは不動産業の中核幹部。ホーク演じる弟のハンクは万年金欠で小学生の娘からもルーザー呼ばわりされる決断力と肝っ玉に欠ける中年男。
兄はハンクがあまり好きではなく、というか親父がデブルックスの自分よりチャーミングなハンクを可愛がっていたことからコンプレックスを抱いている。そんな親父とハンクへの復讐心が動機なのかどうかは明白には示されないが、アンディが企む宝石店強盗の背後に潜む暗い怨念の源流になっていることは間違いない。
そしてこの宝石店というのが、アンディとハンクの両親が営む店で、犯罪計画が滑りハプニングから母親が撃たれてしまい、2時間たっぷりかけて描かれる兄弟の悲劇の始まりとなる。
中盤ぐらいまでは、社会的に認められたポジションにいて「6桁の給料を稼ぐ」アンディがなぜあえて数万ドルの金のために両親の宝石店を襲うのか、というシチュエーションに無理やり感を感じずにはいられなかったが、そもそも自分は手をかけず弟にやらせるという点からして、金とは離れた暗い心理的なモチーフが蠢いているんですね。それに対して弟のほうは金、金、金、金のことしか頭にない。この、愛に飢えた兄と金に飢えた弟の犯罪の目論みが段々横滑り崩壊していく描写はなんともいえないやりきれなさがある。
しかし正視しづらい不幸ぶりにやりきれなさを感じながらも、終盤のホフマンの暴走ぶりはレールを外れすぎていて笑いすらこぼれてしまう。あの、失敗したディカプリオみたいな陰険なルックスで、自分の置かれた現状への不満をぐちぐちこぼし、負のエネルギーを蓄積していき、クライマックスで一気に臨界点に持ち込んで爆発させる。このキャラ作りはさすがに巧い。
というわけで、なかなかアメリカのボトムをよく捉えた正統派の悲劇という印象でした。
それにしてもマリサ・トメイ。こないだ見た「レスラー」とこれと、短い期間の2作でフルヌードの披露とは。もともとこういう女優なんでしたっけ?確かに、ホフマンが車内で叫んでいるなか、助手席に座っているシーンとか見ても演技力は△レベルなので、肉体でいかないと厳しいのかという気もするが。。何か焦っているのか?
2009年07月04日
その土曜日、7時58分
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| 正統派ドラマ
ヘルボーイ ゴールデン・アーミー
監督ギレルモ・デル・トロ、出演ロン・パールマン、サルマ・ブレア、ダグ・ジョーンズ他、2008年、アメリカ映画。
パート1も面白かったが、パート2はさらに面白くなっていて期待をまったく裏切られることがなかった。
褒めたいところはやまほどあるが、やはり何はさておきあのCG世界は圧巻で、パート1の後にダーク・ファンタジーの傑作「パンズ・ラビリンス」を挿んだせいもあってか、ますますグロテスクかつ魅惑的な映像技術がパワーアップしているように思う。
無敵の軍隊「ゴールデン・アーミー」を蘇らせようとする王子とその双子の妹、生き物の肉体を食い散らすピラニアのようなはたまた軍隊アリのような「歯の妖精」、ゼルダかFFのボスキャラにでも出てきそうなビジュアルの森の神、ドイツ語訛りの言葉でヘルボーイを挑発的に指導するガス状生命体クラウス博士(ヘルボーイはナチスとの因縁があるからドイツ人が嫌いなのですね)。よくもまあこれだけ奇天烈なキャラクターを次から次に生み出せるものだと感服してしまう。
役者的には、こう言ってはなんだが2流クラスの人たちがほとんどなのだけど、奇妙なビジュアルの力でうまく魅力を引き立てられている。
主役のロン・パールマンなんて60近い年齢だそうだが、全くそんな年に見えない(この人は「ゴールデン・アーミー」の撮影がなければピッコロ大魔王を演じることになってたようだ)。
終わり方がなかなか綺麗さっぱりだったので、このままパート2で完結してもよいのでは、と思うところだが、パート3を示唆するようなアウトテイクも撮られているとのことで、続編の可能性はありそうだ。
パート1も面白かったが、パート2はさらに面白くなっていて期待をまったく裏切られることがなかった。
褒めたいところはやまほどあるが、やはり何はさておきあのCG世界は圧巻で、パート1の後にダーク・ファンタジーの傑作「パンズ・ラビリンス」を挿んだせいもあってか、ますますグロテスクかつ魅惑的な映像技術がパワーアップしているように思う。
