2010年01月23日

刑事コロンボ「ビデオテープの証言」

原題"Playback"(1975)、出演オスカー・ウェルナー、ジーナ・ローランズ。

電子機器会社の女会長マーガレット・ミーダスは、社長であり娘婿であるハロルドの性格と経営手腕のなさに愛想をつかし、実の息子アーサーを新社長にすることを決意。それを聞いたハロルドはマーガレットを殺し、家の防犯カメラを使ったアリバイトリックを仕組む。

当時としてはハイテクの最先端のようなエピソードだったんだろうか。防犯カメラ、音に反応して自動で開くセンサ付ドア、階段と並行する車椅子専用の可動式スロープを備えたガジェット屋敷。そしてハロルドが見せびらかすデジタル腕時計。

ハイテクを扱った作品は十年以上経つと見るに耐えなくなるのがつらいところで、「愛情の計算」にしても本作にしてもアリバイトリックは今の人なら誰もが瞬時にわかってしまう。

ただ、そのトリックの暴き方は魅力の色あせないコロンボらしい推理力が発揮されているので満足のいく内容だった。

犯人の視点から始まり、刑事の視点に切り替わる構成をもつ一本の推理ドラマとして見ている側にとっては、事件の点と線は気持ちよくつながるわけだが、実際の現場で複数人のあやふやな時間証言・目撃証言や、分断された状況証拠をつなぎあわせて事件の真相を暴き出すのは尋常でない頭脳を要すると思う。しかも、コロンボみたいにほぼ一人でやり遂げ、犯人へのプレッシャーのかけ方も心得ている刑事というのは、現実のおまわりさんの中でどれぐらい存在するんだろう。

それにしてもフォークとオスカー・ウェルナー、ジーナ・ローランズの3ショットは贅沢だった。ローランズが夫の悪事を知ったときに涙を流すラストショットはかなり心を打つ。

エピソード満足度:7/10
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2010年01月16日

刑事コロンボ「第三の終章」

原題"Publish or Perish"(1974)、出演ジャック・キャシディ、ミッキー・スピレイン。

ベストセラー作家アラン・マロリーが自社との契約を打ち切り、ライバル社から新作を出すことを知った出版社社長グリーンリーフ。爆弾製造マニアの男を操りマロリーを殺させ、自らは犯行時刻に自動車事故を起こすことでアリバイ工作し完全犯罪をもくろむ。

久しぶりにトリック面で見ごたえのあるエピソードだった。自分を犯人に仕立てて陥れようとする者がいるという状況を段々演出し、最後にその者を事故に見せかけて殺し、警察の自分への嫌疑を晴らさせようとするという、作中のベストセラー作家も顔負けの構想力だ。鍵を使った複雑な仕掛けは頭の中がごちゃごちゃになってくるけど、ヒッチコックの「ダイヤルMを廻せ!」に通じる古典的な犯罪トリックの醍醐味が感じられてとても面白い。

この冷酷な知性をもつ犯人役は、「構想の死角」でもおなじみのジャック・キャシディ。ギラついた悪人面がよい。殺される作家を演じるのは探偵マイク・ハマーの作家ミッキー・スピレイン。爆弾青年もサイコなオーラがばんばん出ていて名演だ。

そして次回放映は、オスカー・ウェルナー&ジーナ・ローランズというすんごい組み合わせ。楽しみで仕方ない。

エピソード満足度:8/10
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2010年01月09日

刑事コロンボ「愛情の計算」

原題"Mind Over Mayhem"(1974)、出演ホセ・フェラー。

シンクタンク所長ケーヒルは、息子の研究業績が他人の成果を横取りしたものであることをかぎつけた知り合いの化学者の口を封じるため、強盗に見せかけて殺人を冒す。

ロボットをアリバイに使うのがポイント。天才少年の知恵を借りて偽装アリバイの仕掛けに気づくコロンボだが、犯罪を裏付ける肝心の物的証拠に欠く。最後はお得意のブラフで知性の高い犯人を降伏させる。

犯行現場に残されたマッチ棒を見たときにほとんど犯人像を絞っていたというコロンボの観察能力がすごいのと、最後の嵌め技がコロンボのブラフの中でもかなりダーティなのと、なかなかの良エピソード。犬とか天才少年とかロボットとかキャラに色彩もあって面白い。

エピソード満足度:7/10
posted by onion_slice at 21:03 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年12月19日

