2009年01月31日

刑事コロンボ「白鳥の歌」

原題"Swan Song"。製作1974年。

人気カントリー歌手トミー・ブラウン(ジョニー・キャッシュ)は自分の音楽活動で得た収入のほとんどを妻エドナ(アイダ・ルピノ)に握られており、エドナの信仰する宗教の礼拝堂建築へ金がつぎ込まれるのが我慢ならない。エドナと、トミーの弱みを握る若い女性の殺害を決意したトミーは所有する小型飛行機に二人を乗せ、墜落事故に見せかけて殺し自らは機体から投げ出されたように偽装して脱出を図る。

このエピソードはなんと言ってもジョニー・キャッシュの渋さにつきる。
犯行はとても大胆なんだけど、普段の彼は特異な人間的魅力を備えていて憎みがたい。殺害計画の実行直前にも悪妻エドナと腹を割って話しかけ和解のチャンスをもちかけるし、飛行機整備場の作業員にもスター気取りのない気さくな態度で接する。また、例によってねちっこくまとわりついてくるコロンボの矛盾突き攻撃にも他の犯人のように動転せずおおらかな人柄で対応する。さすがコロンボをして「これだけの歌を歌える人に悪い人はいない」と言わしめるだけのことはある。ラストでコロンボが他の警官を帰して自分の運転でトミーを連行するシーンは何というか非常に男泣きを誘う名シーンだと思う。

ちなみに、ウィキペディアによると朝鮮戦争で空軍入隊という作中の設定は実話らしい。
それから、エドナ演じるアイダ・ルピノは、何気にクラシック・ギャング映画「ハイシェラ」でボギーと共演していたりする人ですね。

トリック的な面白さはさほどでもないが、ピーター・フォークとジョニー・キャッシュの掛け合いの面白さが群を抜いている一作。「ウォーク・ザ・ライン」は未見だが、ぜひ観たくなってきた。

エピソード満足度:8/10

posted by onion_slice at 23:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | TVシリーズ
2009年01月24日

刑事コロンボ「野望の果て」

原題"Candidate for Crime"(1973)

最近コロンボばっかりだ。年明けから毎週土曜は欠かさず見ている。

今回の犯人は上院議員候補ネルソン・ヘイワード(ジャッキー・クーパー)。裏で選挙活動の糸を引く有能な参謀ハリー・ストーンの演出で恐喝をでっちあげ、命を狙われる正義感の強い政治家のふりをして注目票を集めようとする。しかし自分の私生活まで操ろうとするハリーに嫌気がさし、彼がヘイワードに間違えられて殺されたかのように見せ掛けて殺害を行う。

トリック的に派手な仕掛けはなく、コロンボも他のエピソードに比べると頭掻いたり右と左の眉毛が異様な段差を描く回数が少ないように感じる。ラストの捕り物では、ヘイワードが自分から墓穴にはまるのを待って、ソファで新聞紙にくるまり惰眠をむさぼっている余裕しゃくしゃくっぷりだ。歯医者のシーンといい、ヘイワードお得意の仕立て屋で店員をいじりながらヘイワードのアリバイ崩しを行うシーンといい、コミカル色の強いエピソードだと思う。

それからヘイワードの妻と妻の秘書でヘイワードの愛人リンダと、主演女優2人がなかなか色気があってよい。

エピソード満足度 6/10

来週「白鳥の歌」の犯人役はなんとあのジョニー・キャッシュ。
ピーター・フォーク対ジョニー・キャッシュですよ。
いまから楽しみで楽しみで仕方ない。

posted by onion_slice at 23:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | TVシリーズ
2009年01月17日

刑事コロンボ「権力の墓穴」

今日のコロンボは1974年作の「権力の墓穴(A Friend in Deed)」。

浮気に走る妻をはずみで死なせてしまった夫ヒュー・コールドウェル。
友人の警察次長マーク・ハルプリンに相談すると、次長は自らコールドウェルの家に赴き婦人の死体と現場に偽装を施し強盗殺人にみせかけ事件のもみ消しを図る。