無敵の軍隊「ゴールデン・アーミー」を蘇らせようとする王子とその双子の妹、生き物の肉体を食い散らすピラニアのようなはたまた軍隊アリのような「歯の妖精」、ゼルダかFFのボスキャラにでも出てきそうなビジュアルの森の神、ドイツ語訛りの言葉でヘルボーイを挑発的に指導するガス状生命体クラウス博士(ヘルボーイはナチスとの因縁があるからドイツ人が嫌いなのですね)。よくもまあこれだけ奇天烈なキャラクターを次から次に生み出せるものだと感服してしまう。
役者的には、こう言ってはなんだが2流クラスの人たちがほとんどなのだけど、奇妙なビジュアルの力でうまく魅力を引き立てられている。
主役のロン・パールマンなんて60近い年齢だそうだが、全くそんな年に見えない(この人は「ゴールデン・アーミー」の撮影がなければピッコロ大魔王を演じることになってたようだ)。
終わり方がなかなか綺麗さっぱりだったので、このままパート2で完結してもよいのでは、と思うところだが、パート3を示唆するようなアウトテイクも撮られているとのことで、続編の可能性はありそうだ。
posted by onion_slice at 01:22
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| アクション
2009年06月27日
刑事コロンボ「4時02分の銃声」
原題"Butterfly In Shades Of Grey"(1993)
ラジオパーソナリティのフィールディング・チェイス(ウィリアム・シャトナー)は、血のつながらない娘ヴィクトリア(モリー・ヘイガン)が自分の手を離れ作家として自立して生活する意思をもつことに猛烈に反対し、彼女の出版への手助けをする自分の部下を殺害する。
ウィリアム・シャトナー。特に役者として注目したことはないが、TVシリーズの犯人役クラスとしてはなかなかの貫禄で、コロンボとの対決シーンは新シリーズの中でかなりいい線を行っていると思う。
娘ヴィッキー役のモリー・ヘイガンは新シリーズのどこかで以前に見た記憶があり、調べたら「狂ったシナリオ」に出ていた。
携帯電話が殺人の偽装アリバイトリック崩しの重要なアイテムになるわけで、それなりに楽しめたんだけど、コロンボが「うわさでは携帯でずっと話してるとぼけないらしいですよ」と言っているのが今となってはかなりつらい皮肉に聞こえる。もしそれがそうならアルツハイマーのP.フォークの耳元に携帯をかざし、ファンからのメッセージを届け続けて、コロンボ警部を再生させてほしい。
エピソード満足度:7/10
ラジオパーソナリティのフィールディング・チェイス(ウィリアム・シャトナー)は、血のつながらない娘ヴィクトリア(モリー・ヘイガン)が自分の手を離れ作家として自立して生活する意思をもつことに猛烈に反対し、彼女の出版への手助けをする自分の部下を殺害する。
ウィリアム・シャトナー。特に役者として注目したことはないが、TVシリーズの犯人役クラスとしてはなかなかの貫禄で、コロンボとの対決シーンは新シリーズの中でかなりいい線を行っていると思う。
娘ヴィッキー役のモリー・ヘイガンは新シリーズのどこかで以前に見た記憶があり、調べたら「狂ったシナリオ」に出ていた。
携帯電話が殺人の偽装アリバイトリック崩しの重要なアイテムになるわけで、それなりに楽しめたんだけど、コロンボが「うわさでは携帯でずっと話してるとぼけないらしいですよ」と言っているのが今となってはかなりつらい皮肉に聞こえる。もしそれがそうならアルツハイマーのP.フォークの耳元に携帯をかざし、ファンからのメッセージを届け続けて、コロンボ警部を再生させてほしい。
エピソード満足度:7/10
posted by onion_slice at 20:49
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| TVシリーズ
2009年06月22日
レスラー
監督ダーレン・アロノフスキー、出演ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、2008年アメリカ映画。
久しぶりに新作を外で見る。J.J.エイブラムスのスタートレックか、レスラーか直前まで迷ったが、こないだ亡くなった三沢のこともありプロレス物を見ようと決意。
結論からいうと、スタトレにしとけばよかったと軽く後悔することになる。
ミッキー・ロークが演じる老いと孤独に直面するレスラーに共感しないわけではもちろんなく、いい映画かもしれないと思った瞬間もいくつかあったけれど、脚本が悲惨すぎる。日本のテレビドラマ作家でさえこれぐらいなら書けてしまいそうだ。
