2010年03月06日

ペルセポリス

2007年フランス。監督マルジャン・サトラピ、ヴァンサン・パロノー、出演(声)キアラ・マストロヤンニ、カトリーヌ・ドヌーヴ。

イラン革命、イラン・イラク戦争の激動下で少女時代を過ごし、留学先のウィーンでつかの間の西洋社会の自由を謳歌した後再びテヘランに戻り、宗教的弾圧が支配する現実を目の当たりにする、というフランス在住の漫画家サトラピの実体験に基づくアニメ映画。

イランの代表的映画監督キアロスタミの作品からは、天真爛漫な子供が楽しくもありしょっぱくもある現実の中で生きているほのぼのとした日常が伝わってくるわけだが、一方で、イランは革命と戦争の国であり、弾圧の国でもある。宗教と政治権力が分かちがたく結びついた社会のなかで、こそこそと西洋流の娯楽を楽しみ、性的な抑圧にさらされながら生きる女性。つねに不安と恐怖と向かい合う現実。こうしたテーマが、サトラピの乾いたユーモアたっぷりの語りから生々しく伝わってくる。

一見ちびまる子ちゃんのような画風だが、どこか虚無感が漂う映像空間と、つねに輪郭が揺れ動いているようなアニメーション効果があいまって独特な不気味さが体感できる作品。


posted by onion_slice at 23:31 | Comment(0) | アニメ
2008年10月04日

ハウルの動く城

地上波でやっていたのでようやく見た。
特にジブリの大ファンではなく未見のものも多いのだが、これはなかなかあなどれないというか、普通にレベル高い作品。

かなり原作小説を省いているようで物語のディテールが分かりづらいのだが、それが逆に人智の及ばない魔法世界の不条理さというか、ルイス・キャロルっぽさというか、観ている側の想像力を掻き立てる不思議な魅力を作品に与えている。クライマックスのハイスピード展開のトリップ感がとてもよかった。

ばあさんが主役でけっこうキツイかなとも思ったけど、所々ソフィーが若返る箇所があるので多少一息つける(つねに流動する城と同じくこのデッサンの定まらない人物たちもすばらしい幻想的効果を挙げている)のと、マルクルくんが可愛すぎるので絵面的にかなり救われている感がある。荒地の魔女という二人目のばあさん追加投入はさすがに参ったが、漫☆画太郎先生の描くとぼけた腹黒婆にそっくりでほほえましかったので個人的にはOK。。と書いた時点で画太郎先生のウィキペ見たらジブリ入社を目指していたとか書いてました(笑)

ジブリの中では「トトロ」「魔女宅」のようなホロリ系が好きだけど、
こういうストレートな愛の物語もいいですね。というか、あの年でこの手の純愛作品とは、ハヤオ恐るべし。

こちらのサイトは「ハウル」について相当網羅しているようで必見



posted by onion_slice at 00:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ
2007年08月14日

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊

押井ってあんまり興味なかったけど、BSの特集で「うる星やつら」以外にも見たくなり代表作を借りてみた。

オープニングの状況が分かりづらくてそれ以降話を追うのに苦労した。2回は見ないとプロットを完全に理解できない。
ただ、世界観自体はウィリアム・ギブソンのサイバーパンクそのままなので、この手のSFが好きなら電脳を中心とする概念に慣れるのは難しくない。

プログラムが自立した意思をもつというテーマは「2001年宇宙の旅」までさかのぼる太古からのSFネタなので目新しさはない。
ただ、生命体に憧れるプログラムと、肉体をサイボーグ化し、記憶以外に生の証をつかめない女警官との交感には、今思考している自分は本当に存在するのか、自分の存在を存在たらしめてるのは何なのか、みたいな哲学的深淵にふっと触れさせてくれるシリアスさがある。

原作がマンガ1巻分で、上映時間も1時間20分程度とかなり短めなので「AKIRA」みたいな壮大なSF大作にはなってないけど、小品ながらSFとしてのツボを押さえている。でも、やっぱり(全盛期の)大友の方が好きだ。


posted by onion_slice at 21:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ
2007年08月12日

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

「オンリーユー」に続いて押井守がつくった劇場版「うる星やつら」。

前作が30分アニメの拡大版にしかならなかったことを猛省して、これでもかというぐらい押井が自分のカラーで染めた作品になってる。ほとんど「うる星やつら」の舞台を借りた全く別次元のアニメと言える。

夢から醒めてまた夢というテーマはありふれているけど、一つ一つの映像表現が四半世紀後の今見ても斬新で、涼宮ハルヒの閉鎖空間もこの作品の単なる焼き直しじゃんと思ってしまう(ついでに声優としても平野綾より平野文の方が格段上な気がする)。

減点部分としては、テンちゃんの豚がバクになって夢世界打ち破って、その後もさらに夢の夢の夢、、が続くのはさすがにしつこかった。




posted by onion_slice at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(1) | アニメ
2007年08月10日

うる星やつら オンリー・ユー

BSで押井守特集やってて、初劇場映画監督作品である「うる星やつらオンリーユー」をやってたので見た。

あたるが他の惑星の女王にフィアンセとして連れて行かれそうになって、ラムちゃんがあの手この手で取り返そうとするというオリジナルのシナリオなんだけど、高橋留美子が話を手がけたと言ってもおかしくないぐらい違和感がない仕上がりになってる。逆にそこが押井には気に入らなかったらしく、BSのインタビューであれはでっかいテレビだ、ファンのためのイベントムービーだと相当自己批判している。

確かにテレビ版の日常の舞台を宇宙に移しただけの凡庸なラブコメアニメと言ってしまえばそれまでだけど、豊富な金と映画ならではの長い上映時間があるからこそできるスケールのでかいおバカっぷりはかなり楽しめる。とくに、諸星あたるのいいかげんさが銀河系一だということを確認させてくれたのがこの映画の功績だと思う。

