2008年10月01日

ヒストリー・オブ・バイオレンス

ホラー映画を借りようと思ってたのだが、TSUTAYAのホラー・コーナーの前でロン毛のイケメンリーマンが粘っており入り込めそうになかったのであきらめてバイオレンス物にした。

クローネンバーグを見るのは「スパイダー」以来でかなり久しぶり。この人の作品でいまだに「傑作」と呼べるものには出会ってないが、次はどんな悪趣味映画をつくってくれるんだろうと一作ごとに気になる存在ではある(「eXistenZ」とか未見のものもけっこうあるのでえらそうなことは言えないが)。

で、期待してなかったが、意外と楽しめた。タイトルから難解な内容を想像していたが中身はかなりストレートな暴力物。アメリカの田舎町で食堂を営み家族と平和に暮らしていた平凡な男が犯罪に巻き込まれ、段々自分の中の暴力性に支配されていく、という話。

クローネンバーグの狙いは正直よく分からない。たとえばハネケの傑作「ファニーゲーム」は、暴力映画というジャンルの枠組みをフルに利用して監督自身楽しみながら、かつ暴力映画を批判しアンチテーゼを突きつける強烈な思考実験に満ちていたけど、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」は暴力あるいは暴力映画について何を語りたいのかがいまひとつ伝わってこなかった。

しかし、単に見てスカッとする暴力映画という意味では及第点をあげてもいい。主人公トム(ヴィゴ・モーテンセン)が悪漢に3回囲まれてどう切り抜けるかを見るのはなかなか面白かった(ただ、かなり動きが古典的で予定調和なのでハラハラするよりも、やっぱりかw、という笑いの要素の方が大きい。そういう意味で最近の陰惨な暴力映画より、「コマンドー」なんかを見てる感覚に近い)。でもって、トムと妻の間で高まっていく暴力性・憎しみは激しいセックスで解消というパターンもお約束過ぎて笑ってしまう。

ありきたりな内容なんだけど、ありきたりな暴力描写ならではのスカッとする味わいを素直に受け止めれば楽しめる作品でした。
「イースタン・プロミス」もそろそろDVD出るようですが、こちらはどんな作品なのでしょうか。


posted by onion_slice at 23:34 | Comment(2) | TrackBack(1) | クライム
2008年09月21日

アメリカン・ギャングスター

最後までデンゼル・ワシントンのギャング役にしっくりこなかった。
代わりにサミュエル・L・ジャクソンあたりを起用してれば、もう少し暴力シーンもギラギラしてただろうし、ラッセル・クロウとジョシュ・ブローリンとの三つ巴のぶつかり合いもよりテンションの漲るものになっていただろうと悔やまれる。

まあ実話ベースということで、実際のフランク・ルーカスもこの作品が描く通り地味で家庭を大事にする経済ヤクザっぽい人物だったのだろうから、デンゼル・ワシントンの配役にもけちはつけないことにする。
そのぶん、正義警官クロウVS悪徳警官ブローリンのぶつかり合いを期待したのだがいまひとつ絡みが弱い。特に今をときめくブローリンの類まれな悪役キャラを生かしきれてないのが残念だ。

演出面でもあまりパンチの効いたシーンはなかったかな。最後の捕り物とかも、ここ10年ぐらいの過剰な暴力演出にさらされた目には普通すぎて迫力に欠ける。やはりドンパチものはトニーにまかせておいた方がよいのでは、と思う。ここまで書いて気づいたけど、デンゼル、トニスコの「デジャヴ」に出てたよな。「デジャヴ」が秀逸だっただけに、兄リドリーの作品の失敗感が際立ってしまうところ。

それにしても実話ということで、アメリカの麻薬捜査官の汚職ぶりに呆れてしまった。みかじめとってギャングのヤク商売のさばらせてる犯罪人集団にアメリカ人どもは税金払ってんのかよ、といまさらながら軽くカルチャーショックを受けました。


posted by onion_slice at 00:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | クライム
2008年08月14日

ノー・カントリー

やっと見たコーエン兄弟の話題作だが、期待を裏切らない出来でした。

「レディキラーズ」と「ディボースショウ」というコメディ路線のあとにこの強烈に不気味な作風。昨今のアメ映画の暴力描写に比べて特に残虐度が強いということもないのだが、ハビエ・バルデム演じる殺し屋の存在が、映画を見ている間中自分の肌の上に異様な空気としてまとわりついて離れない。ポンプ型銃器がいつ発射するのかドキドキもので、ドアノブがクローズアップになって確実にくるとわかっていながらも、いざあの「プシュッッ!!」がくると心臓が飛び上がりそうになる。