刑事コロンボ「毒のある花」

原題"Lovely But Lethal(1973)"。出演ヴェラ・マイルズ、マーティン・シーン、ヴィンセント・プライス。

化粧品会社の女社長ヴィヴェカ・スコット。かつての恋人で会社の研究者である青年カールに、共同経営者にしない限り新開発した皺取り薬の分子式を競争会社に売り渡すと脅迫を受け、衝動的に顕微鏡でカールを殴りつけ死なせてしまう。

トリックやアリバイ工作は特になく、単に殺しの動機・証拠を追いかけるだけの捜査展開で、コロンボVS犯人の対決の面白さも決して並以上のものではないが、出演者の豪華さに驚きだ。「地獄の黙示録」のM・シーンが被害者役で、犯人役が「サイコ」「捜索者」のヴェラ・マイルズ、競合会社の社長役にロジャー・コーマン系列の怪奇映画等に出ているヴィンセント・プライス。特にヴェラ・マイルズは当時40代半ばだがさすがの美貌。高飛車な感じの中にふわっと見せる媚びた感じの表情が素晴らしい。

2009年放映のエピソードはこれで完了。1月から始まり欠かさず見るだけでなくブログに記録することができた。あと20話ちょいですか。

エピソード満足度:7/10
posted by onion_slice at 20:42 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年12月12日

刑事コロンボ「断たれた音」

原題"The Most Dangerous Match"(1973)。出演ローレンス・ハーヴェイ。

プライド高いチェスプレイヤー・クレイトンが、チャンピオン戦の前に対戦相手と試合して負け、本番でも敗れる恐怖に襲われホテルのゴミ処理施設に相手を投げ込み殺害を図る。

ここで殺害が完遂しないのがこのエピソードの特徴的なところ。犯人は相手が重体ながら生きていることを知り、トドメを刺しに来る。そしてトドメを刺しに来る手法がチェスの名手ならではの高等テクニックで面白い。

知性の高い犯人に対して、コロンボの実証主義的アプローチに基づく推理がぶつかる(レストランで行った塩と胡椒の瓶でのチェスで、どっちが胡椒=負けたはずの黒のプレイヤーだったかをほのめかすシーンは素晴らしい)。犯人を追い詰めるが、証拠がないためチェックメイトにできない。チェックメイトとなる状況はコロンボ得意の偶然による閃きから得られ、終局に向けて一気に攻めの手が続く。

これぞコロンボという、かなり正統派な対決パターンだった。

ちなみにwikipediaによると、ローレンス・ハーヴェイは撮影時胃癌が進行していたそうで、あの異様な苦悶の表情もうなずける。それから、ハーヴェイの娘はトニー・スコットの「ドミノ」でキーラ演じる主人公ドミノだそうだ。

エピソード満足度:8/10
posted by onion_slice at 21:07 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年12月05日

刑事コロンボ「美食の報酬」

原題"Murder Under Glass"(1978)、出演ルイ・ジュールダン、シーラ・ダネーズ、マコ岩松。
演出はあのジョナサン・デミ。

料理評論家ポール・ジェラードは、レストランに対する評価と引き換えに大金を巻き上げ、オーナーたちの恨みを買っている。オーナーの一人に悪事をばらすと脅され、ワインに毒を仕込み殺害する。

トリックはまあ普通。多数あるワインから殺害相手が選ぶものを予知はできないから必然的にグラスか栓抜きということになる。トリック暴きも目だった面白さはなく、どちらかというと対決重視のエピソードか。

事実、ルイ・ジュールダンの演技はよい。疑われても取り乱さず平然と紳士的に振舞うくせに、アリバイをくずされそうになると大胆にコロンボまで毒殺しようとする冷徹さを備えている。このへんの人物描写はさすがハンニバル・レクターを世に出した監督といったところか。秘書を演じるフォークの妻ダネーズの色気もよい。

フグの毒ということで、日本がけっこう出てくる。マコ演じる日本の料理人の名が小津健二だが、明らかに小津安二郎+溝口健二だろう。

栓抜きにカートリッジはピンとこなかったが、調べるとガス式ワインオープナーは普通らしいですね。ほしくなってきた。

エピソード満足度:7/10
posted by onion_slice at 20:36 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年11月29日