まあ脚本の陳腐さは、ミッキー・ロークの哀愁の混じった独特な野性的存在感の面白さである程度は補えていて、駄作と切り捨てるのは性急すぎる気がする。
スポーツ映画というのは、純粋にスポーツだけに焦点当てても映画にする意味ないので、必然的に登場人物の人生をドラマとして描写することになり、家族との不和とか肉体的な限界からくる苦悩が出てくるわけだけど、そういう苦悩を克服して競技の中で自己を取り戻していくという
昔ながらのストーリーラインが崩しがたく存在し、どうしても構成上似たようなワンパターンな物語になりやすい。
だから演じる役者が単に巧いだけでは駄目で、演技のメソッドを超えて、登場人物の感じる限界や自分という存在に対して抱く疑問、切迫した感情がダイレクトに伝わってくるかどうかが、映画として見るに耐えうるかどうかの要点になる。
そういう意味では、ミッキー・ロークの演じるランディは確かに見る者のハートを打つ強烈な輝きをもっていると思う。ロークのファンなら脚本の陳腐さなど意にかけず純粋に楽しめるのではないでしょうか。
他に見所としては、プロレスシーンがなかなかえぐい(ホチキス責め!)のと、マリサ・トメイがもう40代半ばなのにおっぱいぶるんぶるんでストリッパー役こなしているところだろうか。
久しぶりに新作を外で見る。J.J.エイブラムスのスタートレックか、レスラーか直前まで迷ったが、こないだ亡くなった三沢のこともありプロレス物を見ようと決意。
結論からいうと、スタトレにしとけばよかったと軽く後悔することになる。
ミッキー・ロークが演じる老いと孤独に直面するレスラーに共感しないわけではもちろんなく、いい映画かもしれないと思った瞬間もいくつかあったけれど、脚本が悲惨すぎる。日本のテレビドラマ作家でさえこれぐらいなら書けてしまいそうだ。
まあ脚本の陳腐さは、ミッキー・ロークの哀愁の混じった独特な野性的存在感の面白さである程度は補えていて、駄作と切り捨てるのは性急すぎる気がする。
スポーツ映画というのは、純粋にスポーツだけに焦点当てても映画にする意味ないので、必然的に登場人物の人生をドラマとして描写することになり、家族との不和とか肉体的な限界からくる苦悩が出てくるわけだけど、そういう苦悩を克服して競技の中で自己を取り戻していくという
昔ながらのストーリーラインが崩しがたく存在し、どうしても構成上似たようなワンパターンな物語になりやすい。
だから演じる役者が単に巧いだけでは駄目で、演技のメソッドを超えて、登場人物の感じる限界や自分という存在に対して抱く疑問、切迫した感情がダイレクトに伝わってくるかどうかが、映画として見るに耐えうるかどうかの要点になる。
そういう意味では、ミッキー・ロークの演じるランディは確かに見る者のハートを打つ強烈な輝きをもっていると思う。ロークのファンなら脚本の陳腐さなど意にかけず純粋に楽しめるのではないでしょうか。
他に見所としては、プロレスシーンがなかなかえぐい(ホチキス責め!)のと、マリサ・トメイがもう40代半ばなのにおっぱいぶるんぶるんでストリッパー役こなしているところだろうか。
posted by onion_slice at 17:07
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| 正統派ドラマ
2009年06月21日
オリバー・ツイスト
監督ロマン・ポランスキー、出演バーニー・クラーク、ベン・キングスレー他、2005年、フランス=イギリス=チェコ。
誰もが知ってる文芸作品の映像化は地味に見えながら、あらかじめ評価の定まった文豪の名作ということで、素材がよいだけに料理の腕の差が歴然と出るジャンルである気がする。
古典がどうしても退屈に思えてしまう現代の観衆に訴えかけるために、駄目な料理人=映画作家は古典の舞台をただ現代に置き換えるだけでごまかしたりするが、大抵、新鮮なのは始めの一口だけで、素材と味付けがちぐはぐなので飽きてくることが多い。
そんな中、ポランスキーの「オリバー・ツイスト」は原作をできるだけ忠実に、オーソドックスに再現し、かつ視覚芸術としての映画表現をぎりぎりまで追求した労力の結晶のような作品だ。19世紀のヴィクトリア朝ロンドンを再現しただだっぴろいセット空間と、その空間を行きかう老若男女の生活感漂うリアリティは舌を巻いてしまう。