後半のシュールな急展開というか、あえて肩透かしのアンチクライマックスに持っていくやり方も嫌いじゃないんだが、やはりバルデムとジョシュ・ブローリンの対決の描写が好きで、2番目のモーテルでの二人の対峙のシーンが一番気に入っている。
音と映像をミニマムに使いながら、見ている人の背中に死が迫るようなゾクッとくる感覚をもたらす演出がたまらない。

ブローリンはどこかで見たことが、と思ったら「プラネット・テラー」の危ない医者の人でした。作中でベトナムに出征したとかいうエピソードがあるが本人はベトナム戦争の只中68年生まれということで、まだ40歳ぐらい。バルデムもよいがこのおっさんも好きだ。

コーエン兄弟の作品の中では個人的にベストかな。


posted by onion_slice at 22:56 | Comment(0) | TrackBack(0) | クライム
2008年06月07日

デジャヴ

トニー・スコットの作品は「ドミノ」以来だが、なかなか面白かった。

デンゼル・ワシントンがフェリー爆破犯を追うという何の変哲もなさそうなクライム・サスペンスに始まるんだが、中盤からSF的プロットが絡まってきて段々面白くなる。犯人の過去の足取りを衛星からのストリーミングで追跡するシステムが実は過去とつながったワームホールだというアイデアはよい。このワームホールをうまく使い過去と現実を錯綜させるスピード感あふれる演出は離れ業で、特に秀逸なのが、デンゼル・ワシントンがゴーグルからワームホールを通じてみる過去で犯人を追いながら現実世界でカーチェイスするシーン。異様なトリップ感覚が楽しめる。

けっこう好きな類の作品なんだけど、タイトルが平凡なせいかまったくアンテナに引っかかってなかった。
それにしてもしばらく見かけなかったヴァル・キルマーがいつの間にやら太った中年にまる変わりしていたのは驚き。



posted by onion_slice at 00:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | クライム
2007年07月16日

インサイド・マン

薄型テレビ買ってe2 by スカパー無料お試し見まくりな毎日です。スカパー専用アンテナなくてもCS110度アンテナとチューナ内蔵テレビあればスカパーのコンテンツのかなりの部分が見れるのでよいです。ほとんどアニメばっかり見てたが今日は久々に映画を見た。

スパイク・リーが撮った銀行強盗もので、犯人にクライブ・オーウェン、現場を仕切る刑事役にデンゼル・ワシントン、それから銀行の会長に頼まれ犯人と交渉をする敏腕女弁護士役にジョディ・フォスター。

「シンシティ」の切れのある演技が印象に残るオーウェンが完全犯罪に臨む頭脳犯ということでかなり期待したが、冒頭の強盗に入るシーンからすでになんとなく駄作臭が漂っていた。息が詰まるような緊迫感がまるでない。

オーウェンとデンゼルとジョディの3主役の絡みも薄っぺらで、シナリオが進んで事件が佳境に向かっても、血がたぎるぶつかり合いもなければ深い精神的な交感があるでもない。シナリオ自体も薄っぺらで、銀行強盗の核となる貸し金庫の中身は作品のテーマ付けのためにとってつけたようなもので、説得力に欠ける。

映画全体としてはつまらない出来で、スパイク・リーはテンションみなぎる犯罪作品には向かないことが分かったのが収穫。初期のユルい感じのコメディの方が、人種差別うずまくアメリカへのブラックな視線が鋭くてよかった。

個々の役者の演技は悪くないので何とか2時間ちょい見れた。ジョディはハイビジョンで見るとお顔の劣化が厳しくなってきたけど独特の色気があるな。




posted by onion_slice at 00:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | クライム
2006年07月01日

シン・シティ(2005,米)

劇場公開時行きそびれたが、ようやく見た。

さすがロバート・ロドリゲス。これだけサイコな感覚がフルスロットルな映画は久々に見た。

3人の主人公(ブルース・ウィリス、クライブ・オーウェン、ミッキー・ローク)を軸にした復讐劇をそれぞれ微妙に交錯させながら見せるオムニバス形式は「パルプ・フィクション」を踏襲しながらも、それ以上のストーリーテリングの巧さによってS級フィルムノワールに仕上がっている。「パルプ」ファンのノスタルジーを呼び起こすだけでなく、「キルビル」ファンのハートもつかむのが、ここまでするかというぐらい猟奇的な殺戮シーンの連続だ。特にイライジャ・ウッドvsミッキー・ローク、殺人兵器ミホ(デヴォン青木)vsベニチオ・デル・トロとの戦闘シーンは、「キルビル」のサーマンvsダリル・ハンナ戦にも匹敵する鬼畜ぶりで、あまりのサイコさ加減に寒気がする。

