2009年12月19日

刑事コロンボ「毒のある花」

原題"Lovely But Lethal(1973)"。出演ヴェラ・マイルズ、マーティン・シーン、ヴィンセント・プライス。

化粧品会社の女社長ヴィヴェカ・スコット。かつての恋人で会社の研究者である青年カールに、共同経営者にしない限り新開発した皺取り薬の分子式を競争会社に売り渡すと脅迫を受け、衝動的に顕微鏡でカールを殴りつけ死なせてしまう。

トリックやアリバイ工作は特になく、単に殺しの動機・証拠を追いかけるだけの捜査展開で、コロンボVS犯人の対決の面白さも決して並以上のものではないが、出演者の豪華さに驚きだ。「地獄の黙示録」のM・シーンが被害者役で、犯人役が「サイコ」「捜索者」のヴェラ・マイルズ、競合会社の社長役にロジャー・コーマン系列の怪奇映画等に出ているヴィンセント・プライス。特にヴェラ・マイルズは当時40代半ばだがさすがの美貌。高飛車な感じの中にふわっと見せる媚びた感じの表情が素晴らしい。

2009年放映のエピソードはこれで完了。1月から始まり欠かさず見るだけでなくブログに記録することができた。あと20話ちょいですか。

エピソード満足度:7/10
posted by onion_slice at 20:42 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年12月12日

刑事コロンボ「断たれた音」

原題"The Most Dangerous Match"(1973)。出演ローレンス・ハーヴェイ。

プライド高いチェスプレイヤー・クレイトンが、チャンピオン戦の前に対戦相手と試合して負け、本番でも敗れる恐怖に襲われホテルのゴミ処理施設に相手を投げ込み殺害を図る。

ここで殺害が完遂しないのがこのエピソードの特徴的なところ。犯人は相手が重体ながら生きていることを知り、トドメを刺しに来る。そしてトドメを刺しに来る手法がチェスの名手ならではの高等テクニックで面白い。

知性の高い犯人に対して、コロンボの実証主義的アプローチに基づく推理がぶつかる(レストランで行った塩と胡椒の瓶でのチェスで、どっちが胡椒=負けたはずの黒のプレイヤーだったかをほのめかすシーンは素晴らしい)。犯人を追い詰めるが、証拠がないためチェックメイトにできない。チェックメイトとなる状況はコロンボ得意の偶然による閃きから得られ、終局に向けて一気に攻めの手が続く。

これぞコロンボという、かなり正統派な対決パターンだった。

ちなみにwikipediaによると、ローレンス・ハーヴェイは撮影時胃癌が進行していたそうで、あの異様な苦悶の表情もうなずける。それから、ハーヴェイの娘はトニー・スコットの「ドミノ」でキーラ演じる主人公ドミノだそうだ。

エピソード満足度:8/10
posted by onion_slice at 21:07 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年12月06日

グラン・トリノ

監督・主演クリント・イーストウッド、2008年。

こないだBSで「ダーティハリー」みたばかりで、37年後の作品を見るとすっかり爺さん化している。しかし、ウォルト・コワルスキーから伝わる無骨さと頑固さはハリー・キャラハンそのままで、それ以前のマカロニ・ウェスタンから綿々と続くイーストウッド演じるキャラクターの一貫したブレのなさに改めて驚いた。

デニーロのように物語の主人公に合わせて変化する器用さとは無縁で、何を演じても頑固一徹のアウトローにしか見えないわけだが、刑事だろうと退役軍人だろうとボクシングのトレーナーだろうとあの奥歯ぎりぎり噛みしめてる苦い顔で最後まで演じきり、どんな映画ジャンルでも自分のものにしてしまう異様な存在感は他に類をみない。

なので、この「グラン・トリノ」がイーストウッドの役者としての最後の作品になる可能性が高いという事実が残念でならない。と同時に、最後の役柄がもっともイーストウッドらしいスピリットに貫かれ、忘れがたいキャラクターになったことにほっとしてもいる。

