2009年11月23日

メリンダとメリンダ

監督ウディ・アレン、出演ラダ・ミッチェル、ウィル・フェレル、クロエ・セヴィニー、2004年。

ひさしぶりの映画記事更新になった。半年近く映画館にもツタヤにも行ってない気がする。最近の映画ソースはもっぱらBS/CSだ。

ブランクがあったから頭を空にして楽しめる映画を期待していたが、期待に反して面倒くさい作品だった。タイトルにメリンダが二人出てくるわけだが、二人の別々のメリンダさんがいるというよりは、同じメリンダという女を喜劇作家と悲劇作家のそれぞれの視点から別人のように描いている。「羅生門」の手法を借りて悲劇と喜劇を一緒に語るという試みだ。

この欲張りな試み自体は評価したいところだけど、どうも形式が内容に先行しすぎていて頭でっかちな作品の印象を受ける。内容としての悲劇・喜劇の質が明らかに低く、アレンというよりアレンのスタイルを真似てどっかの駆け出しのスノッブな脚本家が描いたかのように、パンチのない気の抜けたウィットとうんざりするような陳腐さに満ちている。

おまけに、つまらない悲劇・喜劇を無理やり結合することで無駄に分かりにくくしている傾向がある。

悲劇版メリンダは陰鬱なメークアップと自虐的性格で、喜劇版はあけすけで解放的な性格。なのでよく追っていれば混同することもないのだろうが、メリンダの周りのキャラがそれぞれの話で異なるためか、人物関係図がいまいち頭に入りづらく、面倒くさい。まあどっちも同じような男女間でくっついたの離れたの、な展開なのであまり気にはしなかったが。

それにしてもクロエ・セヴィニーって、意外と年齢がいっていて、自分より上なことに驚いた。「KIDS」の頃すでに20超えていたのね。
あと、ごく脇役だがジョシュ・ブローリンが出ていた。


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2009年05月09日

無ケーカクの命中男

監督ジャド・アパトウ、主演セス・ローガン、キャサリン・ハイグル。原題"Knocked Up"(2007)

邦訳の通り、ナンパした女との一夜で運悪く命中させてしまった無ケーカク男の話。

はらんでしまった(英語で"knocked up"というらしい)女アリソン(ハイグル)にとってみれば、酔った勢いが醒めてみると相手のベン(ローガン)が全然タイプでない。経済力もなく、駄目な友人と半エロサイト運営して生計を立てることをもくろみながら遊んで暮らしているしょうもない男で、8週間後に妊娠に気づいたときは人生が終わったかのように愕然とする。

不運に打ちのめされながらも、赤ん坊をつくってしまったという動かぬ現実を受け止め、自己中な男女がお互いを知り責任をもって家庭を築こうと奮闘していくのがユーモアたっぷり描かれていて楽しい。笑いをしっかり取りながら泣きどころも押さえたコメディの王道パターンで、個人的にいちばん好きなジャンルである。出産シーンではおかしいんだけど涙が出てくる泣き笑い状態になってしまった。

こういうのを見ると、こないだ見た「バベル」なんかがますます、イカサマ臭い家族愛を大仰に演出しただけのウンコ映画に思えてくる。

同じ監督の「40歳の童貞男」は未見だが、これは是非見なければなるまい。


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2009年05月06日

ヒューマン・ネイチュア

監督ミシェル・ゴンドリー、脚本チャーリー・カウフマン、出演パトリシア・アークエット、ティム・ロビンス。2001年。

毛むくじゃらの女性が主人公のラブコメということでキワモノ扱いして見てなかったのは失敗だった。なかなかの面白さ。
性欲に溺れる登場人物たちの滑稽さをこれでもかと描いていて、遺伝子的には大して変わらない類人猿と人を区別するのは野生と文化の違いだという通念を笑い飛ばすような皮肉たっぷりのエキセントリックなコメディになっている。

