2008年09月23日

潜水服は蝶の夢を見る

脳卒中で倒れ、左目以外の全身が麻痺する「ロックトイン・シンドローム」にかかった雑誌ELLEの編集長ジャン・ドミニク・ボビー(ジャン・ドゥー)を描いた作品。

しゃべれないジャン・ドゥーの頭の中のモノローグを聞きながら、彼の左目に映し出される現実世界や現実逃避としての想像力と記憶の世界を見ることで物語がつづられるという着想がすばらしい。あるとき突然こうした不幸に襲われたときの絶望感、愛する家族に触れることのできないもどかしさ、食と性欲その他あらゆる欲求の充足を奪われた喪失感、言語療法士と協力してまばたきによりアルファベット1文字ずつ言葉を伝えていく困難さ、といったものを痛いぐらいに体感することができる。

簡単な言葉をまばたきで伝えるだけでも途方もない苦労だが、一冊の本を仕上げるというタフな精神にはただ感嘆するしかない。
そしてその本の出版10日後に帰らぬ人になったという事実を知ると、はかなさを感じると同時に他人ごとながら悔しさがこみあげてくる。たとえ左目しか動かない人生だろうとまだまだ生きたかったはずだ、と。

J.シュナーベルの作品は「バスキア」も「夜になる前に」も見てるけどこの作品は一番のお気に入りになったな。自分が将来事故や病気で同じような目に遭ったらまっさきに観返したい映画かもしれない。


posted by onion_slice at 22:27 | Comment(2) | TrackBack(3) | ヨーロッパ
この記事へのコメント
劇場で観ましたが、感心と感動で大変だった記憶があります。
J・デップが主演したがったみたいですね。DVDはまだ観てませんがまた観てみようと思います。

以前、相互リンクの件でメールいただいたと思うんですが、返信届いてます?未着でしたら、こちらからはリンクさせていただいてますので、よろしくお願いします。TBさせていただきました。
Posted by Whitedog at 2008年10月01日 01:10
Whitedogさま
申し訳ありません。リンク貼れていませんでした。。

コメント&TBどうもありがとうございます。
J.デップが主演を?それは初耳でした。
また目の表現力が豊かな俳優ですので、こういう役は似合ってるでしょうね。
ぜひリメイクしてほしい!
Posted by 管理人 at 2008年10月01日 08:13
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