2010年01月03日

ミルク

監督ガス・ヴァン・サント、出演ショーン・ペン、ジョシュ・ブローリン、ジェームズ・フランコ、エミール・ハーシュ。2008年アメリカ。

「エレファント」や「パラノイド・パーク」から作風はがらりと変わるが、ガス・ヴァン・サント好みの題材で、内容も期待を裏切ってない。

ショーン・ペンは、巧いのは認めるが少々くどすぎると感じていたんだけど、この作品ではその持ち前のくどさがゲイの独特な雰囲気を出すのに役に立っていて、この人の演技を見直すよい機会になった。

ジェームズ・フランコは最初すっかりマット・ディロンかと思ってみていた。ディロンとペンのキスシーン!?すげぇ!とか興奮したが、さすがにこんな若くないよな、と途中で気づく。目が悪くなってきたのかもしれない。

昨日見た「チェンジリング」と全く違う作品だけど、正義や自由を求めて個人がアクションを起こし、権力の厚い殻を砕くパイオニアとなって政治に大衆をコミットさせていくテーマは共通している。両方ともよい映画だった。


posted by onion_slice at 17:53 | Comment(0) | 正統派ドラマ
2010年01月02日

チェンジリング

監督クリント・イーストウッド、出演アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ、2008年アメリカ。

かなり脚色というか映画向けのお色直しはありそうな気がするが、80年前にこんなショッキングな出来事があったことに驚く。しかし単にショッキングな題材にはとどまらず、カフカの作品にでもでてきそうなほど不条理で硬直・腐敗した公権力にたいして主人公の女性が怯まずに立ち向かい正義を訴えていく姿が心を打つ。

事実、誘拐の異常な側面は比較的早く明らかにされるのだけど、凡庸な監督のように異常性をスキャンダラスに追うよりも、アンジェリーナ演じるクリスティン・コリンズがLAPDに対して裁判を起こし、彼らの人権侵害を認めさせるプロセスの描写に重点が置かれる。こういう人たちのアクションがあったからこそ、市民社会における諸々の権利が得られてきたんだと実感してしまう(もちろん、80年後も変わらず侵害は至るところで起きているが。足利事件然り。というか警察の無能さはまた別の話か)

クリスティンを異常扱いする警部をぴしゃりと黙らせる熱い弁論をうつ弁護士のシーンがいちばん好きだ。マルコヴィッチも好きだがこの弁護士さんが個人的にこの映画のMVP役者かも。

惜しいのは、尺がやや長く事件後の描写が冗長に感じることぐらいか。
2時間でピタリと収まっていればもっとよかった。あとは、個人的な好みでしかないと思うけどアンジェリーナ・ジョリーが好きになれない。「グッドシェパード」で好きになりかけてたけど、この佳作を見てもやはり好きというところまでいけない。ヒラリー・スワンクならもう少しよかったかもしれない。スワンクが演じるという話もあったそうだが、1920年代の婦人像にフィットするイメージを優先してアンジェリーナに決まったらしく、それはうなずける。


posted by onion_slice at 18:40 | Comment(0) | 正統派ドラマ
2009年12月06日

グラン・トリノ

監督・主演クリント・イーストウッド、2008年。

こないだBSで「ダーティハリー」みたばかりで、37年後の作品を見るとすっかり爺さん化している。しかし、ウォルト・コワルスキーから伝わる無骨さと頑固さはハリー・キャラハンそのままで、それ以前のマカロニ・ウェスタンから綿々と続くイーストウッド演じるキャラクターの一貫したブレのなさに改めて驚いた。

デニーロのように物語の主人公に合わせて変化する器用さとは無縁で、何を演じても頑固一徹のアウトローにしか見えないわけだが、刑事だろうと退役軍人だろうとボクシングのトレーナーだろうとあの奥歯ぎりぎり噛みしめてる苦い顔で最後まで演じきり、どんな映画ジャンルでも自分のものにしてしまう異様な存在感は他に類をみない。