まじめ一筋で生きてきたがライラ(アークエット)との出会いをきっかけに色欲に猛進していく博士役のティム・ロビンスがよい。それから博士を誘惑するフランス娘ガブリエル(ミランダ・オットー)がセクシーで可愛い。聞かない名前だが「宇宙戦争」に出ている女優のようだ。


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2009年05月05日

僕のニューヨークライフ

監督ウディ・アレン。主演ジェイソン・ビッグス、クリスティーナ・リッチー。原題"Anything Else"(2003)

NYの若手コメディ作家ジェリー(ビッグス)が浮気性の彼女アマンダ(リッチー)に苦しめられ、年上の作家仲間ドーベル(アレン)に助言を受けながら苦難を切り抜けようとする。

アレンの映画の特徴である知的な意匠と皮肉をちりばめた饒舌な台詞回しは相変わらずだが、ほとんどは単に饒舌なだけでユーモアの切れ味を欠いていてつまらない。結果として、笑いどころもなくテンポもつまり気味な質の低いコメディになっている。

ジェイソン・ビッグスがあまり好きになれない。まあ主人公の設定として、寝取られて嫉妬から狂気の行動に走る悲劇型でもショックから駄目になっていくルーザー型でもでもないので、これぐらいぱっとしないニュートラルな役者がちょうどいいんだろうけど、なんというか薄すぎて映画見終わったあと印象がまったく残っていない。

クリスティーナ・リッチーの使い方も微妙。ジェリーと寝るのを過呼吸でごまかして拒否るシーンだけはちょっと面白い。


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2009年04月30日

マルコヴィッチの穴

しがない人形使いがジョン・マルコヴィッチの脳へ通じる穴を発見する。

この手の奇をてらった着想の作品というのは、着想が思いつきのレベルにとどまって作品の可能性を開ききれないまま終わってしまうものが多いけれど、話を誰にも予測できない方向へ異様な力で捻じ曲げて発展させていく稀有な脚本によって素晴らしい映画に仕上がっている。

殻を破り脱・駄目人間を図るギークっぽい主人公(ジョン・キューザック)やら、マルコヴィッチの視点から女を眺めることで自分の中の男性的理想像に目覚めていく妻(キャメロン・ディアス)やら、人々の変身願望をマルコヴィッチの穴という装置を通して描く手法が巧すぎる。

そして、自分の欲望のためなら人の脳をかき回してもかまわないと思ってる無茶苦茶な主人公たちに容器代わりに使われるという哀れな役柄を快く引き受けるジョン・マルコヴィッチに愛着を感じずにはいられない。確かにこのチャーミングなおっさんを15分だけ体験したくなる。ちなみにこの15分のマルコヴィッチ体験って、ウォーホルの15分をパロディ化してるんだろうかね。


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2009年04月25日

タロットカード殺人事件

原題"Scoop"(2006)

監督はウディ・アレンで、2005年の「マッチポイント」に続いてロンドンが舞台。新聞記者志望の学生サンドラ(スカーレット・ヨハンソン)が、死んだ敏腕記者ジョー(イアン・マクシェーン)が冥土から伝えるメッセージを便りに連続殺人犯を追う。

ヨハンソンのパートナーとなる手品師役はアレン、英国貴族の仮面をかぶった殺人犯の役にヒュー・ジャックマン。ウルヴァリンの人ね。

スクープ事件の追跡を幽霊がガイドするアイデアは面白いが、中身はよくある類のコメディとサスペンスがほどよくミックスされた素人探偵活劇で、新鮮味には欠ける。1993年の「マンハッタン殺人ミステリー」で、アレンのパートナーを若くして街をNYからロンドンに移し変えた感じかな。

アレン&ダイアン・キートンは、噛み合っているんだか噛み合ってないんだかよく分からない掛け合いを果てしなく続ける意識的なボケ役と天然ボケの2人というコンビが絶妙だった。それに比べるとヨハンソンは隣で暴走するアレンに対して中途半端な受け流しに終始している印象が否めない。もう少し弾けた役作りだとよかった。