ビジュアル的な斬新さは、共同監督でもあるフランク・ミラーの"グラフィック・ノベル"の原作が寄与していて、異様なイメージと質感にみちたアンダーワールドの描写は素晴らしい(まあ、モノクロの中で赤色だけ際立たせたりとかは「ランブルフィッシュ」とかから使われて、最近じゃテレビCMとかでも乱用されまくりだから新しくないけど)。

続編も製作中ということで、これがロドリゲスの次なる「デスペラード」シリーズになることを望む。

posted by onion_slice at 23:28 | Comment(0) | TrackBack(2) | クライム
2005年12月30日

リチャード・ニクソン暗殺を企てた男(2004,米)

タイトルからは、ウォーターゲート事件に絡んだ政治的な陰謀物かと期待していたが、あまり物語にニクソンは関係なかった。
どっちかというと「タクシードライバー」的な話で、ショーン・ペン演じるしがないセールスマン、サム・ピックが、貧窮や離婚という不幸を自分が受けるのは社会制度が欺瞞をはらんでいるからだと短絡的に結びつけて、制度の代表者である大統領暗殺を企てる。

犯罪者特有のこうした身勝手な心理をたどるセミドキュメンタリー的な視点からはそこそこ興味を引く作品ではあった。ただ、もっとアブナいイカレポンチが虫みたいに人を殺す猟奇犯罪映画ブームを通り越した現在から見るとちょっと古くさいつーか、ピントが外れているように思えた。ペンの演じる役柄のレンジの広さは感心するし、サム・ピックの臆病さとみじめったらしさもよく演じられてるけど、サム・ピック自身に説得力がないからイマイチ印象は薄い。
ニクソンも関係ないからタイトルにつけるのはやめてほしい。政治スリラーを期待してた人にはがっかりだ。

ラストのハイジャックのシーンはそれなりの迫力あったが、全体的にはバイオレンスが不発の「タクシードライバー」みたいな感じかな。全盛期のデニーロと比べてペンは決して見劣りしないとはいえ、もう少しエッジの効いた犯罪者を演じてほしかった。

他に出演は「21グラム」のナオミ・ワッツ。監督はニルス・ミュラー。

posted by onion_slice at 17:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | クライム
2005年08月24日

44ミニッツ(2003,米)

「レザボア・ドッグス」のマイケル・マドセンを主役にしたドンパチ映画ということで何となく借りてみたが、後でTV映画だということに気づき多少のレットダウン。しかし、TV映画なりにそこそこ面白い。

話は1997年ロサンゼルスで起こった実話の銀行強盗事件をベースにしてて、犯人との44分にも渡る銃撃戦を繰り広げるLAPD(Los Angels Police Department)の活躍を描いたもの。9.11テロで殉死した消防士なんかもそうだけど、アメリカって警官やら消防士つー職業は特殊なステータスとして見なされてて、公務に命をかける生き様がヒロイックに描かれている。

ドラマとしての基調をなすのはおまわりさんへのオマージュだが、作品の見所はなんといっても銃撃戦だ。TV映画というハンデ上、「ヒート」の銃撃戦のようなパワフルな臨場感にはやや欠けるとはいえ、なかなかすごい。普通、銀行強盗ものというとほとんど100%の作品でホステージ・シチュエーションに向かうわけだが、この映画の犯人二人組は、金を奪うと後は人質など気にも留めず、銀行の外へ出て包囲した警官めがけてひたすら乱射するのだ。中国製AK-47マシンガンを乱射する二人組の前には、ベレッタしかない警官が50人迎え撃っても敵にならない。おまけに犯人は高度な防護服で身を包んでいるので、ピストルの弾が何十発当たっても与えられるのはやや後ろによろめくぐらいのダメージだけだ。警官と一般人の血が散乱する中、犯人が堂々と乱射しながら直進し逃走しようとする状況で、警官とSWATがどう応戦していくか、これだけでかなり見応えがあります。

実際の事件でライブ中継もされたということで、さすがアメリカは犯罪映画を地でいく出来事が起こってるもんだと納得。「エレファント」のように、多数の主人公の一日が事件を軸にクロスする構成になってるんだけど、各キャラクターの発展とか交わりが浅いのがやはりTVの限界つー気はした。

posted by onion_slice at 22:27 | Comment(0) | TrackBack(1) | クライム
2005年05月05日

ロード・トゥ・パーディション(2002,米)