Lost season 5

前半のオーシャニック6が島に戻るまでの決意をするくだりは、戻る動機付けが必ずしも説得力に富んでいるわけでなく、いつものようにベンジャミンに操られよく分からんが何となく戻らなきゃならないみたいな流れになっていて正直グダグダ感を感じたが、後半からのテンポアップで挽回してくれた。

これまでのシーズンで意地悪く宙吊りにされてきた伏線が猛烈な勢いで回収されていくのが心地よく、数年間待たされた苛立ちも半分ぐらいは雲散霧消した。

その代わり、1974−77年、2007年の二つのタイムラインで次々にジャック達、ダーマ、アザーズ、316便で墜落した連中を巻き込んで進行するプロットが恐ろしく複雑かつ謎に満ちていて、また頭に新たなもやもやの種を蒔いてくれるわけだが、シーズンフィナーレに向けた仕込みとしては満足のいく内容だった。これだけ待ったんだから、全容解明まであと1年ぐらい待てる。

しかしAXNの無駄なもったいぶり感ときたら。
最後の総集編「時を越えた旅」、5のフィナーレ前後を1時間ずつ区切って3週間も引っ張るやり方にはさすがに辟易した。


posted by onion_slice at 23:35 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年11月28日

刑事コロンボ「意識の下の映像」

原題"Double Exposure"(1973)、出演ロバート・カルプ。

心理学のエキスパートで企業のプロモーション活動を手がけるケプル博士が、取引先の社長と仲たがいをし契約破棄をちらつかされ、販売促進ビデオ試写の機会を利用し殺害する。

サブリミナル効果による無意識への働きかけは、当時はたぶん斬新なトリックに感ぜられたと思うのだが、36年後の今見るとさすがに何の驚きもない(子供のころMMRで最初に知ったときはかなり衝撃だったのだが)。
コロンボがサブリミナルを逆に利用して犯人を嵌める結末もうーんという感じだ。というか、ランプの中ぐらいは調べてもよさそうなもの。

しかしロバート・カルプの演技は安定した魅力があり、コロンボとの対決の面白さは見ごたえがあった。

エピソード満足度:6/10
posted by onion_slice at 20:59 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年11月21日

刑事コロンボ「逆転の構図」

原題"Negative Reaction"(1974)、出演ディック・ヴァン・ダイク。

口やかましい妻に尻に敷かれている写真家ガレスコが狂言誘拐を仕組み、妻を殺したあと、刑務所から出所したばかりの知り合いの青年を犯人にでっちあげる状況証拠をつくってから彼も殺害する。

冒頭から続けざまに2人殺して、さらに誘拐を真実に見せるため自分の足を拳銃で撃つ犯人のクレイジーぶりがイカスわけですが、それ以降の犯人像が残念ながら段々薄くなり対決にいまひとつ緊迫感が欠けている印象がある。

そうはいってもトリック暴きはなかなか面白く、決定的な物的証拠はないままどうやってお縄にするんだろうという状況で不意打ちのように飛び出すコロンボお得意のブラフによる嵌め技には快感すら覚える。

また、本線にはあまり関係ないがちょこちょことユーモラスな人物描写が出てくるのが印象的な回だ。犯行の重要な証拠につながる鍵となる現場を目撃するも、酔っ払って何も覚えていない浮浪者、浮浪者向け施設に入ってきたコロンボを浮浪者の一人と信じ込むシスター、コロンボの運転に汗かきまくりの神経質そうな教習所の先生。不動産屋やスタイル抜群の撮影助手もいい味だしている。

エピソード満足度:7/10

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2009年11月14日

刑事コロンボ「パイルD-3の壁」

原題"Blueprint for Murder (1972)",出演パトリック・オニール。

建築家エリオット・マーカムは自分の才能にほれ込んでいる事業家ウィリアムソン夫人と先進的な都市開発プロジェクトを立案するが、ヨーロッパから戻ったウィリアムソンは自分に相談なく勝手に計画を進めるマーカムに激怒し、出資を引き上げると警告。マーカムはウィリアムソンを殺し失踪したように偽装し、彼の財産を夫人が自由に使える状況を作り出し計画を再開させる。

謎めいたタイトルはD-3という名のついた建築用パイルを意味していて、その中に埋められた疑念のある死体をめぐるストーリーになっている。
今回は物理的なトリックがとくにあるわけではなく、犯人が心理的な操作でコロンボをミスリードしようとして、いかにコロンボがその裏をかいて犯人を嵌め込むか、という対決の構図の方に力点が置かれている。

