2010年04月18日

クローバーフィールド

監督マット・リーヴス、出演リジー・キャプラン、ジェシカ・ルーカス。2008年アメリカ。

怪獣映画、または「宇宙戦争」のようなエイリアン侵略ものを、従来の劇映画のように俯瞰的な外側の視点から映さず、襲われる一般の人々の内部から、ホームビデオ形式で撮影したもの。

この視点の転換だけでそれなりに面白いかもとは思ったのだが、それ以外の点では円谷プロから綿々と続く怪獣パニック映画の系譜を忠実になぞっているだけで、次第に物足りなさを感じてくる。「エイリアン」からほとんど進化のないクリーチャー描写もいいかげんマンネリで、目を背けたくなるような怖さがない。(エイリアンにかみ殺されるシーンは、3Dにしたら多少は怖いだろうか)

視点の転換というアイデア以外にウリはなく、そこのところをエイブラムスたち制作サイドはさすがに分かっているのか、映画の尺は85分で切り上げられる。これで1時間半超えると段々めっきが剥がれてくるのは明らかだ。

とにかく後半でもう少し、怪獣映画の枠組みをぶち壊してくれるような斬新な工夫があればよかった。とくに結末は中学生の空想レベルだ。

ということで、「怪獣版ブレアウィッチプロジェクト」と便利なラベルを貼ってしまえば、それ以上でも以下でもない映画。尺が短いので手ごろな暇つぶしにはなる。


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2009年09月23日

宇宙戦争

BSで見る。パニックムービーの常套路線で斬新さはないが、無難に娯楽SF映画のツボは押さえていて、絵作りも丁寧なのでまあ楽しめた。エイリアンが肛門みたいなところからトムクルーズを吸いこんでトムが手榴弾炸裂させるシュールなシーンはよい。しかしそれ以上にシュールなのがあの、窓に張り付くピーナッツバターパンだ。

トムだけだと段々つらかったところに、ティム・ロビンスが出てきてほっとしてたら、あっさりいなくなったのが惜しい。せっかくエイリアンと闘いたがっていたから、せめてエイリアンとの激闘の末に逝ってもらいたかった。ミランダ・オットーがちょっとしか出ないのもやや不満。「ヒューマン・ネイチュア」のフランス女ガブリエルのセクシー演技がよかったんだが。そういや「ヒューマン・ネイチュア」でミランダの相手はティム・ロビンスだったな。

この作品自体は良くも悪くも古典的B級SFという感じだけど、スピルバーグは同じ年に傑作「ミュンヘン」も作ってるのですね。老年期に入ってもスケールでかい大作を年に二つ世に出せる映画人のバイタリティはやはりすごい。

個人的なスピルバーグのベスト3は「ミュンヘン」「プライベートライアン」「シンドラー」というところだろうか。昨日BSでやってた「ET」なんかは生理的に駄目で最後まで見通したことないからなんともいえないが。


posted by onion_slice at 23:50 | Comment(0) | SF・ファンタジー
2008年08月09日

トゥモロー・ワールド

この作品を知らなかったのは恥ずかしい。とくに話題になった記憶がないんだけど、まったく人目を引くアピールにかける駄目な邦題のせいかもしれない。タイトルから凡庸なSFアクションを思い描きがちなだけに、中身のクオリティの高さ、人の生き死にをシリアスに見据えた重いテーマ性に衝撃を受ける。

ストーリー的には単純。子供が生まれなくなった近未来で、奇跡的に妊娠した少女を「ヒューマンプロジェクト」なる研究団体に送り届ける役割を背負わされてしまった元政治活動家の主人公(クライブ・オーウェン)が、段々自分の使命を感じ取り少女の赤ちゃんに病んだ世界の未来を賭けようとする姿を描く。最後まで物語進行にサプライズはないが、映像が圧倒的なので気にならない。

色々見所はあるが、不法入国者からなる政治組織との競り合いの緊迫感がすさまじい。特にジュリアン・ムーア襲撃のシーンは、タランティーノも真っ青ではと思うほどヤバイ暴力の空気に満ちていて、トラウマになりそうなほど強烈だ。しかも直前のあの口ピンポンというゆるいシーンの後だけに。このちゃぶ台ひっくり返しな演出は反則的にずるい。

