2009年07月15日

片腕必殺剣

監督チャン・チェ、出演ジミー・ウォング、チァオ・チァオ、ティエン・ファン、ヤン・チーチン、1967年香港、英題"The One-Armed Swordsman"

ふぅ。こんな傑作にいままでノータッチだったなんて、自分の映画体験の浅さに失望せざるをえない。

香港映画といえばカンフーか任侠物かぐらいの認識しかなかったんで、剣術というのはピンとこないまま見たが、話の荒唐無稽な面白さと無駄がなくほとんど官能的なまでのハイスピード・アクションに魅せられて最後まで大満足状態だった。

このアクションというのが、「シグルイ」の藤木源之助ばりの片腕剣士によって展開されるからたまらない。主人公のファン・カン(ジミー・ウォング)は剣術士なのだが、彼の師匠チーの娘であり彼を慕う片思いの女の癇癪から片腕をぶった切られているという大胆な設定だ。残された左腕に剣を握り締め、邪悪な剣豪相手に立ち向かう闘志むき出しの姿は忘れがたいオーラを放っている。

アクションが優れているだけでなく、師匠と仲間への忠義、愛情を尽くしてくれた女性への誠実さというテーマが熱々で描かれていて、最近の映画ではなかなか見られないストレートすぎる正義感がすがすがしい。

香港映画も深いな。これはちょっと真剣に付き合う必要があるかもしれない。


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2007年12月24日

グラインドハウス

また久しく映画見てなかったが、公開時いきそびれたタラ&ロドの2本立てスラッシャー「グラインドハウス(USバージョン)」を吉祥寺のバウスでやっていたので、遅ればせながら見にいった。

今日はクリスマスイブ。サンタの格好でケーキ売ってる女の子や、チキン食べるためにケンタッキーの前に並んでいる律儀な人たちを尻目に、一人で人肉スラッシャー映画を見に行くおれって何なんだろう、と思いつつバウスに入るとけっこう人が入ってる。劇場小さいからすぐ満員なんだけど。

個人的には1本目「プラネット・テラー」(ロバート・ロドリゲス)の方が好き。プロットは何のひねりもないゾンビものなんだけど、ヘリのプロペラで首ちょんぱのシーンとか、キンタマちょんぱして袋詰めだとか、相変わらずの鬼畜演出が冴えてる。ロメロから「28日後」までいろんな映画の影響をミックスしてロドリゲスお得意のフリークスなテイストで味付けしているのも楽しく、ガスの効果でゾンビ化する軍人(ブルース・ウィリス)の描写なんかはかなり「AKIRA」の鉄雄っぽい。最近のゾンビ映画では、「ショーン・オブ・ザ・デッド」と双璧をなすぐらいよいできばえ。

2本目の「デス・プルーフ」も、同じようにと殺場のようなカオスっぷりが弾けたグロ映画なんだろなと期待したら肩透かしを食う。最初の女の子グループのクラッシュシーンだけはかなりぞくっとくるものがあるけど後は特に特筆すべきところもない。後半の見所であるカーチェイスも中途半端(ただ、「キルビル」でユマ・サーマンの替え玉スタントしていたというゾーイ・ベルが本人役でカースタントに挑んでいて、CGじゃなく実際にスタントしているのは驚き)。
まあ、この狙ったような中途半端感は決して嫌いでもなく、前半のホラーから荒唐無稽なアクションにだらだら失速していく安っちいつくりこそが「グラインドハウス」の本髄だからいいんだけど。
ただ、「レザボアドッグス」の冒頭っぽい感じで、女の子が延々とセックスや車について語り合うシーンなんかは会話にいまひとつキレがなく、タランティーノの十八番である長回しの喋りが、ただ長いだけで退屈に感じられた。
2本立て版で90分の上映時間にカットされているので、独立上映用の完全版(114分)を見ないとツマランとは言い切れないけど、でも、ちょっと期待はずれ。





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2006年01月05日

チーム★アメリカ ワールドポリス(2004,米)

トレイ・パーカー&マット・ストーンによる暴走人形劇。

おバカな映画は好きなんですが、予想以上に過激でお下劣で悪ふざけが過ぎる作品でした。
実在の俳優(アレック・ボールドウィン、ショーン・ペン、スーザン・サランドン、ティム・ロビンス、サミュエル・L・ジャクソン、マット・デイモン他大勢)が金正日のパペットとなってワールドポリスと戦い、首がもげたり日本刀で一刀両断されたり銃で撃たれて頭が破裂したりするMADシーンの連発はかなりエグイ。よく公開できたなと感心。さすがアメリカ、スケールがでかい。

政治風刺としてはかなり陳腐で、アラブのテロリストと金正日がタッグを組んでWDM(大量破壊兵器)で世界を混沌に陥れようとする図式は単純すぎだけど、アメリカ政府にもノー、テロリストにもノー、和解を説く知識人にもノー、肯定するのはF・U・C・Kだけだぜ〜、という思想も批評も皆無のひたすら低能なノリで突き進んでいく馬鹿パワーはすごい。