難点は、主人公のオリバー君が可愛いんだけど影が薄すぎることで、作品の中盤ぐらいからどんどん目立たなくなって空気化していってしまう。しかしこれは原作自体がそうだから仕方ないが、ここだけはあえて原作改ざんに踏み切って独自に脚色してもよかったのでは、とも思う。
CSでやってた「テス」も録画したので見てみるか。しかし長いんだよな。。
誰もが知ってる文芸作品の映像化は地味に見えながら、あらかじめ評価の定まった文豪の名作ということで、素材がよいだけに料理の腕の差が歴然と出るジャンルである気がする。
古典がどうしても退屈に思えてしまう現代の観衆に訴えかけるために、駄目な料理人=映画作家は古典の舞台をただ現代に置き換えるだけでごまかしたりするが、大抵、新鮮なのは始めの一口だけで、素材と味付けがちぐはぐなので飽きてくることが多い。
そんな中、ポランスキーの「オリバー・ツイスト」は原作をできるだけ忠実に、オーソドックスに再現し、かつ視覚芸術としての映画表現をぎりぎりまで追求した労力の結晶のような作品だ。19世紀のヴィクトリア朝ロンドンを再現しただだっぴろいセット空間と、その空間を行きかう老若男女の生活感漂うリアリティは舌を巻いてしまう。
難点は、主人公のオリバー君が可愛いんだけど影が薄すぎることで、作品の中盤ぐらいからどんどん目立たなくなって空気化していってしまう。しかしこれは原作自体がそうだから仕方ないが、ここだけはあえて原作改ざんに踏み切って独自に脚色してもよかったのでは、とも思う。
CSでやってた「テス」も録画したので見てみるか。しかし長いんだよな。。
posted by onion_slice at 17:07
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| 正統派ドラマ
twitterはじめます!
映画見ても、まとまった文章書くのが面倒でブログに載せてないものも沢山あります。ということで、140文字で済むtwitterを試験的に始めてみますので、フォローしてくれる方いましたらよろしくお願いします。。まだ登録しただけなので使い方分かってません。
http://twitter.com/onion_slice
http://twitter.com/onion_slice
posted by onion_slice at 12:38
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| その他
刑事コロンボ「恋におちたコロンボ」
原題"It's All In The Game"(1993)
2人の女性が自分たちをもてあそんだプレイボーイを共謀して殺害。
うち一人のローレン(フェイ・ダナウェイ)は第1発見者かつ、恋人を亡くした不幸な女性を演じコロンボに近づき捜査の目をそらそうとする。コロンボはローレンが犯人だと感じつつも彼女の魅力にひきつけられてしまう。
タイトル通り確かにコロンボが恋におちてしまう。カミサンカミサンが口癖の熱烈な愛妻家キャラかと思いきや、実は浮気願望が。。?とコロンボの新たな一面が見えるエピソード。
トリック的にはパンチがない。謎の共犯者の存在が電話の通信記録一発でばれるなど味気なさが随所にある。が、コロンボと孤独を抱えた大富豪の女性が、刑事‐容疑者という緊張関係にありながら段々恋愛に近い感情を抱いていく筋書きは悪くない。フォークが脚本を書いた唯一の作品でもある。
エピソード満足度:6/10
2人の女性が自分たちをもてあそんだプレイボーイを共謀して殺害。
うち一人のローレン(フェイ・ダナウェイ)は第1発見者かつ、恋人を亡くした不幸な女性を演じコロンボに近づき捜査の目をそらそうとする。コロンボはローレンが犯人だと感じつつも彼女の魅力にひきつけられてしまう。
タイトル通り確かにコロンボが恋におちてしまう。カミサンカミサンが口癖の熱烈な愛妻家キャラかと思いきや、実は浮気願望が。。?とコロンボの新たな一面が見えるエピソード。
トリック的にはパンチがない。謎の共犯者の存在が電話の通信記録一発でばれるなど味気なさが随所にある。が、コロンボと孤独を抱えた大富豪の女性が、刑事‐容疑者という緊張関係にありながら段々恋愛に近い感情を抱いていく筋書きは悪くない。フォークが脚本を書いた唯一の作品でもある。
エピソード満足度:6/10
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| TVシリーズ