退廃的なイギリスの空気をよくかもし出したこの近未来映画のメガホンをとった監督はアルフォンソ・キュアロンというメキシコ系。「アズカバン」とかも手がけてる人らしく、ハリポタは興味なかったのだがちょっと見てみたい。

俳優面ではとにかくクライブ・オーウェンのニヒルっぽいが内面は熱い役柄が秀逸。ヒッピー思想の友人役マイケル・ケインもすばらしく、オーウェンとの友情シーンは泣けてきた。


posted by onion_slice at 19:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | SF・ファンタジー
2008年07月21日

パンズ・ラビリンス

子供のファンタジーが題材というと、甘ったるい菓子とかディズニーめいたキャラのオンパレードなメルヘン世界を想像しがちだがこの作品はそれとは対極にある。

まず設定からして暗い。スペイン内乱を舞台に、残虐な大尉と再婚した母に連れ添い、ファシストと反乱分子が殺しあう山奥にやってきた少女オフェリア。ゲリラとファシスト、ファシスト陣営のスパイをめぐる緊迫した物語の合間を縫ってオフェリアの幻想が展開する。

拷問シーンをはじめ大人たちの闘いもかなりショッキングな暴力に満ちていて心臓バクバクものだったが、オフェリアの幻想もさらに悪夢のような陰惨さで充満している。(大尉でなく本当の)父の命を奪い、母と自分を脅かす戦争がオフェリアに及ぼす影響がダークな心象風景として描写される映像表現はかなりすごい。ギレルモ・デル・トロはノーマークでしたが一発で気に入った。一見やりつくされた題材をまったく独自の視点で構築できる才能はそうそうあるものではないと思う。
「ヘルボーイ」も借りようと思ったがレンタル中だったのが惜しい。


posted by onion_slice at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | SF・ファンタジー
2008年07月06日

セレニティー

アメリカのTVシリーズの映画化作品。

500年後の未来、「アライアンス(連合)」という全体主義的レジームが支配する宇宙を舞台に、何でも屋的な仕事請負で生計を立てる宇宙船クルー。アライアンスから逃げてきた謎の17歳の少女をかくまうことで陰謀に巻き込まれていく。

ストーリーは正統派なんだけど、正統派すぎて図式が見え透いてしまうのが欠点。後は役者がやはりコテコテのTV系なのでつらい。
登場人物が英語と中国語?の二ヶ国語を話したり、「ブレードランナー」っぽいエキゾチックな雰囲気はなかなかよい。繁華街のシーンとかもう少し映してほしかった。TVシリーズではもっと登場するのだろうか。

ウィンブルドン決勝を見るので感想はこれぐらいで。というか、これぐらいしか感想がない。


posted by onion_slice at 22:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | SF・ファンタジー
2006年02月10日

チャーリーとチョコレート工場(2005,米)

子供向けのファンタジーながら、ティム・バートンらしいマニアックな演出があちこちちりばめられてて、大人が見ても楽しめるようにできてる。とくに、天才ショコラティエ、ウィリー・ウォンカ(ジョニー・デップ)の人間嫌いの皮肉っぽいキャラクターと、工場で働く謎の小人ウンパ・ルンパのミュージカルは面白い。

とはいえ、工場の中での奇想天外な遊園地アトラクション・シーンはさすがに飽きてもくる。5人の子供のうち4人が一人ずつレースから脱落していく展開もマンネリすぎ。でも、原作がそういうものであり、子供向けのおとぎ話なのでそんな野暮なことを言うのはやめよう。

ダニー・エルフマンのスコアはなかなかよいです。

posted by onion_slice at 15:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | SF・ファンタジー
2005年10月15日

ビッグ・フィッシュ(2003,米)

監督ティム・バートン。出演ユアン・マクレガー、ジェシカ・ラング他。

ゴシックめなホラー調コメディというのがティム・バートンの基本的なスタイルだけど、「ビッグ・フィッシュ」はそれとは違ってかなりオーソドックスなファンタジーだ。
ストーリーは、ほら吹きの父親エドワード・ブルームと相容れない息子が、父の死に目に彼の過去について嘘ではなく真実の話を聞き出そうとする過程で、だんだんほら吹き親父の偉大さを発見していくというもの。

