2010年04月24日

刑事コロンボ「ロンドンの傘」

原題"Dagger of the Mind(1972)"、出演リチャード・ベイスハート、オナー・ブラックマン。

「マクベス」を演じる役者夫婦。妻の色仕掛けで著名なプロデューサー、サー・ロジャーに迫り公演のための金を出させるが、利用されたと知り激怒し楽屋に押しかけてきたサーをはずみで殺してしまう。

舞台はロンドンで、スコットランドヤードの捜査方式を見学にきたコロンボが偶然巻き込まれる設定。

コロンボと犯人夫婦の絡みは少ないわりに、作品の尺は100分近くあり長いのだが、長さを感じさせない持続する面白さがある。これは、直接対決シーンこそ抑えられているが、タイトルにもなっている傘をめぐる犯人とコロンボの綱引きの攻防戦の展開が見事だからだろう。ロンドンの雨というイメージにもぴったりで、単なる小道具にとどまらない象徴的な効果を挙げている。

最後の証拠のでっち上げも、コロンボのブラフで押し切るダーティな面が全開で好きだ。犯人が殺人を隠すためのトリックではなく、証拠がない状況で犯人を嵌めるためにデカが使うトリック。現場で多数の犯人と知能のぶつけ合いを続けてきたからこそ、犯罪者の悪知恵を自分の武器として吸収し応用する特異な能力が形成されたといえる。

ちなみに犯人の夫の方は、フェリーニの「道」でアンソニー・クインに殴られるあの道化の人だ。最後の、マクベスさながら狂気に落ちて行く演技が印象深い。

エピソード満足度:9/10
posted by onion_slice at 00:37 | Comment(0) | TVシリーズ
2010年04月18日

クローバーフィールド

監督マット・リーヴス、出演リジー・キャプラン、ジェシカ・ルーカス。2008年アメリカ。

怪獣映画、または「宇宙戦争」のようなエイリアン侵略ものを、従来の劇映画のように俯瞰的な外側の視点から映さず、襲われる一般の人々の内部から、ホームビデオ形式で撮影したもの。

この視点の転換だけでそれなりに面白いかもとは思ったのだが、それ以外の点では円谷プロから綿々と続く怪獣パニック映画の系譜を忠実になぞっているだけで、次第に物足りなさを感じてくる。「エイリアン」からほとんど進化のないクリーチャー描写もいいかげんマンネリで、目を背けたくなるような怖さがない。(エイリアンにかみ殺されるシーンは、3Dにしたら多少は怖いだろうか)

視点の転換というアイデア以外にウリはなく、そこのところをエイブラムスたち制作サイドはさすがに分かっているのか、映画の尺は85分で切り上げられる。これで1時間半超えると段々めっきが剥がれてくるのは明らかだ。

とにかく後半でもう少し、怪獣映画の枠組みをぶち壊してくれるような斬新な工夫があればよかった。とくに結末は中学生の空想レベルだ。

ということで、「怪獣版ブレアウィッチプロジェクト」と便利なラベルを貼ってしまえば、それ以上でも以下でもない映画。尺が短いので手ごろな暇つぶしにはなる。


posted by onion_slice at 18:03 | Comment(0) | SF・ファンタジー
2010年04月17日

ロード・キラー

監督ジョン・ダール、脚本J.J.エイブラムス他、出演スティーブ・ザーン、ポール・ウォーカー、リリー・ソビエスキー。2001年アメリカ。

何気なく見たが好きなタイプの映画。あほな若者がCBラジオでおちょくったトラックドライバーがサイコキラーで、しつこく追っかけられる。なんとなく、「デス・プルーフ」をイーライ・ロスが撮ったらこうなるかも、というようなノリだ。スリラーの基本をおさえつつ、あほな兄弟の希薄に見えてしっかり結ばれた絆がアツい、優れたバディ・ムービーの気質も持っている。