しかし、雨が降って外に出たくない今日のような休日に時間つぶしとして見るには普通に楽しめる作品だ。

アメリカンヒーロー像への諧謔的なアンチテーゼたっぷりのラストシーンはいかにもウディ・アレンらしい。



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2009年04月19日

誘惑のアフロディーテ

ウディ・アレン作。1995年。原題"Mighty Aphrodite"。

養子にとった子供が可愛くて仕方のない親ばかのスポーツ記者(アレン)。アートキュレーターの妻との生活がしょっぱくなり出し、ますまつのる子供への愛が嵩じて息子の実の母を探し当てるとポルノ女優だったというお話。

息子の母だが妻ではないプロ女という妙な立場にいる女性にくらくら惑わされながらも、欲望ははねつけ、息子の実母としてまっとうな生き方をしてもらうべく四苦八苦する主人公がコミカルだ。

アカデミー助演女優賞獲っただけあって、ミラ・ソルヴィーノの役作りはよい。あの大きな体と甲高い声で繰り出されるハイテンションな演技はいやおうなく頭にインプットされたので、今後ミラ・ソルヴィーノとミラ・ジョボビッチを混同しない自信はある。

一点、妻の浮気の伏線は作品の展開に必ずしも有機的に溶け込んでいる感触がなかった気がする。ちなみに妻役のヘレナ・ボナム・カーターはティム・バートン映画によく出ている人。

「マンハッタン殺人ミステリー」と同様、DVDは廃盤?なのかな。

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マンハッタン殺人ミステリー

CSのシネフィル・イマジカを視聴契約した。BSの映画も毎日のように録り溜めしていて、映画熱がじわじわ復活してきた今日この頃。BS/CSだけで見切れないくらいの映画をやっている。
あとはツタヤで話題作を遅ればせに借りて観れば映画生活的にまったく問題ない。唯一嘆かわしいのは住空間上、ホームシアター構築が困難なことぐらいか。

さて、シネフィル・イマジカでなぜかウディ・アレンを集中的にかけているんだけど、ちょうどこないだ「マッチ・ポイント」を観たばかりでグッドタイミング。

93年作の「マンハッタン」は、観るのは2度目だけどやはり面白い。ペダンチックな早口トークを繰り出すアレンと、軽い躁病に見えなくもない天真爛漫な妻役ダイアン・キートンのコントのような掛け合いの呼吸が素晴らしく、生き生きとした即興感がある。アンジェリカ・ヒューストンが絡んでくるあたりからのプロットのほどよい壊れ方も好きだ。

もう更年期に近い中年なんだけど、チャーミングで愛らしい夫婦を描いたなかなかの佳作だと思う。

ちなみにアマゾンで在庫ないようだがDVD廃盤なのかね。


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2009年03月30日

サーチャーズ2.0

最近、コロンボブログのようになってしまっていたが、このままではいかんということで3ヶ月ぶりに映画を観た。

TSUTAYAの棚を占領するメインストリーム作品もいいんだけど、どうにもそそられず。そんななか、棚の隅っこで1本だけひっそりと誰にも借りられずに佇んでいるアレックス・コックス作品に遭遇してしまったので即決。バウスでやっていたが見逃したやつだ。

タイトルだけでなく、復讐を主題にしたストーリーもジョン・フォードの「捜索者」を意識しているわけだが、中身は徹頭徹尾コックス流。幼い頃、子役として出演した西部映画で自分たちを鞭打ったサディスト脚本家にリベンジするため、二人の初老の俳優(と内一人の娘)がアリゾナに向かうロードムービー。

しかし、なにしろ数十年前のことだし本人たちもすっかり年老いて現役を離れた役者なので、憧れている「捜索者」のウェインや「アウトロー」のイーストウッドのようにギラギラと血に飢えた復讐者には不釣合いで、リベンジを目的とする旅は二人のシネフィル爺のぐだぐだ映画談義に終始する。