荒唐無稽なほら話を描く大仕掛けの特撮が面白い。巨人とともにアシュトンの街を出て、森の中の幻の街で裸の女の姿をした魚を見、サーカスで妻となる女に出会い3年越しにアタックした直後に徴兵され、ベトナムで危険な作戦を遂行し、アメリカへ帰還して旅回りのセールスマンをして家を築き、今は死の床について、小さい頃魔女の目の中に覗いた自分の死に方が来るのを待っているエドワード・ブルームの人生が遊園地のアトラクション的に展開される。
巨人演じるマシュー・マクグローリーは229cmだが、特撮使ってるのでさらに巨人に見える(この人、つい最近死んでしまいましたね)。それから、ベトナムの、一対の脚を共有する双子女性も、最後のシーンで親父のほらを証明するごとく別々の体になってるという特撮は面白い。

親父と息子の結びつきをバートンならではのファンタジーあふれる演出で描いた、ストレートに泣ける映画です。おすすめ。

posted by onion_slice at 14:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | SF・ファンタジー
2005年10月01日

リベンジャーズ・トラジディ(2002,英)

「シド・アンド・ナンシー」のアレックス・コックスが監督。

ストーリーは近未来のリヴァプールを舞台に、街を牛耳る独裁者デュークにかつて婚約者を殺され姿を消した主人公ヴィンディチが復讐のため戻ってくる話だ。

近未来のヴィジョンがコックスらしく、キッチュでパンキッシュなショットで描かれていてかっこいい。同じイギリスの監督であるデレク・ジャーマンの傑作「ジュビリー」を思わせるアナーキー感覚にあふれてる。

悲劇のヒーロー、ヴィンディチを演じるのは、「28日後」のキレた少佐役が印象的なクリストファー・エクレストン。デュークの5人の息子に近づき、彼らを操りながらデュークを仕留めるチャンスを窺う陰謀家の姿は、悲劇の主人公というよりは、「オセロ」のイアーゴ的な存在だが、タイトル通り、最後は悲劇的結末が彼を待っている。

特にラストシーンがめちゃくちゃかっこよくて、久々に鳥肌が立った。やるぜ、コックス。これは見るべし。

posted by onion_slice at 21:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | SF・ファンタジー
2005年05月22日

ゴッドディーバ(2004,仏)

ユーゴスラヴィア生まれでフランスに亡命した、バンドデシネ(フランスのビジュアル・コミック)のスポークスマンである エンキ・ビラルの監督した三作目で、原題は"Immortel(ad vitam)"。
ビラルのコミックは読んでないが、彼の撮った二作目「ティコ・ムーン」は見た。コミックの分野で相当もてはやされてる作家の作品ということで期待してたが、中身は凡庸なSFだった。
本作もあまり期待しないで見てみると、やはり大したことない。

まずストーリーがわかりにくい。2095年のニューヨーク、空中に浮かぶピラミッドでエジプト神話の神々(アヌビスとバステト)が仲間の一人ホルスを裁いている。ホルスは反逆の罪で不死を奪われるが、7日間だけ人間の世界で暮らすことを許される。ホルスは、遺伝子を操る会社らしき「ユージェニクス」に反乱する青年ニコポルの身体に乗り移り、ミュータントだかエイリアンだかわかんないが青い髮の女ジルと交わり子孫を残そうとする。

まあ原作読むか、もう一回DVD見るかしないと何が言いたいのか不明な話ではあるが、とにかく「1984」的な超管理社会のヴィジョンと神話を結びつけるのはSFのよくある手口という気がする。
ストーリーは置いといて映像だが、確かにコンピュータグラフィクスの粋を究めた緻密な世界が描かれている。主役数人以外のキャラが全員CGというのも野心的ではある。 でも、「ああ、よく作ったね」で終わってしまうその程度のものだ。TVゲームの世界から抜け出るものじゃなく、映画として血が通ってないように思う。
デジタル全盛になって映画が特殊効果に依存するようになるのを批判する気はない。やはりフランスで作られた「ヴィドック」みたいに面白い視覚的エフェクトをもつものもあるし、いろんな可能性はあると思うが、「ゴッドディーバ」は単にコンピュータ上でつくられた作品で閉じている気がするね。

主役のジルを演じる1992年のミス・フランスに選ばれたリンダ・ハーディも、女優の演技ではなくせいぜいファッション・モデルのうすぺっらい存在感しかなく、なんだかピンとこない。

作者の宗教的な自己陶酔と、紋切型のフューチャリスティックなヴィジョン以外に見るべきところのない、つまんないサイバーSFでした。
posted by onion_slice at 21:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | SF・ファンタジー

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