なので、この「グラン・トリノ」がイーストウッドの役者としての最後の作品になる可能性が高いという事実が残念でならない。と同時に、最後の役柄がもっともイーストウッドらしいスピリットに貫かれ、忘れがたいキャラクターになったことにほっとしてもいる。

それにしても「ブラッドワーク」ぐらいから後の作品は本当にハズレがない。長年のパートナーであるトム・スターンの撮影技術も安定していて、イーストウッドの撮りたいものが分かりすぎるほど分かってるな、というのが一つ一つのカットから伝わってくる。

オーソドックスな作品で、似たようなのは世の中に山ほどありそうなものだが、作る人が作るとこれだけのものができる。「MDB」もそうだったが、言葉にしがたいこみ上げてくるものがあり、最後にはしっかり泣かされてしまった。次は「チェンジリング」見よう。


posted by onion_slice at 14:44 | Comment(0) | 正統派ドラマ
2009年08月02日

レボリューショナリー・ロード

監督サム・メンデス、出演レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、2008年、アメリカ。

50年代のコネティカット。主人公はビジネス用コンピュータ販売会社に勤める30歳の会社員フランク(ディカプリオ)とその妻エイプリル(ウィンスレット)。二人の子供がいて不自由なく暮らしているが、平凡で単調なアメリカの田舎生活に首まで浸かっている自分たちを嫌悪し、ヨーロッパに移住して人生をやり直すことを夢見ている。

自分の平凡さに気づきつつも特別な存在でありたいと願い、窒息しそうな現実の社会から脱出しようと無駄なあがきをする大人の話だ。

何か会社勤め以外のことをしたい、おれには何かできるはずだ、と漠然とした思いだけを持ちながら30を迎えてしまい、自分に残された可能性はほとんどないことに気づく。そんな田舎のサラリーマンと妻の姿は痛々しいながらも共感できなくはない。フランクだけなら、挫折の苦い味を知り現実に適応していくという話でめでたしめでたし、となったんだろうが、妻のエイプリルの方がそうはさせてくれず物語のベクトルを悲劇の方向へ無理やり引っ張っていく。

すでに冒頭の車での大喧嘩シーンで、エイプリルの神経過敏で壊れそうな役どころから、ストーリーが悲劇に向かうことは容易に推測できるわけだが、パリ行きとフランクの昇進の話辺りから決定的になる。

ネタバレになるから書かないが、中盤1時間ぐらいから後は誰でも先の展開を予測できるマンネリ悲劇パターンだった。頭の中で正確にフローチャートを思い描けそうなぐらいだ。マンネリ悲劇が悪いわけではないが、エイプリルの精神崩壊のさせ方が型どおりすぎてつまらない。

ウィンスレットは大分老けましたね。それこそがこの映画で感じた一番の悲劇だったような気がする。


posted by onion_slice at 13:26 | Comment(0) | 正統派ドラマ
2009年07月20日

アメリカ,家族のいる風景

監督ヴィム・ヴェンダース、出演サム・シェパード、ジェシカ・ラング、ティム・ロス、2005年ドイツ=アメリカ、原題"Don't Come Knocking"

ヴェンダースの代表作のひとつ「パリ、テキサス」と設定は似ている。
アメリカ西部を舞台に、かつて自分が捨てた家族を探しに行く孤独な中年男のロードムービー。脚本は両方ともサム・シェパードだが、「アメリカ」ではシェパードが主演もこなす。

ちょうどこれの前に、「パリ、テキサス」を10年ぶりぐらいに見たため、そっちの感激が強くてどうしても見劣りしてしまう。テーマは同じだし脚本の質はそんなに変わらないような気がするけど、映像がもつ独特な空気というかな。台詞による説明がなくとも、映像見るだけで脳に瞬時に伝わってくるインスピレーションのようなものがやはり弱い。

とは言えシネマトグラフィはかなり良い。アメリカ西部の原風景的カラーのイエローの出し方は好きだ。

ジェシカ・ラングと街角で喧嘩するのを、通りに面したスポーツジムから映したショットも素晴らしい。

また、シェパードの息子が切れて家の外に放り出したソファに父が座り、キャメラが360度回り続ける間に犬がきたり、シェパードのもう一人の子供がきたりするシーンも面白い(ただ、感情爆発男がぶち切れて家具を窓からぶん投げまくるという描写自体は好きじゃない)。

