2009年10月10日

刑事コロンボ「別れのワイン」

原題“Any Old Port in a Storm”(1973)、出演ドナルド・プレザンス。

ワイン醸造会社の経営者エイドリアン・カッシーニは利益追求よりも妥協のない良質のワインをつくることに専心している。弟であり会社の実質上のオーナーであるリックは金儲けのことしか頭になく、経営権を安酒製造会社に売ると言い出し、逆上した兄に殺される。

トリックが複雑なわけではないが、言葉による説明があまりないので、エイドリアンが弟を殴った(この時点では死んでいない)後で死なせる場面をよく頭にインプットしておかないと、高温で駄目になったワインがなぜ殺人の立証につながったのかがさっぱりわからなくなる恐れがある。要は密閉されたワインセラーだから空調を切ると酸素供給が断たれるということで、エイドリアンほどワインの品質にうるさい人物が1週間もの旅行のあいだ空調を切るという暴挙に出るには理由がなくてはならない、というのがコロンボの状況証拠による追い詰めのキーファクター。

この推論をつきつけて自白を余儀なくさせるには何らかの仕掛けがなくてはならず、それがセラーにわざと閉じこもってくすねた(駄目になった)高級ワイン。この仕掛けだけでも素晴らしいんだが、これを考えつくために、コロンボが短時間でワインについて猛研究し、ワインをこよなく愛する犯人の性格も研究するというさらに入念な伏線が練られていて感動した。コロンボの直感と実証主義知識と敵を知り尽くす精神、それからずる賢さがフルに発揮されたクオリティの高い作品だと思う。

エピソード満足度:9/10(もう少しトリック暴きで説明があれば満点なのだが)
posted by onion_slice at 21:09 | Comment(0) | TVシリーズ
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