この確信犯的なぐだぐだ感がたまらない。(最高の戦争映画は?との問いに意外とミーハーな作品を挙げたり、重要な役者名を覚えていなかったりとややピンボケしたシネフィル度合いがまたうさんくさくて好きだ)また、生ぬるいプロットに絶妙にマッチしたローバジェット臭は、さすがロジャー・コーマンとしか言いようがない独特さがある。

というわけで、久々に80年代のコックス映画も見たくなった。最近、新作映画に食指が動かないので昔の作品を見直そうと思う今日この頃。ブログを別に立ち上げようかな。。


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2008年09月20日

ダージリン急行/ホテル・シュヴァリエ

1年間絶縁していた3兄弟がもう一度絆を深めるため「ダージリン急行」に乗ってインドへ旅する。

お互いを必要としているのにすれ違いだらけの家族の修復というテーマは、ウェス・アンダーソンの全2作「ロイヤル・テネンバウム」に「ライフ・アクアティック」を見てる人にはすっかりお馴染みだ。ただ、作風としてはデビュー作の「アンソニーのハッピー・モーテル」に近い。
時に悪ノリが過ぎてうっとうしいが憎めないディグナムキャラ全開のフランシス(オーウェン・ウィルソン)と、彼に反発しながらも行動をともにする2人の兄弟ピーター(エイドリアン・ブローディ)&ジャック(ジェイソン・シュウォーツマン)。兄弟でありながら友人でもある3人組の、死ぬまで一緒にいようぜダチ公、的な心の交感が熱いロードムービーになっている。

映画の尺としても「アンソニー」とぴったり同じ91分というのが単なる偶然と思えない。「テネンバウム」、「アクアティック」と段々作品のスケールがでかくなって一般市民離れしたゴージャスリッチなブルジョワファミリー路線に突き進みそうな勢いだったが、原点回帰の意味をこめた一作だったのでは、と個人的に思う。

完成度としては「アクアティック」に及ばないとしても、アンダーソンらしいユーモアはたっぷり詰まっていて期待は裏切らない。ウィルソンがいきなり顔面包帯だらけで登場して、回想他2シーンをのぞくと最後までとらないという人をくったような演出は健在。

DVDには「ダージリン」のプロローグ的作品(だが、本編の後で見たほうがよい)「ホテル・シュヴァリエ」も収録。わずか13分の作品だが、短髪のナタリー・ポートマンが裸になるなどちょっとどきっとするシーンもありです。


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2006年02月10日

ビー・クール(2005,米)

「パルプ・フィクション」以来11年振りの、ジョン・トラボルタ&ユマ・サーマンの顔合わせ。でもって原作はエルモア・レナード。タランティーノとその周辺の人たちの映画が好きならついつい食指が動く組み合わせだ。

話はレナード原作でトラボルタ主演の映画にもなった「ゲット・ショーティ」の続編で、チンピラの成り上がり映画プロデューサー、チリ・パーマ−(トラボルタ)が、今度は音楽産業に目を付ける。ロシアン・マフィアやギャングスタ・ラッパーやごろつき音楽レーベルの連中(ハーヴェイ・カイテル、ヴィンス・ヴォーン、ザ・ロック)に付けねらわれながら得意の機転とハッタリでピンチをしのぎ、拳銃一つ使わず危なっかしいやつらの間をすりぬけるチリ・パーマーみたいなキャラクターを生み出せるのはエルモア・レナードしかいないし、トラボルタ以外に演じこなせる俳優を思いつかない。

ユマ・サーマンは相変わらずバツグンにいい女で冒頭のキワドい水着ショットだけで悩殺もの。しかし、役柄的には今ひとつ。「キル・ビル」の後だからあまりに普通に見える。ハーヴェイ・カイテルはこの手の役やらせたら右に出る人はいない。エアロスミスのスティーブン・タイラーなんて珍しい人も出てて、チョウチンアンコウとかあのあたりの、深海魚系の不思議な顔は笑ってしまいます。

個人的にはヒップホップ・カルチャーとかまったく好きじゃないけど、この映画はかなり楽しめた。ロシアンマフィアとギャングスタとカイテル一派の三つどもえシーンなんて、「トゥルー・ロマンス」かよ(笑)。