人形同士のセックスシーンは噂に違わずよくできていて一番の見所。ゲイリーがゲロはきまくるシーンは気持ち悪すぎて、ここ数年見た映画の中でもダントツでワーストシーンだ。

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2005年11月27日

キル・エビル(1999,米)

タイトルはもちろん、ユマ・サーマンをデヴィッド・キャラダインで置き換えただけのイエローに黒字のDVDパッケージも「キル・ビル」そのままで、一見、サーマンではなくキャラダイン演じたビルを主人公にした「キル・ビル」の外伝的な作品なのか、と思わせといて、パッケージの粗筋を読むと何やらまったく無関係なオカルト系犯罪映画らしい。だけどタランティーノのかなりわざとらしい推薦文(「この映画のデヴィッドはすげえ、まじぶっとんでるぜ!!」)につられ、おおっ、そんなすごい映画なのか、と借りてみたらまったくのゴミでした。

まず、原題が"Natural Selection"というこの作品の製作年は1999年なんで、当然「キル・ビル」がつくられるよりずっと前。つまり、「キルビル」人気に便乗してパッケージとタイトルをパロディにしてる、日本側の勝手な企画じゃないでしょうか。

そんなのはよくあることなんですが、内容がひどい。テキサスの田舎町で連続殺人が起こって、郵便配達員が容疑者らしいのだが、FBIから凄腕の「モンスターハンター」(キャラダイン)がきて、事件の解決に乗り出そうとする。しかしこいつはまったくの脇役で、何やら悪魔祓いの儀式をしたり、遺体安置室に侵入して被害者の胸に杭をぶちこんだり、果ては郵便配達員を追跡して突然銃をぶっぱなし、逆にとらえられてあっさり殺されてしまう。その後の展開はもう、一貫した話の構成を維持しようという意図なんぞ元々ないことが明らかに分かってきて、ブラックコメディともいいがたいナンセンス地獄で最後まで突き進む。

しかしここまで駄作だと、無駄にした90分を返しやがれ、と怒る気力も失せて、だまされたことに対して笑えてくる。
「キルビル」便乗でもう一つ「チクビル」とかいうエロものを見かけたけど、こっちもチャレンジしてやろうかな。

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2005年11月23日

殺しの烙印(1967,日本)

清順の作品でも人気の高い一作。組織の中でランク付けされた殺し屋たちのデスマッチで、2001年の「ピストルオペラ」の原点。

宍戸錠演じるナンバー3花田のキャラがよく、炊きたての飯の匂いが好きで炊飯器から上る湯気に鼻を突っ込んでエクスタシーに浸る姿は忘れがたい。殺しに失敗して組織を追われ、恋に落ちた女(真理アンヌ)を奪われ、組織にリベンジをけしかけ、最後は幻のナンバー1につけねらわれ幽閉状態でパラノイアがかっていく。特にナンバー1との対決の、どこから銃口がぬっと突き出てくるか分からない緊迫感が好きだ。

「ピストルオペラ」はこれに比べるとやや落ちるかな。個人的には、タランティーノあたりが「レザボアドッグス」撮った時の感性でリメイクしてくれるとまた別の面白さが生きてくる作品じゃないだろかと思うんだけど。

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2005年11月19日

盲獣VS一寸法師(2001,日本)

石井輝男の遺作。江戸川乱歩の「盲獣」と「一寸法師」をコンバインした怪奇もの。
カルト映画のマスターピースというような謳い文句につられて見てみると相当がっかりする。
20〜30年前のテレビシリーズのような安っぽいつくりに最初から気持ち悪さ以外の何も感じることはない。
「盲獣」と「一寸法師」という二人の殺人者を一本の映画にするというのはいいんだが、二人が起こす事件の間に何の関連もなく、最後まで交わることがないというのも中途半端すぎ。
塚本晋也の明智小五郎もピンとこねー。

posted by onion_slice at 21:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | カルト
2005年10月30日

肉体の門(1964,日本)

鈴木清順監督の日活もの。タイトルからすけべな内容を期待すると裏切られるオーソドックスな喜劇。
敗戦後の疲弊した空気漂う市場と、地下の廃墟の寒々しいセット。この二つを縦横する赤、紫、黄、緑のワンピースを着た娼婦の毒々しい存在感が何とも清順らしい。
牛殺しのシーンは残虐だけど、宍戸錠演じるフーテン復員兵と4人の娼婦が抱える殺伐とした感情の迸りが象徴されていて圧巻だ。
戦後の日本のハングリーさが清順ならではのエキセントリックな演出で描かれた秀作。

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2005年07月30日

六月の蛇(2003,日本)

監督:塚本晋也、出演:黒沢あすか、塚本、神足裕司。心の電話相談室ではたらく女が相談相手からストーカーを受け、始めは恐怖を感じるが除々に心の奥底の性的願望を開化させていく過程を青一色で撮ったもの。