こういうディテールを見るとまだまだユニークな映画表現をいくつも有している気はするけど、作品1本を通して伝わる、言葉に出来ない感動のスケールは90年代以降のヴェンダース作品で明らかに萎んできているように思う。

それにしても、2010年までにヴェンダースが東京を舞台に撮影を予定しているとのこと。原作は村上龍の「ミソスープ」?とのことで、ヴェンダースの絵的にはそぐわない気もするが、まあ期待してみたい。
というか、撮影現場に立ち会いたい。たぶん新宿でロケがあるはず。情報あったら教えてください。


posted by onion_slice at 23:54 | Comment(0) | 正統派ドラマ
2009年07月04日

その土曜日、7時58分

監督シドニー・ルメット、出演フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、2007年アメリカ。

ホフマンとホーク。好きな役者なのでこの二人が兄弟役という掛け合わせは興味深い。ホフマン演じる兄貴アンディは不動産業の中核幹部。ホーク演じる弟のハンクは万年金欠で小学生の娘からもルーザー呼ばわりされる決断力と肝っ玉に欠ける中年男。

兄はハンクがあまり好きではなく、というか親父がデブルックスの自分よりチャーミングなハンクを可愛がっていたことからコンプレックスを抱いている。そんな親父とハンクへの復讐心が動機なのかどうかは明白には示されないが、アンディが企む宝石店強盗の背後に潜む暗い怨念の源流になっていることは間違いない。

そしてこの宝石店というのが、アンディとハンクの両親が営む店で、犯罪計画が滑りハプニングから母親が撃たれてしまい、2時間たっぷりかけて描かれる兄弟の悲劇の始まりとなる。

中盤ぐらいまでは、社会的に認められたポジションにいて「6桁の給料を稼ぐ」アンディがなぜあえて数万ドルの金のために両親の宝石店を襲うのか、というシチュエーションに無理やり感を感じずにはいられなかったが、そもそも自分は手をかけず弟にやらせるという点からして、金とは離れた暗い心理的なモチーフが蠢いているんですね。それに対して弟のほうは金、金、金、金のことしか頭にない。この、愛に飢えた兄と金に飢えた弟の犯罪の目論みが段々横滑り崩壊していく描写はなんともいえないやりきれなさがある。

しかし正視しづらい不幸ぶりにやりきれなさを感じながらも、終盤のホフマンの暴走ぶりはレールを外れすぎていて笑いすらこぼれてしまう。あの、失敗したディカプリオみたいな陰険なルックスで、自分の置かれた現状への不満をぐちぐちこぼし、負のエネルギーを蓄積していき、クライマックスで一気に臨界点に持ち込んで爆発させる。このキャラ作りはさすがに巧い。

というわけで、なかなかアメリカのボトムをよく捉えた正統派の悲劇という印象でした。

それにしてもマリサ・トメイ。こないだ見た「レスラー」とこれと、短い期間の2作でフルヌードの披露とは。もともとこういう女優なんでしたっけ?確かに、ホフマンが車内で叫んでいるなか、助手席に座っているシーンとか見ても演技力は△レベルなので、肉体でいかないと厳しいのかという気もするが。。何か焦っているのか?


posted by onion_slice at 16:19 | Comment(0) | 正統派ドラマ
2009年06月22日

レスラー

監督ダーレン・アロノフスキー、出演ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、2008年アメリカ映画。

久しぶりに新作を外で見る。J.J.エイブラムスのスタートレックか、レスラーか直前まで迷ったが、こないだ亡くなった三沢のこともありプロレス物を見ようと決意。

結論からいうと、スタトレにしとけばよかったと軽く後悔することになる。
ミッキー・ロークが演じる老いと孤独に直面するレスラーに共感しないわけではもちろんなく、いい映画かもしれないと思った瞬間もいくつかあったけれど、脚本が悲惨すぎる。日本のテレビドラマ作家でさえこれぐらいなら書けてしまいそうだ。