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2006年01月08日

ブギーナイツ(1997,米)

タイトル見ると、ださいアフロ達がデスコでフィーバーしてる映画を連想する。確かにデスコ全盛の70年代が舞台になっているが、中身はポルノ映画。というか、当時のポルノ産業についての映画だ。

高校にも行かずバイトに明け暮れるエディ(マーク・ウォールバーグ)が、ピンク映画界の重鎮ジャック・ホーナー(バート・レイノルズ)にスカウトされ、驚異的な巨根でスターダムにのし上がっていく。この発想のくだらなさがいい。

ヘザー・グラハムとジュリアン・ムーアがポルノ女優役で、期待満々だったけれど絡みが控えめなのが惜しい(乳ぐらいは見えます)。それでも、ジュリアン・ムーアは派手な露出なしでピンク女優っぽいすけべなオーラ振りまいていて見応えはあり。

エディがスターになった後は、多少中だるみ的なシーンが続く。後半からは皆コカインやりだしてぶっ壊れてきて、「スカーフェイス」のポルノ版みたいになって、退屈さも感じてきたところにかなり派手なバイオレンスシーンが出てきてまた少し面白くなる。特に最後の、ブリーフ一丁のクレイジーなディーラーの家でヤクの取引するシーンはすごい。「マグノリア」でも思ったけど、ポール・トーマス・アンダーソンは編集がうまい。サウンドも駆使して独特なリズムを作り出してる。あの爆竹は大したもんだ。
冒頭の、ストリートからクラブの中に入ってくるカットなし一発移動ロング・シーケンスも神業的で、当時の年齢が27歳とは信じがたい。
一つ難癖つけるなら、中盤からクライマックスにかけてやや話を引き延ばしすぎかな。「マグノリア」もそうだけど、後半が必要以上に長い。

最大の見所はなんと言っても、ラストシーンでエディが巨根を披露するところだ。あのデカさは爆笑ものだけど、さすが日本、しっかりモザイクかかっているため面白さが半減します。

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2005年11月30日

ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001,米)

監督ウェス・アンダーソン。出演ジーン・ハックマン、アンジェリカ・ヒューストン、ルーク・ウィルソン、ベン・スティラー、グウィネス・パルトロウ、ダニー・グローバー、オーウェン・ウィルソン、ビル・マーレイ、シーモア・カッセル他。

「ライフ・アクアティック」の素晴らしさを知って遅ればせながら「テネンバウム」を見てみたが、「アクアティック」同様、パーフェクトといっていい見事な映画だった。

ロクデナシの親父が冷えきった家族関係を修復しようと奮闘するテーマは「アクアティック」と同じで、人物相関の構図とかもかなり似てるんだけど全然飽きない。話の展開的にマンネリに陥りがちなところを救ってるのはアンダーソン独特のコミカルなテンポと演出のチャーミングなディテールだ。やもめのチャスが二人のパーマがかった頭の息子と3人揃ってずっと田舎臭い赤ジャージ着てたり、リッチーが自殺未遂の前に長髪とひげを丹念に刈り込んだりと、細かいところに演出が行き届いてる。

「テネンバウム」ではわりと脇役的なビル・マーレイとオーウェン・ウィルソンが「アクアティック」ではメイン役になってくるあたりのキャスティングも面白い。

すげえ才能だぜ、ウェス・アンダーソン。早く新作撮れって。

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2005年11月26日

恋は邪魔者(2003,米)

レニー・ゼルヴィガー&ユアン・マクレガーのラブコメ。
メーン州から"Down with Love"というフェミニスト本引っさげてニューヨークにやってきた作家バーバラ・ノヴァク(ゼルヴィガー)。本がベストセラーになったことから世の女が自立に目覚め恋を放棄し、そのおかげで相手にされなくなった悪名高いプレイボーイ記者キャッチ・ブロック(ユアン)がバーバラに近づき恋に落とそうとする。