それにしても「ブラッドワーク」ぐらいから後の作品は本当にハズレがない。長年のパートナーであるトム・スターンの撮影技術も安定していて、イーストウッドの撮りたいものが分かりすぎるほど分かってるな、というのが一つ一つのカットから伝わってくる。

オーソドックスな作品で、似たようなのは世の中に山ほどありそうなものだが、作る人が作るとこれだけのものができる。「MDB」もそうだったが、言葉にしがたいこみ上げてくるものがあり、最後にはしっかり泣かされてしまった。次は「チェンジリング」見よう。


posted by onion_slice at 14:44 | Comment(0) | 正統派ドラマ
2009年12月05日

刑事コロンボ「美食の報酬」

原題"Murder Under Glass"(1978)、出演ルイ・ジュールダン、シーラ・ダネーズ、マコ岩松。
演出はあのジョナサン・デミ。

料理評論家ポール・ジェラードは、レストランに対する評価と引き換えに大金を巻き上げ、オーナーたちの恨みを買っている。オーナーの一人に悪事をばらすと脅され、ワインに毒を仕込み殺害する。

トリックはまあ普通。多数あるワインから殺害相手が選ぶものを予知はできないから必然的にグラスか栓抜きということになる。トリック暴きも目だった面白さはなく、どちらかというと対決重視のエピソードか。

事実、ルイ・ジュールダンの演技はよい。疑われても取り乱さず平然と紳士的に振舞うくせに、アリバイをくずされそうになると大胆にコロンボまで毒殺しようとする冷徹さを備えている。このへんの人物描写はさすがハンニバル・レクターを世に出した監督といったところか。秘書を演じるフォークの妻ダネーズの色気もよい。

フグの毒ということで、日本がけっこう出てくる。マコ演じる日本の料理人の名が小津健二だが、明らかに小津安二郎+溝口健二だろう。

栓抜きにカートリッジはピンとこなかったが、調べるとガス式ワインオープナーは普通らしいですね。ほしくなってきた。

エピソード満足度:7/10
posted by onion_slice at 20:36 | Comment(0) | TVシリーズ

ウォッチメン

監督ザック・スナイダー、出演パトリック・ウィルソン、マリン・アッカーマン。2009年。

歴史の影で暗躍しながらもいまや引退し普通の人として生活しているヒーローたちが、80年代の冷戦期に核戦争をめぐる陰謀に巻き込まれる。

ニクソンがヒーローの力を借りてベトナム戦争に勝利し、80年代も大統領の椅子に座り続けているというパラレルワールドは面白い。ただ、大戦後のアメリカの政治にどうヒーローが絡んできたか、というストーリーはあまり語られず、ボブ・ディラン好きでない人にはひたすら耳が苦痛なOPでイメージが示されるだけだ。

2時間40分という長い上映時間中、作品にいまひとつ入り込めなかったのも、このウォッチメンというヒーロー像が今ひとつ具体性をもって伝わってこないためかもしれない。

神のような存在でベトコンを瞬時に粉砕したり、火星と地球を自由にテレポートできるDR.マンハッタンは別にして、残りのメンバーは単に戦闘力が高いとか反射神経・運動神経が並外れているぐらいのアビリティをもった人間でしかない。

この少ない精鋭で歴史を変えてきた原動力とは何だったのか、またこの人達のヒーロー活動を規制するキーン条例を生み出した、大衆のアンチ感情の元は何なのか、というインプットがあまり与えられないまま話が進んでいくため、入りづらさを感じた。まあ、アメコミだからこまけえことはいいんだよ、で済む話なんだが。

ビジュアルは、スタイリッシュな暴力表現が好きな人には気に入ると思う。ロールシャッハが斧で頭ザクザクするシーンは痛い。


posted by onion_slice at 17:16 | Comment(0) | アクション

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