まあ脚本の陳腐さは、ミッキー・ロークの哀愁の混じった独特な野性的存在感の面白さである程度は補えていて、駄作と切り捨てるのは性急すぎる気がする。

スポーツ映画というのは、純粋にスポーツだけに焦点当てても映画にする意味ないので、必然的に登場人物の人生をドラマとして描写することになり、家族との不和とか肉体的な限界からくる苦悩が出てくるわけだけど、そういう苦悩を克服して競技の中で自己を取り戻していくという
昔ながらのストーリーラインが崩しがたく存在し、どうしても構成上似たようなワンパターンな物語になりやすい。

だから演じる役者が単に巧いだけでは駄目で、演技のメソッドを超えて、登場人物の感じる限界や自分という存在に対して抱く疑問、切迫した感情がダイレクトに伝わってくるかどうかが、映画として見るに耐えうるかどうかの要点になる。

そういう意味では、ミッキー・ロークの演じるランディは確かに見る者のハートを打つ強烈な輝きをもっていると思う。ロークのファンなら脚本の陳腐さなど意にかけず純粋に楽しめるのではないでしょうか。

他に見所としては、プロレスシーンがなかなかえぐい(ホチキス責め!)のと、マリサ・トメイがもう40代半ばなのにおっぱいぶるんぶるんでストリッパー役こなしているところだろうか。



posted by onion_slice at 17:07 | Comment(0) | 正統派ドラマ
2009年06月21日

オリバー・ツイスト

監督ロマン・ポランスキー、出演バーニー・クラーク、ベン・キングスレー他、2005年、フランス=イギリス=チェコ。

誰もが知ってる文芸作品の映像化は地味に見えながら、あらかじめ評価の定まった文豪の名作ということで、素材がよいだけに料理の腕の差が歴然と出るジャンルである気がする。

古典がどうしても退屈に思えてしまう現代の観衆に訴えかけるために、駄目な料理人=映画作家は古典の舞台をただ現代に置き換えるだけでごまかしたりするが、大抵、新鮮なのは始めの一口だけで、素材と味付けがちぐはぐなので飽きてくることが多い。

そんな中、ポランスキーの「オリバー・ツイスト」は原作をできるだけ忠実に、オーソドックスに再現し、かつ視覚芸術としての映画表現をぎりぎりまで追求した労力の結晶のような作品だ。19世紀のヴィクトリア朝ロンドンを再現しただだっぴろいセット空間と、その空間を行きかう老若男女の生活感漂うリアリティは舌を巻いてしまう。

難点は、主人公のオリバー君が可愛いんだけど影が薄すぎることで、作品の中盤ぐらいからどんどん目立たなくなって空気化していってしまう。しかしこれは原作自体がそうだから仕方ないが、ここだけはあえて原作改ざんに踏み切って独自に脚色してもよかったのでは、とも思う。

CSでやってた「テス」も録画したので見てみるか。しかし長いんだよな。。


posted by onion_slice at 17:07 | Comment(0) | 正統派ドラマ
2009年05月20日

リトル・チルドレン

監督トッド・フィールド、出演ケイト・ウィンスレット、パトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー。2006年アメリカ。原題"Little Children"

CSで何気なく見たが素晴らしい映画だった。
子供もいて、いい年こいた大人なのに大人になりきれず自分の人生に飽き飽きしている主人公の壊れかけた日常が、地味な演出ながらものすごく繊細に描かれている。

同じトッド仲間のトッド・ソロンズの好んで撮るようなアメリカのアブノーマルな側面をよりシリアスに捉えた作風ってとこかな。ちなみに、ソロンズの"Happiness"に出ていたジェーン・アダムスが脇役で出ていたりする。この女優はマイナーだがかなりよい。それにしてもトッド・ヘインズなんて似た名前のやつもいるので間違いやすいこのトッド3人衆だが、それぞれ個性的な映画を撮るやつらだ。


posted by onion_slice at 23:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ
2009年05月06日