60年代風のセットとか衣装はよく揃えていて、ぱっと見、当時の洒落たミュージカル映画のような雰囲気だ。
最初の方、笑いどころが微妙なぎこちないシーンが続き、このノリで最後までだったらきついな、と思ったが、本が売れてブロックがリベンジのためバーバラに近づくあたりからはそこそこ面白い。電話のシーンでスクリーンが二つに分割されて、お互いの話してる姿がエロチックに重ねられるところなんか60年代っぽくていい。

ちょうどこれと一緒に見たラブコメ「ディボース・ショウ」も同じような展開で、男と女が互いを出し抜き合って、相手を打ち負かしたと思ったら実は裏の裏をかかれていて、最後は結局ドローみたいな感じで今までの反目を忘れて恋に落ちる、というお約束ストーリーなんだけど、そのお約束を成就させるためにいろんな変化球で攻めてくるのがラブコメの面白いところだ。

ユアン・マクレガーは「ビッグフィッシュ」で演じたような飄々とした軽さが役柄にマッチしてる。レニー・ゼルヴィガ−は可愛いようでやっぱり可愛くないんだけどこういうキャラは合ってる。

まあしかし全体的には、サブくて甘ったるい映画でした。

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ディボース・ショウ(2003,米)

コーエン兄弟のラブコメ。

マリリン・レックスロス(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は金持ち相手に結婚して浮気をするようしむけて離婚し、慰謝料をかっさらう女詐欺師。不動産会社の社長をカモったはいいが、やり手弁護士マイルズ・マッシー(ジョージ・クルーニー)に手玉にとられ、一銭も手に入れられずに訴訟が終わる。人生の初めての敗北に屈辱を覚えたマリリンはマイルズをやりこめようと新たな結婚詐欺を計画し、連戦連勝で弁護士稼業に飽きてきていたマイルズも、美貌と知性を備えた悪女マリリンに魅惑され、彼女の挑戦を受けて立つ。

離婚訴訟を題材に、男と女が惹かれ合いながらお互いを打ち負かそうと対決する心理を絶妙に描いたコメディで、最後に勝つのはどっちなのか、最後まではらはらさせてくれる展開がめちゃくちゃ面白い。コーエンの最近の作品ははずれがないが、特に好きな一作になった。はちゃめちゃな逆転劇だけど最後は落ち着くところに落ち着くラブコメ王道の演出がとにかくすばらしい。

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2005年11月03日

コーヒー&シガレッツ(2003,米)

ジム・ジャームッシュの映画を久しく見てなかったが、「コーヒー&シガレッツ」はなかなか面白い。

タバコとコーヒーを手にした友人同士、いとこ同士、恋人同士、ミュージシャン同士、俳優同士といった男女がテーブルを挿んでただとりとめのない会話をやりとりする様子を、1編のランタイムが数分の短編オムニバス形式の白黒で撮るというスタイルがいかにもジャームッシュらしく、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」以来不変の頑固な映画作りの姿勢は相変わらずだ。

個人的に気に入ったエピソードは、イギー・ポップ&トム・ウェイツ編、ケイト・ブランシェットがいとこの二役を演じる「いとこ同士」、高飛車役者スティーブ・クーガンとの遠い血縁関係を種に友情を押し付けるアルフレッド・モリーナの「いとこ同士?」といったところ。

ぼけーっと見るにはぴったりの映画です(皮肉じゃなくて、褒め言葉)。タバコとコーヒーのみながら見てください。

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2005年10月19日

ライフ・アクアティック(2004,米)

ウェス・アンダーソン監督の海洋冒険映画。

親友のクルーを「ジャガー・シャーク」に食われた海洋学者兼ドキュメンタリー映画作家であるスティーブ・ズィスー(ビル・マーレイ)が復讐のため、彼の率いるチーム・ズィスーとともにベラフォンテ号でサメ退治の航海に出る、というストーリーなんだけど、航海をドキュメンタリー映画にする製作資金の獲得の話だとか、ズィスーの息子かもしれない青年ネッド(オーエン・ウィルソン)への愛情、明らかに力関係では上にいる妻エレノア(アンジェリカ・ヒューストン)との夫婦危機、電気クラゲの浜辺に突然現れる妊娠した記者ジェーン(ケイト・ブランシェット)とネッドとの恋愛とか、海賊の襲撃とか、紆余曲折するコミカルな話の展開が面白くサメのことなんぞ忘れてしまう。

