2008年11月03日

宮廷画家ゴヤは見た

久しぶりに外に映画を見に行った。「アマデウス」のミロシュ・フォアマン作「宮廷画家ゴヤは見た」で、特にチェックもしてなかった作品だが、先日グリーナウェイの「レンブラント」を観たこともあり、画家つながりで観てみたくなった。

ただ、あまりゴヤの作品自体にはスポットライトは当たらない。宮廷お付の画家ゴヤの眼から見た二人の男女の運命が描かれ、ゴヤは特にゴヤである必要もないと思った。この脇役さ具合から「家政婦は見た」みたいなタイトルをつけたくなるのも分かるが、もう少しよい邦題が望ましい(原題は"Goya's Ghosts")。

邦題は落第点だが、作品そのものは及第点。18世紀のスペインで異端審問所に連れられ、ユダヤ教徒であるとあらぬ疑いをかけられ監禁される少女イネスを演じるのはナタリー・ポートマン。イネスの監禁に加担する不気味な僧ロレンゾはハビエル・バルデム。てっきり、異端審問所というエロティックな空間の中で、バルデムがポートマンをサディスティックに弄ぶ耽美的な方向に持っていくのかと思ってみてたのだが、ロレンゾは教会の顔に泥を塗ったかどであっけなく追放される。そのままイネスが監禁されたまま15年が過ぎ、突然隣国フランスから革命の知らせが届いて、電撃のように審問所から囚人が解放される。そして長年の監禁で半分気がふれたイネスがゴヤの元にたどり着き、ゴヤはロレンゾを探し始める(なぜかはネタバレだから伏せます)。

後半の、革命が起きてから王政復古するまでの政治変動と絡めたドラマ部分はなかなかツイストが効いていて楽しい。
ただ、キャラクターの発展が少し中途半端というか不器用な印象を受けた。ゴヤを演じるステラン・スカルスガルドはまったく魂のこもってない人物に見えるし、宗教から革命思想へと揺れ動くロレンゾの信念がどういったものなのかもいまひとつ掴み取れない。この映画のナタリー・ポートマンはかなり可愛いんだけど、狂人役とはいえ解放されてからは単にウロウロするだけで何かもったいない。

もう少し人物描写に深みがあれば爆発的に面白い作品になったかもしれない。キャスティング自体は良いだけに惜しい。



posted by onion_slice at 18:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ
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