バベル

監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ。主演ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット他。2006年。

中身のしょうもなさに比して無駄に尺の長い映画で参った。

まず、アメリカ、メキシコ、モロッコ、日本で起こる1個1個の話が面白くもなんともない。で、それらの出来事を数珠繋ぎにしてもっともらしく家族の不和、現代人のディスコミュニケーションという枠に嵌め込もうとするんだけど、どうもお仕着せの悲劇を厚化粧のようにぺたぺた塗りたくるだけでテーマが空回りしている印象を受ける。そして悲劇のバーゲンセールが2時間半続いた後は、しまりのない脚本に無理やり終着点を与えるかのような和解のハグでハッピーエンドだ。これは、役所広司の猟銃のプロット同様に強引すぎる。

うーん。「アモーレス・ぺロス」と「21グラム」は面白かったような気がするんだけど、どうだったっけ?あまり覚えていない。。


posted by onion_slice at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ
2009年04月22日

ブロークンフラワーズ

録画した映画がかなり溜まっているのでこれからGWにかけて消化していきたい。いま使っている旧時代のアナレコはディスク容量が少ないしTVから外部出力録画するとHDデジタル放送のまま録れないので、LAN HDD購入を検討している。まあメインで録画しているシネフィルイマジカは元の画質がよくないからアナレコへの外部出力録画でいいんだけど、6月からAXNでLOST Season 5も始まるしストレージが多いに越したことはない。

かなりいまさらだが「ブロークンフラワーズ」を観る。ジャームッシュは昔からずっとスタイルが変わらないんだけどマンネリにならず、ますます独自の表現技法に磨きがかかってきていると思う。寡黙でぶっきらぼうな演出なんだけど、1コマ1コマの役者の表情やたたずまいとか、コマ間のつなぎの絶妙な間合いとか、言葉を極力使わず映像で語る技術力は誰にもマネできない領域に達しつつあると言っていい。

ジャームッシュの作品は格好いい女がよく出てくるけど、今作は出てくる女が皆格好いい。ジュリー・デルピーにシャロン・ストーンにジェシカ・ラング、ティルダ・スウィントンとか、ベテラン女優をこんな数カットで済ませていいのかよ、とつっこみたくなるようなあっさりとした使い方だが、一人一人の登場の仕方とかビル・マーレイとのやり取りが印象的で鮮烈に記憶に残る。

5人目の女を訪れて雨の墓場で佇むシーンはかなり心の内側からこみ上げてくるものがある。ジャームッシュがいままで撮ったシーンの中で個人的に一番好きかもしれない。

シャロン・ストーン演じるローラの娘"ロリータ"の裸シーンも艶かしくてよかったな。


posted by onion_slice at 21:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ
2008年11月02日

ナイロビの蜂

舞台はアフリカ。若き活動家の妻の死を追ううちに、製薬会社の利権に絡んだ国家的不正に突き当たるイギリス外交官を描いたポリティカル・スリラー。監督は「シティ・オブ・ゴッド」や「Blindness」のフェルナンド・メイレレス。

冒頭2,3分ぐらいから早くも駄作の香りがじわーっと匂いたってきて、導入部を観終わるころには、この先どう転んでも傑作はおろか月並みな良作にすらならないだろうと確信を抱いていたものの、ここで切り上げて2時間を別のことに使えないだろうかという葛藤は抱きつつ、観ないと金がもったいないという消極的な理由で結局最後までだらだらと見てしまった。

ここまで超絶に緊張感を欠いたサスペンスは久しぶりに出会った気がする。もったいぶって展開しようとしている陰謀のすべてが先読みできそうなほど予定調和な世界。暴力シーンやカーチェイスのなまぬるさ。
ようやくラストを迎えたときは無駄な時間を費やした自分にお疲れさんと声をかけたくなる2時間だった。

