2009年04月01日

BSでやってたので観てみた。黒沢清作品。

呪い系のジャパニーズホラーは一切面白いとも怖いとも思ったことがないんだけどこれはなかなかよかった。幽霊(葉月里緒奈)の描写もステレオタイプだし、小西真奈美の役どころもすでに死んでいるだろうと容易に想像がつく月並みのプロットで、サイコスリラー的には凡庸だけど、観た後で心にがっしりと鉤をつけられたような不思議な感覚に囚われる。

成仏できずに現世とあの世の狭間でさまよう幽霊モノの形をとっていて、「リング」だの「呪怨」だの流行ホラーに便乗したようなもっともらしい怨念にまつわるエピソードで一応ストーリーの裏書きをしてはいるが、そうした創作上の理由付けを超越して現れる不条理な伊原剛志の死に方や小西真奈美の叫びのワンカットが、観ている人の存在基盤を作中に何度も象徴的に発生する地震のように否応なく揺り動かしてくる。まさにムンクの「叫び」のように、語らずして人を震え上がらせる絵画的効果を持っている作品だと思う。もっと台詞削ってもよかったと思うが、まあジャンル映画だからある分量の説明は仕方ない。

実は黒沢清作品(というか最近の邦画全般。。)をほとんど観てないんだけど、表面上は今風のトレンドに合わせながらも、作家の抱える根源的なテーマをしっかり投影した抑制のとれた作品で気に入りましたね。



posted by onion_slice at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス・ホラー
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