うる星やつら、マンガも全巻読みたくなってきた。



posted by onion_slice at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ
2007年05月06日

涼宮ハルヒの憂鬱

2次元にあまり興味なくこの手の作品はスルーが基本だったんですが、YouTube等ネットのいたる場所に氾濫する
ハレ晴レユカイのPVの抵抗しがたい魔力に釣られ手をのばしてみた。

ストーリー的にはよくも悪くもラノベ的としかいいようがない。

宇宙に存在する情報統合思念体とか、現在とパラレルの異次元空間だとか、SFのプロット自体は古典的。ただし一見普通の高校生活に突然穴があいたようにありえない出来事が押し寄せてくるので、日常にそうしたとんでもない非日常が潜んでいる感がシュールに演出されているのがなかなか楽しめる。

主人公の男の子(キョン)が可愛い女の子に囲まれてウハウハな状況設定もうらやましくていいんだけどハルヒに個人的に魅力を感じなかったのが残念。朝比奈みくるとキョンの妹にも何にも感じずむしろリアルにうざいと思ってしまったんで自分あまり萌え属性はないんすね。長門有希だけはよい。

DVDだと1から3までがアニメの本筋で、4から6は短編集っぽい構成になっている。短編は1話1話かなり凝っていて、京アニさんすげぇと素直に感心。ただDVD1枚かなり高いんだけどアニメの相場ってこんなものなんでしょうか。





posted by onion_slice at 10:38 | Comment(0) | TrackBack(2) | アニメ
2005年10月23日

ウェイキング・ライフ(2001,米)

けっこう驚く作品に出会った。

夢から覚めても覚めても夢の中にいる男がいろいろな人物と出会い、夢について、人生について、時について語り合うという映画。アニメーションなんだけど、普通のアニメじゃない。ビデオカメラで撮った映像をMacintoshの上でロトスコープ処理(映像の動きをトレースしてアニメ化することらしい)していて、やたら躍動感のあるアニメである。しかも、夢の世界さながら、人の顔やら背景やらがつねにぼんやりして、揺れ動いていて、イメージが定着しないのが絶妙な効果をあげてる。

登場する人物も、街なかでプロテストのため焼身自殺する男や、実存主義を教える教授や、瞬間の中から生まれる芸術について力説する映画監督や、ビデオを上映しながら夢についてレクチャーするチンパンジーまで多彩な顔ぶれだ。イーサン・ホーク&ジュリー・デルピーも出てくる、当然アニメ化されてるが(この作品の監督の撮った別の作品「ビフォア・サンライズ」の主演俳優ですね)。会話はウィットに富んでいて非常に楽しい。哲学を映画にもちこむのは好かれないものだが、誰もが日常において感じる自己と他者、世界についてのテーゼを、難解なジャーゴンを使わずに、しかも深い思索と洞察に満ちた言葉で登場人物に語らせている。この手の作品では数少ない成功作といえるかもしれない。夢を鍵にして哲学にもってくというのが分かりやすいんだろう。黒澤明の「夢」よりずっと深いし、知的だ(ちなみに、黒澤の「夢」のカットが一カ所出てくるシーンあり)。

監督リチャード・リンクレイターは「スクール・オブ・ロック」を撮った人でもある。見てないが、この作品でちと興味をもったよ。

posted by onion_slice at 01:15 | Comment(2) | TrackBack(1) | アニメ
2005年04月17日

スチームボーイ(2004,日)

何度も完成の報道がなされるたびに公開が延期され、日の目を見るまでついに「AKIRA」から16年も経ってしまった「スチームボーイ」。プロモ動画を見て、メディアミックスの寵児と謳われた大友にしちゃ子供だましっぽくないかと勝手に判断し劇場にいかなかったことを、DVDを見た今すんごく後悔してる。これなら16年のブランクを忘れてもいい。

19世紀のロンドン、圧倒的な蒸気の力を秘めた「スチームボール」をめぐり、天才発明家の息子レイが、ボールを手に入れ破壊兵器への利用をたくらむ財団相手に繰り広げる冒険活劇。ラピュタを思わせる冒頭の逃走シーンから、ごく正攻法な少年向けアドベンチャー路線まっしぐらで、「AKIRA」のようなエキセントリックさを期待する一部のオーディエンスには肩透かしだろう。しかし、画力はやはりずばぬけてるし、メカの描写の凝り具合は目をみはる。というか、大友がいちばん描きたかったのはまちがいなくメカだ。「AKIRA」では超能力という形で現れた、人智を越えた力への抗いがたい誘惑っつーテーマが本作では「科学」の名の下に再帰していて、1世紀以上昔を描いた本作では、近未来の作品である「AKIRA」の超能力以上にバケモノじみた力をもったメカの暴走オンパレードが繰り広げられる。後半の、万博を舞台に暴れ回るモビルスーツ的な兵器やハンググライダー的な兵器や、最後の30分ぐらい延々とつづくスチーム城の大仕掛けは、「老人Z」の無軌道に疾走してくナンセンスぶりを彷彿とさせる。はっきりいって、少年向けのオーソドックスな冒険活劇というにはあまりにマニアックだ。

当然「スチームボーイ」を「AKIRA」から見て後退したとみなす人と、大友の復活とみなす人とがいるわけだろうが、個人的には「AKIRA」と同等かそれ以上の出来栄えだと思う。「童夢」とか「彼女の思ひ出」とかの大友らしさが出てて好きだ。
脚本の細かいところも凝ってて、ロンドン警察を「スコットランドヤード」というあたり、にやりとさせられる。
これはDVD買いだろ。


posted by onion_slice at 01:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ

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