救い難い駄作で、上映時間が70分ぐらいの短さだったからなんとか途中でDVDの停止ボタンを押さずに済んだものの、まるっきり時間を無駄に潰してしまったという後悔だけが残る史上最低の出来栄え。題材のうすっぺらさ加減もさることながら、「オレは時代の最先端だ」と言わんばかりのガキくさい表現主義的欲求に覆われた演出の拙劣さにただうんざりする他はない。まさにゴミだぜ。
posted by onion_slice at 22:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | カルト
2005年06月05日

ピストル・オペラ(2001,日)

ストーリーのキテレツさに翻弄されず、ハイアートとアングラ劇画の折衷のような、高度に様式化された画の紙芝居的曲芸に魅了されるのが、清順の映画の正しい見方の一つだろう。
映画の撮り方の作法なぞ度外視して、作家独自の夢やファンタスムを映像化するっつー美学的な姿勢をじじいになっても貫いてるのは賞讃すべきことでもある。

と、一応褒めといてからだが、「ピストルオペラ」はそんなにいい出来じゃないと思う。江角マキ子演じる「野良猫」という女が、殺し屋組織「ギルド」内のナンバー1争いをサバイバルしていく話で、オペラはまったく関係ない。変な白粉おばはんからそそのかされて、殺し屋ランキングのトップクラスをやっつけてって、最後はおばはんがナンバー1キラー「百眼」とわかり対決する。殺し屋のコードネームは「宴会部長」だの、「生活指導の先生」だの、なかなか笑える。

いくつかのシーンは確かに、清順しか撮れないシュールな感覚がかっこいい。
だけど後半は怪奇的な想像力だけが調子外れに飛躍してって、段々こけおどしじみてくる。最後の、百眼との決戦のあたりは「もうわかったよ、いいかげんくどい」という気を起こさせる。
演出上の間のとりかたというか、カットつなぎの絶妙な呼吸が見事なだけに、しりすぼみな感じが惜しい。
新作の「オペレッタ狸御殿」はまだ見てないが、タイトルはセンスいいよな。

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2005年04月29日

女囚701号さそり(1971,日)

監督伊藤俊也。主演梶茅衣子。原作は篠原とおるの漫画。
愛する男に裏切られ、復讐を誓い修羅の道をいく女のストーリーは御存じ「キルビル」の下敷になってる。ユマ・サーマンが演じたベアトリクス・キドーは確かに21世紀の映画のヒロインとして記憶されるべきキャラだが、男への怨みっつーのはなんつーか日本独特のテーマのような気がして、鬼のように日本刀振り回しててもサーマンのリベンジはどこかからっとした感じがある。どろどろした怨念を胸に宿したヒロインという点じゃ、梶茅衣子の方が上だ。あの、眉間にしわを寄せてくっと睨み付ける眼差しだけでブルっときてしまう。

演出は、漫画が原作ということもあり、ナンセンス街道まっしぐらだ。梶を狙って刺客がオッパイ丸出しでガラスの破片を振りかざすシーンで、突然刺客女の髮が怒髮天状態で、顔がスプラッタなメイクで加工されたり、独房に送り込まれ梶に自分の犯した罪を自白させようとする女が梶に誘惑されるレズビアンのシーンがあったり。そしてそのナンセンスさも空回りすることなくほどよく軽妙な演出装置になっている。暴動の勃発する穴掘り現場で梶の親友が殺され、突然背景が劇画的というか表現主義的というか、渦巻状の夕焼けに豹変するあたりはなかなかよいし、ズームの乱用も紋切型過ぎてかえって面白い。

まあなんたって梶茅衣子の魅力を堪能できる一作だ。

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2005年04月27日

スパイダー(2002,英)

統合失調症の男がハーフウェイ・ハウス(精神病院から出た後リハビリ生活をする施設)を訪れ、母親の死にまつわる幼少時の記憶を掘り当てていくという話。

クローネンバーグらしく、アーティスティックな路線を狙いはするが、いかんせん自己完結した悪趣味な世界を表現するにとどまって、ゲージツとしても亜流だし娯楽としても面白くないという退屈なパターンになってしまっている。タイトルにもなってる「蜘蛛」というのもなんだか煮えきらない中途半端なメタファーに終わってて、しょうもない。この人の限界は、奇想な着想にとらわれ過ぎてて、古臭いエログロ的感性だけで作品をつくってしまうので、着想の奇抜さが単線的な予定調和の方向にしか発展しないっつーところにあると思うね。同じことはピーター・グリーナウェイにもあてはまる。

限りなくつまらない映画だと思ったけど、淫売で継母役のミランダ・リチャードソンの演技がよかったのと、イギリスの田舎町のパブや路地のショットはよく撮れていたので、評価は二つ星にしといてやる。
posted by onion_slice at 22:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | カルト

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