エイブラムスが噛んでいるとやはり面白いな。明日はCS録画した「クローバーフィールド」を見る。最近映画館にもツタヤにも全く行かず、BS・CSソースでしか映画見ないので、「スタトレ」はまだ未見。


posted by onion_slice at 23:43 | Comment(0) | サスペンス・ホラー

刑事コロンボ「死者の身代金」

原題"Ransom for a Dead Man (1971)"、出演リー・グラント。

名声と金への欲からベテラン弁護士と結婚し自らのキャリアに弾みをつける女弁護士。正体に気づき離婚を持ち出した夫を殺し、偽装誘拐を企て、身代金は自分の懐に回収する。

シリーズ化する前のパイロット版2作目。
リー・グラント演じるいかにもやり手な感じで、相当腹黒く肝の据わった女犯人との対決は面白い。隙のない犯人に対して、仲の悪い義娘をダシに使って探りを入れるコロンボ。義娘もヒステリックで扱いづらいのだが、その暴走しやすい性格を利用して大胆な芝居を仕掛ける。その芝居は、犯人の計算高い性格を熟知しているからこそ打てるもので、コロンボの捜査スタイルの際立った特徴の一つである、人の心理を巧みに操る能力のすごさを証明するエピソードだった。

犯人や事件の関連人物のプロファイリングを、ハンニバル・レクターも真っ青というぐらい常に頭の中でフル回転処理し、さまざまな「詰み」の状況を編み出していくコロンボ流儀。何とかして自分の仕事や生き方にも知恵として役立てたいと思う今日この頃だぜ。

エピソード満足度:8/10
posted by onion_slice at 00:35 | Comment(0) | TVシリーズ
2010年04月10日

刑事コロンボ「殺人処方箋」

原題"Prescription:Murder(1968)"、出演ジーン・バリー、ニナ・フォック、キャサリン・ジャスティス。

精神科医が患者である愛人と組んで妻を殺す。コロンボの初回作品。

パイロット版ということもあるのか制作側の気合がびんびんに伝わる。かなりの長編でコロンボの登場まで時間がかかるのだが、犯行現場に戻る犯人の後ろから葉巻くゆらせて現れるシーンは印象深い。さすがにいろんな意味で若い。

風貌はぎらついてるし、捜査方法もシリーズ版に比べると直球勝負という印象を受ける。70年代以降定着するとぼけた捜査スタイルの萌芽は感じ取ることができるが、意表をつく変化球・隠し玉はまだまだ少なく、ひたすら食いつき、犯人のミスをあぶりだそうとする。シリーズの大部分を見終えて若きコロンボに出会うと、このひたむきさがかえって新鮮で、1時間40分という尺も気にならない。

犯人も、知性の高さという点でコロンボ史上トップではないだろうか。ほのめかしを撥ねつけて、証拠を握れないコロンボを逆にこけにする冷静さ。見ているほうは、なんとしてでもコロンボに打ち負かしてほしくなる。

証拠が出ない以上、必然的に自白せざるをえない状況を作り出すことになるわけで、コロンボ得意のトラップで決着をつける。正直、ドレスとか部屋の状況とかから、何らかの物的証拠をつかめそうな気はして、そういうどんでん返しも最後まで期待していたのだが(70年代以降のコロンボなら犯行現場をもっと分析できていたはず)、まだ少し青いところのあるコロンボと、知性の高さで互角に渡り合う犯人との決着としては、納得のゆくものだったと思う。

エピソード満足度:9/10
posted by onion_slice at 00:25 | Comment(0) | TVシリーズ
2010年04月02日

刑事コロンボ「ルーサン警部の犯罪」

原題"Fade in to Murder(1976)"、出演ウィリアム・シャトナー。

ドラマの名刑事ルーサン役ウォード・ファウラー。かつての愛人でもあるプロデューサーに弱みを握られ、ギャラの半分を奪われることに耐え切れず殺しを決意。

コロンボお得意のおとぼけ芝居で犯人の懐に入ろうとするが、犯人も負けじととぼけてルーサン警部を演じ、コロンボと一緒に推理合戦を行う。被害者の夫があやしいとけしかけたり、ファウラー自身を重要容疑者とみなし動機をコロンボにちらつかせたりなど、なかなかのトリッキーな展開。

コロンボの追求にも決して逆上せずにユーモアたっぷり返す紳士ぶりがグーなウィリアム・シャトナー。IMDbで調べたけど、作品内で言及されているようなチビでは全くない。むしろ、コロンボが見えはって自分を中背というのが面白かった。そしてそのコミカルなシーンの掛け合い相手(被害者の行きつけの食料品やのおやじ)がチャイニーズ・ブッキーでベンギャザを締め上げるあのノッポのギャングで、フォークとの貴重な絡みを見ることができたのがうれしい。

エピソード満足度:8/10
posted by onion_slice at 23:33 | Comment(0) | TVシリーズ

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