レイフ・ファインズ、レイチェル・ワイズという俳優陣もぱっとしなかったな。役柄から何の切迫感も伝わってこない。

原題は"The Constant Gardener"(庭弄り)ということで、面倒なことに首をつっこまないで生きてきた主人公の外交官を皮肉ったタイトルだけど、この駄作とつきあうなら庭弄りでもしている方がマシだと思わせる内容のなさでした。


posted by onion_slice at 19:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ
2008年09月27日

グッド・シェパード

デ・ニーロの監督としての仕事は「ブロンクス物語」についで13年越しの2作目となる本作。デ・ニーロ映画といえばいまだにチンピラとかギャングの生き様みたいなのを期待しがちな私ですが、「グッド・シェパード」は祖国への忠誠心と家族への愛の間で揺れるCIA職員の半生を描いたシリアスな作品。

正直、主演のマット・デイモンとアンジェリーナ・ジョリーは好きな役者ではなく、この映画を見ても好きになることはなかった。しかし映画自体は非常に出来がよい。ほとんど暴力シーンもなく、007流のスパイアクション・ギミックにも頼らず淡々と進むのだが、第2次大戦末期からキューバ危機直前までの冷戦構造化する世界を背景に、主人公エドワード・ウィルソンをめぐる米ソ工作員たちの網の目のようなヒューミント活動が展開される様子がリアリティに満ちていて面白かった。

祖国への愛みたいなものはあまり主人公から感じられず、諜報活動で何やらヘマをしでかして自殺したらしい父親という存在以外には特に諜報という国家の重要任務に携わる強い動機付けが見当たらない。このいかにも普通な公務員風の役柄に多少肩透かしをくらったが、こういう普通の公務員だからこそ国の秘密任務のために家族まで犠牲にしなければならないジレンマが一層強く伝わってくるとも言える。タイトルにもそういう善良なシビル・サーバントっぽいニュアンスが漂っているし。
ただ、マット・デイモンの演技のせいか主人公に共感しづらいんだよな。。ユーモアのかけらもない堅物のキャラなのは設定だからいいけど、どうも演技に厚みがない。

マットとアンジェの代わりにもう少し面白い役者を起用してくれてさえいたら、文句なしに素晴らしい作品。


posted by onion_slice at 23:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ
2008年09月14日

ラスト、コーション

第二次大戦中、日本軍に占領された上海。
抗日演劇を上演していた学生たちがレジスタンス活動に足を踏み入れ、日本軍と癒着した役人イー(トニー・レオン)を殺害すべく仲間の女チアキー(ウェイ・タン)をスパイとして彼に接近させる。チアキーは任務のため色仕掛けでイーに迫るが、二人の肉体関係は激しさを増していき、複雑な感情が芽生えてくる。。

ハードなレジスタンス物を予想していたが、女スパイの揺れ動く心理をセクシュアリティたっぷりに描いたソフトポルノ路線という感じか。
実際、チアキーとイーのセックスシーンはかなり過激で、なかなか映画ではお目にかかれない色々な体位で絡みまくる。これ、映画館で観てたらけっこう気まずいだろうな、というか、隣に女性とかいたら思わず反応を横目で窺ってしまいそうだな、とか思ってしまう。

それにしても不思議なのは、映画でセックスシーンがあるとかなりの場合で男がいきなり挿入するんだけど、こいつらには前戯という観念がないのだろうか。

というわけでエロシーンはなかなか秀逸。チアキーが腋毛剃ってないのもなかなか演出が細かいな、と思った。

最後にどうでもいいが、トニー・レオンの顔が「Heroes」のアンドウ君に見えて仕方なかった。


posted by onion_slice at 20:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

20世紀初頭アメリカはカリフォルニア、石油をめぐる男の物語。

見ながら何かに似てるな、と思ってたが、キューブリックの「バリー・リンドン」をかなり意識してるような気がする。誇大妄想に取り付かれたような主人公が狂気へ堕ちていくストーリーもそうだけど、夕方の油井のシーンのライティングだとか撮影面でもそんな印象を受けた。「マグノリア」はアルトマンで次はキューブリックかよ。過去の独創的な監督の作品をインスピレーション源にするのはよいが、P.Tアンダーソンの場合、必ずしも自己流のスタイルに消化できず、傑作までいまひとつ届かない中途半端なレベルに収束してしまっている気がする。「これをモデルにしたんだね」、というのがあけすけに見えてしまい、しかも監督自身、過去の巨匠への自己同一化をしきりにアピールしたがっている感が少し痛い。実力はあると思うんだけど。。

