2005年03月27日

ブラッド・ワーク(2002,米)

レクター博士以降、雨後の竹の子のように出たシリアルキラーものだが、悪趣味さだけが印象に残る「セブン」以外はあまりインパクトのあるものがない。
そうした中、さすがイーストウッド、とうならせる出来の作品が「ブラッド・ワーク」だ。殺人犯を追いかける途中で心臓発作に倒れFBIを退く老刑事マッケーレブ(イーストウッド)。事件から2年後、心臓移植を終え、波止場のギャレーで平穏に暮らしていると、彼への心臓のドナーの姉が訪れ、殺害された妹の事件の真相を追って欲しいと頼まれる。最初無関係に思えた強盗殺人事件だが、糸を辿っていくと2年前マッケーレブを引退に追い込んだ事件とつながっていることが判明する。

心臓を与えてくれた人間への誓い、日本流にいうと義理から、現職を退いてもたった独りでカウボーイのように犯人を追いつめていき、最後は依頼人の若いメキシコ娘のハートをGETしてしまう、渋みあふれる老境のデカ。こんな役がぴったりなのはロバート・デニーロでもアル・パチーノでもなく、イーストウッドしかいない。

プロファイルにより犯人像を浮き彫りにしていくというプロットはありきたりだが、「ポートピア連続殺人事件」のヤスのような役回り(わかる人にはわかる)を演じるキラー役のジェフ・ダニエルズの存在感が傑出していて、イーストウッドに「俺とおまえはカインとアベルだ。おまえは俺という殺人犯がいなきゃ生きられないし、俺はおまえのように追いかけるやつがいないと楽しくねぇんだ」と喜々としてまくしたてるキモさ加減が秀逸。

映画の最初から最後まで悪態ついてるメキシコ人警官や、マッケーレブ刑事にほれてるらしき黒人女性警官といった端役も素晴らしく、単なる心臓びっくりスリラーでは終わらない深みのあるドラマになってる。グッジョブ。
posted by onion_slice at 19:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス・ホラー
2005年02月16日

呪怨(2002,日)

普段見るタイプの映画じゃないが、テレビでやってたので見た。くそつまらん。古臭いストーリーとド下手で不自然な演出、素朴な演技の大根役者と3拍子揃ったへたれぶりとくる。キャラクター同士を連鎖的にたどっていくというオムニバス形式をとってるんだが、ちぐはぐな説話とテンポの悪さが救いようもなく、物語の時系列をちょいといじってみたりしているのもまるで必然性なし。それは大目に見ても、とにかくまったく怖くない。あほそうな子供が白粉顔に塗って体操座りしてるだけである。眼をぎろりと向く以外何のとりえもなさそうな女の幽霊役がわざとらしく地面を這っているだけである。いや、こきおろす甲斐もないほどしょうもない映画だな。
posted by onion_slice at 20:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス・ホラー
2005年01月23日

アザーズ(2001,米)

監督アレハンドロ・アメナバール、主演ニコール・キッドマン。舞台は1945年のイギリスの小島。キッドマン演じる、夫が戦争から帰還しない若い母親が、太陽光アレルギーで外に出れない二人の子供と、カーテンを閉め切っただだっぴろい屋敷に住んでいて、3人の召使を雇う。そのうち屋敷内で奇怪な現象が起きる・・・、という古典的な幽霊モノの設定。序盤〜中盤まで、(幽霊が)出そうだ、出そうだ、という雰囲気でひっぱる昔ながらのストーリーテリングなんだが、独特なゴシック風演出で、幽霊がなかなか出なくても十分クリーピーな効果を上げている。ラストのオチは、ありがちといえばありがちだが、話を追ってるうちはそういう結末だとは予想してなかったので素直に驚いた。冒頭から聖書の引用とかやたらに出てくるので、そこは予想できてしかるべきだったが。

ニコール・キッドマンがそんなに優れた女優だとも思わないけど、昔と比べると、一作ごとに変貌してきているような気がする。イギリス人のアクセントでフラジャイルな母親をうまく演じていてグーだった。久しぶりに、首の後ろが冷たくなるような映画を見ました。
posted by onion_slice at 20:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス・ホラー
2004年12月12日

ヴィドック(2001,フランス)

「ヴィドック」はピトフというフランス人のとった異色探偵モノ。ピトフっていうのはニックネームらしい。ドパルデュー演じる主人公がいきなり死ぬシーンから始まって第3者の視点から遡及的に物語が展開していくというナラティブと、ハリウッドとは趣向の違う絵画的なデジタル映像のトリックが新鮮でまったく飽きなかった。七月革命前夜のパリの空気もよく表現されていて、アヘン窟やら売春宿やら、ボードレールの詩を思わせる退廃さ加減も独特な演出ぶりだ。ピトフはあの「AKIRA」の映画化権ももってるそうで、こやつなら原作負けしないそこそこ面白いモノつくれるかもしれないと思わせる渾身の一作。
posted by onion_slice at 23:45 | Comment(0) | TrackBack(0) | サスペンス・ホラー

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