警官が殺人のもみけしに走る冒頭からして驚きだが、事態はもっと面白くなる。次長は自分の人生を失うリスクを犯してまでコールドウェルの殺しをもみけすほど友達思いなわけでは決してなかった。コールドウェルに貸しをつくっておいて、自分の妻(財産家)の殺しのアリバイ作りに利用しようとする。

ヒッチコックの「見知らぬ乗客」ばりの交換殺人のプロットが面白い。
しかもコロンボの対決相手が自分の上司とくる。権力に屈せずマイペースで確実に真相を追究し立証していく姿が格好いい。にしても、最後の囮捜査はやりすぎなんだが、そのやりすぎさ加減が好きだ。

エピソードの満足度 8/10
posted by onion_slice at 23:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | TVシリーズ
2009年01月10日

刑事コロンボ「指輪の爪あと」

71年のエピソード。
新聞社の社長ケニカットから若き妻の素行調査を依頼された探偵ブリマーが、ケニカット婦人をゆすろうとたくらむも反発され死なせてしまう。物取りの仕業に見せかけようとするが、婦人の顔の傷に疑問をもったコロンボがブリマーの犯行を嗅ぎ付けていく。

刑事コロンボ対探偵ということでかなりの頭脳戦を期待したが、探偵の知能は大して高くなく一方的にコロンボの勝利。しかしコロンボの探偵に対するあぶり方が舌鼓を打たせるほど絶妙で、なかなか楽しめる。最初からこいつがあやしいとピンときてるくせにすっとぼけて、ちょっとずつ状況証拠ちらつかせて心理的に追い込み、最後に騙しのトリックで見事嵌め込む。この犯人料理の名コックぶりはすごい。

ブリマーが婦人を殺した後、茫然自失とした顔面のアップ固定で、死体の後始末に没頭する本人の姿を眼鏡レンズに映し出すという演出もなかなか斬新だ。後から振り返ると、この冒頭のショットで眼鏡やレンズがキーワードだとほのめかしているので、単なるお遊び演出にとどまってない。

エピソードの満足度 6/10
posted by onion_slice at 23:25 | Comment(0) | TrackBack(1) | TVシリーズ
2009年01月04日

刑事コロンボ「構想の死角」「歌声の消えた海」

NHK BSハイビジョンで「刑事コロンボ」(+「新刑事コロンボ」)の全作放映が始まり、第1回目から逃すことなく観ることができて新年早々喜ばしい。ただし残念なのは、折しもつい先月ピーター・フォークがアルツハイマーで自分の家族すら分からなくなっているというつらい知らせが届いたことだ。しかし作品の中のピーター・フォークは変わらぬ魅力でいつまでも生き続ける。これを機会にコロンボ作品を記憶の中にコンプリートしておきたい。

今回は初回ということで2本立て。1本目の「構想の死角」はミステリ作家コンビ間の殺人を描いた1971年の作品で、監督はあのスピルバーグ。

2本目「歌声の消えた海」はちょっと飛んで1975年(放映順序は時系列ではないみたいだ)。メキシコ行き汽船上での女性歌手殺しを偶然乗り合わせたコロンボが解明する。こちらの監督はフォークと交友深い名優ベン・ギャザーラ。

コロンボのとぼけた言動・しぐさから不意に鋭い知性が飛び出して、犯人のロジックを破綻させ心理的に追い詰めるあのおなじみの展開はやはり何度見てもたまらない。

これから毎週土曜日の午後8時からのひそかな楽しみになりそうだ。68話分放映するそうなのであと66話、1年以上にかけてたっぷり楽しませていただく。

エピソード満足度
「構想の死角」6/10
「歌声の消えた海」5/10


posted by onion_slice at 01:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | TVシリーズ

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