終盤でダニエルが段々崩壊していくくだりはかなりグダグダ感が漂っていてちょっと見るに耐えなかった。ダニエル・デイ・ルイスの演技も巧いとは思うがどこかしらっこい。それからイーライという偽預言者。演技とはいえかなり気持ち悪い。唯一、ダニエルの息子H.W役の少年だけはかわいくてよかったが。

結論として、あまり好きなタイプの映画ではないです。しかもこの手の作品に限って無駄に長いんだよな。


posted by onion_slice at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ
2008年01月01日

今宵、フィッツジェラルド劇場で

1年ぐらい前に、"A Prairie Home Companion"という作品がロバート・アルトマンの遺作となったことを知り、はやく見たい、DVDとっとと出せよと思って待ってたがいつのまにかこんな邦題で出ていた。映画もどこかで公開したんだろうけどまったくアンテナにかかっていなかったよ。

アメリカで有名なラジオショー"A Prairie Home Companion"の最後のステージの舞台裏を描いていて、実際にラジオパーソナリティを努めたギャリソン・キーラーという人が出演している。カントリーとかゴスペル中心のアメリカのコテコテの大衆ショーって感じで、こういうのあまり好きじゃないと音楽シーンとか長くて多少つらいかもしれない。ただ、華やかな舞台の裏側の人模様を描くタペストリーみたいなドラマ演出は「プレタポルテ」や「バレエ・カンパニー」の系譜をしっかり受け継いでいて、安心のアルトマン印がついている。

IMDbによると、撮ったときすでに80歳いってたので、スタンバイ・ディレクターにポール・トーマス・アンダーソンが控えていたという。確かに、アルトマンの後継者を選ぶとしたら、アンダーソン以外には考えられない(もう一人のアンダーソン、ウェスも好きだけどアルトマンの流れを汲むという意味ではポール・トーマスだろうな)。アルトマンも「マグノリア」見て、こいつなら任せられると思ったんでしょうね。

小品だけど、最後に自分の作品のエッセンスが詰まった映画を残せて幸せに世を去った監督だと思う。



posted by onion_slice at 16:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ
2007年04月10日

マンダレイ

ラース・フォン・トリアーが「ドッグヴィル」に続いて撮ったアメリカ三部作の2作目。1930年代のアメリカ。未だに奴隷制度が廃止されていない大農園を舞台にアメリカの民主主義と差別の問題が語られる。

「ドッグヴィル」の続きなので主役はグレースという若い女性で、ストーリー設定も前作の終わりをそのまま引き継いで始まるんだけど、役者は入れ替えを行っていて、前作のニコール・キッドマンからブライス・ダラス・ハワードに交代している。これといって特徴のない女優なのが残念で、キッドマンに比べるとやはりインパクトが薄い。

女優の弱さ以外にも、閉鎖的な村でグレースが自由を説いてまわろうとし挫折を味わう筋書きや、人を食ったような前衛演劇じみたセットだとか、大部分は「ドッグヴィル」をそのまま踏襲していて、単に物語背景を移し替えただけのように見えるのが残念なところ。

「ドッグヴィル」みた人なら、見なくてもいい作品です。逆に「ドッグヴィル」見てなければ、この作品を見て新しさを感じるかもしれないのでどうぞ。トリロジーのラストとなる「ワシントン」に期待したいけど、予定調和に終わりそうな気もするな。



posted by onion_slice at 23:25 | Comment(1) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ
2007年04月08日