ビル・マーレイ、シブいがわがままで挫折感のにじみ出たキャラがいい。赤い帽子とユニフォームの組み合わせが限りなくキュートなおっさんだ。

「クレヨン・タツノオトシゴ」やら「キャンディ・ガニ」やら不可思議な架空の海洋生物のCGとか、アコースティック・ギターもってブラジル語でデヴィッド・ボウイの懐メロを歌い続ける男とか、挙げたらきりがない凝ったディテールの数々もひたすら楽しい。ベラフォンテ号内部のクレーンショットとかもさりげなく非常に高度な技術だし、繰り返し見ないとこの作品の面白さを骨まで味わえないと思う。監督と俳優とスタッフの創造的なインスピレーションがあらゆるカットから伝わってくる、文句なしのマスターピースだ。これは本当に素晴らしい。

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2005年10月12日

ジョニー・イングリッシュ(2003,英)

「ミスター・ビーン」でおなじみのローワン・アトキンソン主演のお笑いスパイ映画。

女王を退位させイギリスを支配しようとするフランス人パスカル・ソヴァージュ(ジョン・マルコヴィッチ)の陰謀を食い止めようとする無名諜報部員ジョニー・イングリッシュを描いたストーリー。
何をやってもドジをふむジョニーが笑える。敵を銃で牽制してる最中にマガジンが床にぼとっと落ちたり、アジトに潜入しようとしてパラシュートで飛び降りた先が隣の無関係のビルだったり、まあこうして言葉で書いても何の面白みもないお約束ネタの連続なんだが、この人がやるとつい笑ってしまう。なかでも回転寿司屋のシーンは爆笑ものなので是非見てほしい。どこで覚えたんだよ、っていう驚くべき日本語が出てきます。
それからパスカルを演じるマルコヴィッチがかっこいい。長髪にしてるのは初めて見たがシブい。しかも(アメリカの役者ながら)フランス訛りの英国語をしゃべるという設定が凝っていて、フランス語独特の"r"発音を挿んだアクセントの台詞が非常に聞いてて楽しい。こいつはやはり才能がある。

コメディって1分に1回ぐらいは笑わせなければならないから、だんだん後半部でマンネリになって尻すぼみになりがちだが、最後までアトキンソンのアホアホパワーがフルスロットル状態で飽きなかった。イギリス人の笑いのセンスは高いな。

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2005年09月04日

サイドウェイ(2004,米)

監督・脚本アレクサンダー・ペイン。出演ポール・ジアマッティ、トーマス・ヘイデン・チャーチ、ヴァージニア・マドセン他。小説の出版をめざすさえない英語教師マイルズ(ジアマッティ)と、その友人で1週間後に結婚を控えていて独身生活の最後を楽しみたいジャック(チャーチ)がそれぞれワインと女を求めてカリフォルニアを旅するロードムービー。

ジャックが難なく女をゲットするかたわら、優柔不断なマイルズは離婚した女への未練たらたらで、せっかくモーションかけてくれてるマヤ(マドセン)にも応じずワインの蘊蓄を披露し、ひたすらワイナリを訪れテイスティングすることにのみ専念する。そのくせマヤのことが好きなのだが、自分の本が出版されるという小さな嘘をついたのがバレて失望されることが怖いがために彼女に深入りしないようにしようと自分に口実を設けて行動を起こそうとしない、典型的なLOSERだ。この負け犬中年が友人との1週間の旅の中で自分のつまらなさに直面させられ、人生の挫折という多くの人が経験しなきゃならないリアリティといかに格闘するのか、をユーモアたっぷりに描いたのがこの小さな映画の醍醐味だ。

