2009年07月04日

その土曜日、7時58分

監督シドニー・ルメット、出演フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、2007年アメリカ。

ホフマンとホーク。好きな役者なのでこの二人が兄弟役という掛け合わせは興味深い。ホフマン演じる兄貴アンディは不動産業の中核幹部。ホーク演じる弟のハンクは万年金欠で小学生の娘からもルーザー呼ばわりされる決断力と肝っ玉に欠ける中年男。

兄はハンクがあまり好きではなく、というか親父がデブルックスの自分よりチャーミングなハンクを可愛がっていたことからコンプレックスを抱いている。そんな親父とハンクへの復讐心が動機なのかどうかは明白には示されないが、アンディが企む宝石店強盗の背後に潜む暗い怨念の源流になっていることは間違いない。

そしてこの宝石店というのが、アンディとハンクの両親が営む店で、犯罪計画が滑りハプニングから母親が撃たれてしまい、2時間たっぷりかけて描かれる兄弟の悲劇の始まりとなる。

中盤ぐらいまでは、社会的に認められたポジションにいて「6桁の給料を稼ぐ」アンディがなぜあえて数万ドルの金のために両親の宝石店を襲うのか、というシチュエーションに無理やり感を感じずにはいられなかったが、そもそも自分は手をかけず弟にやらせるという点からして、金とは離れた暗い心理的なモチーフが蠢いているんですね。それに対して弟のほうは金、金、金、金のことしか頭にない。この、愛に飢えた兄と金に飢えた弟の犯罪の目論みが段々横滑り崩壊していく描写はなんともいえないやりきれなさがある。

しかし正視しづらい不幸ぶりにやりきれなさを感じながらも、終盤のホフマンの暴走ぶりはレールを外れすぎていて笑いすらこぼれてしまう。あの、失敗したディカプリオみたいな陰険なルックスで、自分の置かれた現状への不満をぐちぐちこぼし、負のエネルギーを蓄積していき、クライマックスで一気に臨界点に持ち込んで爆発させる。このキャラ作りはさすがに巧い。

というわけで、なかなかアメリカのボトムをよく捉えた正統派の悲劇という印象でした。

それにしてもマリサ・トメイ。こないだ見た「レスラー」とこれと、短い期間の2作でフルヌードの披露とは。もともとこういう女優なんでしたっけ?確かに、ホフマンが車内で叫んでいるなか、助手席に座っているシーンとか見ても演技力は△レベルなので、肉体でいかないと厳しいのかという気もするが。。何か焦っているのか?


posted by onion_slice at 16:19 | Comment(0) | 正統派ドラマ
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