監督は「アメリカン・ビューティー」のサム・メンデス。

舞台は1931年シカゴ。トム・ハンクスが演じるマイケル・サリバンはアイルランド系のギャングの親分ジョン・ルーニー(ポール・ニューマン)の忠実な部下。ある日マイケルの息子マイクが父親の仕事を知りたがり、車に隠れて付いていった先でギャングの殺人現場を目撃したことから、ルーニーの息子コナー(ダニエル・クレイグ)はマイクを消そうとするが、マイクの代わりに家にいたマイケルの妻ともう一人の息子ピーターが殺されてしまう。怒りに燃えたマイケルはマイクをつれて街を出、ルーニーにリベンジを誓う。

30年代の禁酒法時代のアメリカの雰囲気が好きな人にはたまらないギャングの抗争が縦糸、それから父と息子の絆というのが横糸になって織りなすストーリー。「ゴッドファーザー」のような果てしのないドンパチさ加減はないが、いくつかの殺しのシーンはかなりシュールな緊迫感をもっている。雨の中のスローモーションの銃撃戦もさることながら、特に秀逸なのは、蛇のようにサリバンを追いかけるヒットマン役のジュード・ロウとの3回にわたる対決のシーン。3回目の海辺の家での、窓の反射を利用した外からのショットが素晴らし過ぎ。

原作のグラフィック・ノベルという素材をうまく映画に生かした功績は撮影監督のコンラッド・ホールによるものだ。「アメリカン・ビューティー」の撮影もこの人で、こんなにうまく光と影をあやつるキャメラマンが今のハリウッドに何人ぐらいいるんだろうと思ったら、調べたところ「ロード・トゥ・パーディション」の撮影後亡くなってるらしい。残念。

最後に少年が一人海を見るショットもシンプルで好きだ。老夫婦の伏線もにくい演出。泣ける映画だぜぃ。

posted by onion_slice at 21:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | クライム
2005年04月24日

容疑者(2002,米)

父親が幼児誘拐と殺害の罪で処刑された過去をもつ敏腕刑事ヴィンセント(デニーロ)。別れた妻との間に生まれた息子ジョーイ(ジェームズ・フランコ)はヤク中で、売人と格闘になり相手を殺してしまう。ジョーイを自首させようとするヴィンスだが、捜査のパートナーである友人が射殺され彼の容疑はますます重くなる。事件が大きくなり、メディアに自分の過去を晒され、同僚に無視され恋人に捨てられても、父親に見捨てられた自分の姿がジョーイに重なり、容疑者となった息子に対峙していく父親の姿が描かれた正統派ドラマだ。

筋書きに特殊な仕掛けがあるでもなく、誰が真犯人か、という謎解き要素があるでもなく、きわめてありきたりな脚本の小品なんだが、なかなか面白かった。デニーロと「スパイダーマン」のジェームズ・フランコの父子が、刑事と容疑者として向かい合うというストーリーに、家族というテーマがシンプルだけど力強く描かれてる。

全盛期のようなエッジのある演技はなりを潜めて、「ヒート」以後は当たり障りのない役柄をごく順当に選んでいるといった感のあるデニーロだが、ラストで警察に包囲される息子に「おれは父親として失格だが、頼ってくれ。おまえを助けたいんだ」と涙ながらに訴えるあたりの演技は、やはりまだまだ人のハートをぐっと掴む魅力を持ってる優れた役者だということを再認識させてくれる。


posted by onion_slice at 22:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | クライム
2005年03月13日

インソムニア(2002,米)

クリストファー・ノーラン監督。
殺人犯の追跡中、霧の中で同僚を撃ち殺してしまい、犯人に罪をなすりつけるが良心の呵責から睡眠不足に陥る警部の話。
古典的なサイコスリラーのパターンを優等生的に踏襲していて、脚本にも演出にもこれといったサプライズはない。コメディ畑のロビン・ウィリアムスをサイコ役にもってきたキャスティングは良いし、はまり役だけど犯人のプッツン度がやや中途半端で印象に残らない。たるんだ目のまわりの皮膚がいかにも睡眠不足っぽいアル・パチーノや芯の強そうなヒラリー・スワンクもよいんだが、ステレオタイプの役柄の枠を出ていない気はする。最後の終わらせ方も、もう一つ仕掛けが欲しかったところ。
posted by onion_slice at 23:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | クライム

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。