主演のジアマッティの、情けなさがにじみ出た自虐的な演技も良いが、ヴァージニア・マドセンの演じる優しさと哀しさと陽気さが解け合ったようなキャラクタ−、マヤがとても素晴らしく、生き生きしてる。

退屈な毎日の繰り返される中年になっても、こうした映画が作られ続ける限り人生に対して絶望することはないだろうと思わせる、小さなハピネスと希望の詰まった映画で、上物のワイン一杯飲むようなほろっとした切ない甘さが魅力の作品でした。

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2005年08月28日

ショーン・オブ・ザ・デッド(2004,英)

今年観た中で一番面白いかもしれない。

監督はまだ若いエドガー・ライト、出演サイモン・ペッグ、ケイト・アシュフィールド、ニック・フロスト他。
タイトルでわかるように、ロメロのホラー映画の古典中の古典「ゾンビ(原題"Dawn of the dead")」が下敷きになってる。ショーンってのは主人公(ペッグ)の名前だ。ショーンは電器屋の販売店で働き、飲んでねそべってTVゲームをするだけの悪友エド(フロスト)と一緒に住み、彼女のリズ(アシュフィールド)と会うときもこいつを連れてパブにしかいかないので、リズは愛想をつかし、ついに駄目な彼氏をダンプすることを決意。失恋にハートブレイクしたショーンはエドと一緒に酒を飲んでばか騒ぎするが、一夜が明けると突然街が緊急事態になってることに気づく。死者がゾンビとなって蘇り、生きてる者を襲い始めてるのだった。ショーンとエドは家の回りに押し掛けるゾンビを蹴散らし、リズたちを助けにいくことを決心する。

突然ゾンビが現れるシチュエーションのナンセンスぶりも楽しいが、そうした異常事態にもつねにコミカルに対応するショーンとエドの漫才に近いコンビネーションが最高だ。庭に最初のゾンビが現れたとき、ゾンビの頭を破壊すればいいとニュースで知り、物置をあさり古いレコード盤を投げつけるんだが、こんな際にもプリンスは投げちゃ駄目だとかダイアー・ストレーツなら投げていいとか言い合うシーンなんてかなり受ける。

ゾンビからの逃走の最中もこれでもか、というぐらい笑えるネタのオンパレードで、オフビートなノリ全開で楽しませてくれる。この作品で何度笑ったか数えきれないほどだ。それもアメリカ製じゃなくイギリス製ってのが面白いとこで、英国特有のシニカルなコメディ・センスの王道をいってる感じだね。
しかも笑いだけじゃない。家族とか友情とか愛っていうテーマがちゃんと盛り込まれてて、かなり泣けるシーンもある。泣けて、笑える映画ってコメディにしかできないし、コメディでもただおバカなノリだけで突っ走るんじゃなく、泣きの要素を入れるのはかなり高級芸だと思うけど、この映画はそれを実践してる。

それから、ただのTV上がりのディレクターでは終わんねーやつだなと思える演出上のテクを監督が持ってるのは確かだ。最後のパブでの死闘で、突然ジュークボックスから鳴りだしたクイーンの"Don't Stop Me Now"のリズムに合わせてゾンビをモップかなんかで殴るシーンは最高に気に入ったシーンの一つだ(本当にDon't Stop Me Nowと言わんばかりに殴り続ける)。他にもクイーンの楽曲を、これしかない!、ってシチュエーションで使ってるのがあるけど、これはラストシーンだからネタ漏らしはやめとこう。そのラストシーンもこれ以上考えられないってくらい面白い。

DVDのパッケージにタランティーノが最高傑作だとか推薦文を載せてるんだが、確かに近年まれに見る最高傑作だ。悪いが「キルビル」なんかよりもずっと面白いし、ロメロの「ゾンビ」と比較しても、本家食っちゃってるね。

これは最高に好きだ。DVD買って是非持っておきたい一作だぜ。

posted by onion_slice at 15:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | コメディ

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