ブロークバックマウンテン

ブログ、半年放置していたがのんびりと復活を決意。かといって映画をここんとこ見ていないんで、これからは漫画とか別の話題もミックスしていこうと思います。

とりあえず復活1発目は暇で死にそうな正月に見たDVDから「ブロークバック・マウンテン」。

60年代のワイオミング。ブロークバック・マウンテンと呼ばれる山で羊を放牧する仕事に就いた二人のカウボーイの愛を描いたストーリー。

世にゲイの恋愛映画は数多あれど、カウボーイという一見最も男気のあふれるキャラクター同士の結びつきを描いたのは新鮮。お互い女性と結婚しながらブロークバックマウンテンでの生活が忘れられず、10年以上にも渡って禁断の愛に溺れて行く姿が残酷で美しい。ヒース・レジャーのぶっきらな感じとジェイク・ギレンホールの激しい情熱を秘めた繊細さのコントラストが非常によく描かれている。

脇役ながらアン・ハサウェイと「ランド・オブ・プレンティ」のミシェル・ウィリアムズの二人の女優もなかなかの光を放っています。おススメ。




posted by onion_slice at 12:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ
2006年07月16日

クラッシュ(2004,米)

映像的にはあまり新鮮味はなかったが、かなりよくできた脚本だった。さすが「ミリオンダラーベイビー」のポール・ハギスというだけのことはあるな。

白人、黒人、ヒスパニック、中国人、ペルシア人などいろんな人種の登場人物の日常が交錯してアメリカの都市が抱える差別の問題が浮かんでくるストーリーは練りに練られている。物語の最初から張りつめている人種間のテンションは最後まで解けることがなく、安易な和解でドラマ用の見せかけハッピーエンドにもっていかないところにリアリティがあっていい。

登場人物の多くが、レイシズムを嫌悪しながらそれに加担せざるをえない自分自身も嫌悪していて、特に黒人に同情している自分を正当化しながらも最後に無意識の人種差別意識が爆発して黒人を殺してしまい、おまけにとんずらしてしまう白人警官の描写は象徴的だ。

ただ、登場人物が多い話にありがちな欠点として、一人一人のキャラクターがやや類型的な気がする。マット・ディロンもドン・チードルも演技はいいけど、型にはまったキャラが引っかかる。サンドラ・ブロックに至ってはほとんどいなくていいような役回りだった。
あと、巨大都市LAに住む人種間の行き場のない感情やフラストレーションの衝突を車のクラッシュというメタファーにこめているのは嫌いじゃないけど、車の事故シーンとかもとってつけたようで、あんまり効果的に機能していないのが惜しい。

まあ、総合的には優れた映画で、クローネンバーグの「クラッシュ」に比べたらはるかに記憶に残る作品です。

posted by onion_slice at 00:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ
2006年07月01日

ランド・オブ・プレンティ(2004,米)

「パリ、テキサス」以来の最高傑作なんていう宣伝文句に期待して見てみたら、かなりがっかりする出来だった。
むしろこの映画を見た後では、80年代の映画でベスト10ぐらいに入れてもいいと思ってた「パリ、テキサス」も、振り返ってみると実は大した作品ではないんじゃないかと自分の観賞眼を疑ってしまうぐらい、「ランド・オブ・プレンティ」のヴェンダースには失望してしまう。

ベトナム戦争と911テロのトラウマを負った愛国心たっぷりの元軍人ポール(ジョン・ディール)が、アラブ人殺害事件の背後にテロ計画の匂いを嗅ぎ付け、国を救おうと奮戦するキャラクターからして痛い。物語の出だしからつまらないが、話が進むにつれつまらなさはエスカレートしていき、ポールが使命感に挫折して路頭に迷いかけたところで失った家族との紐帯を姪のラナ(ミシェル・ウィリアムズ)に見いだすという何のサプライズもない中途半端で無意味な結末に行き着くと、やっぱりか。。という失望にため息というか怒りを禁じ得ない。
ラナをもう少しうまく使えばなんとかなったろうに。

ポスト911の世界について何か表現したいという思いは一応伝わってくるけど、作品を感動ドラマに仕立てあげようとするあまり空回りして、チープなヒューマニズムに落ち着いてしまっているという印象は拭えない。これならスピルバーグの「ミュンヘン」の方が数倍面白いな。

posted by onion_slice at 16:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | 正統派ドラマ

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。