事実、コロンボ対建築家の対決はなかなか緊迫感がある。序盤からすでにコロンボはあなたを疑ってますよ的な姿勢全開だし、犯人も疑われていることを認めると、死体を探せるなら探してみろと逆にコロンボを挑発する。やはり心理的あぶり出しで決着をつけるひとつ前のエピソード「死の方程式」同様に70分枠で短い対決ではあるが、対決の密度は濃い。

それからP.フォークが演出した唯一のエピソードでもある。

エピソード満足度:6/10

posted by onion_slice at 20:46 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年11月07日

刑事コロンボ「死の方程式」

原題"Short Fuse"(1972)、出演ロディ・マクドウォール、アイダ・ルピノ。

化学製品会社の創業者の息子ロジャーはろくに仕事をせず写真に興じたり社長の秘書に手を出す毎日。会社の譲渡を考えている社長はロジャーの存在を疎ましく思い、切り捨てることを決意するが、逆恨みしたロジャーは社長の車に手製の爆弾を仕掛け殺害する。

似たような構図は他のコロンボ・エピソードで何度か見たような。ということでストーリー的には少し飽きるといいたいが、1972年とかなり初期の作品でありこの手の経営者vsボンクラ青年パターンは登場順序としては初なのだろう。

トリック的にはいたって普通。葉巻のすり替えぐらいか。コロンボもどうみても本気モードではない。得意の「あともう一つ」による心理的な追い込みもほとんど使っていない。青年のパッパラパーかつ激しやすい性格を観察しどうすればおとせるかをさっと見抜き、70分ちょいの短い尺であっさりとお縄となった。

最後のブラフもいろんなところでよく目にするあぶり出しパターンな気がするのでとくに感動はなし。

エピソード満足度:5/10
posted by onion_slice at 22:25 | Comment(2) | TVシリーズ
2009年10月31日

刑事コロンボ「アリバイのダイヤル」

原題"The Most Crucial Game"(1972)、出演ロバート・カルプ。

フットボールクラブのマネージャが酒と女浸りの生活をする青年オーナーを殺し運営権を手中に収めようとする。

犯人(と被害者)が対立する人物から電話に盗聴を仕掛けられて、それを逆手にとって電話記録によるアリバイをつくるというアイデアはなかなか面白い。そしてその電話記録に当然入っているべき音が含まれていないという盲点をつき、アリバイを崩すコロンボの推理力はさすが。

ロバート・カルプのイラつきやすい犯人を表現する細かい顔芸も見所。

全く関係ないが二日酔いがひどくこれ以上長い文章は書けない。大分収まりはしたが、かつて体験したことない地獄で、8、9時間頭痛と熱と寝汗との闘いであった。この先、二度とウォッカは飲まないことにした。

エピソード満足度:6/10
posted by onion_slice at 22:14 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年10月24日

刑事コロンボ「溶ける糸」

原題"A Stitch in Crime" (1973)、出演レナード・ニモイ。

外科医メイフィールドは共同研究者で医学会の権威であるハイドマン博士の心臓病手術を担当することになる。博士の研究業績を引き継ぎ自らが権威となるため、時間が経つと消え去る特殊な糸を使い手術後しばらくして心臓機能に障害を起こすよう仕組みハイドマンの殺害をもくろむが、看護婦シャロンにかぎつけられる。計画を邪魔されそうになったメイフィールドはシャロンを殺害する。

レナード・ニモイの腹黒そうな感じがよい。ハイドマン殺害未遂と、シャロン、シャロンの元恋人殺害とスピーディに犯行を重ね、コロンボの追求にも臆すことなく堂々としらばっくれる。メイフィールドの犯行に確信をもつコロンボだが、ハイドマンはまだ生きているので、シャロン殺害の裏にかくされた動機を見つけられず追い詰められる。

「自縛の紐」と並んで、犯人に激怒するコロンボが見れるわけだが、「紐」「糸」と似たような小道具使ってる意味でも兄弟のような作品だ。

やはり旧シリーズは作品の構成力がしっかりしていて、新シリーズの気の抜けた雰囲気とは比べ物にならない。

エピソード満足度:8/10
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2009年10月10日

刑事コロンボ「別れのワイン」

原題“Any Old Port in a Storm”(1973)、出演ドナルド・プレザンス。

ワイン醸造会社の経営者エイドリアン・カッシーニは利益追求よりも妥協のない良質のワインをつくることに専心している。弟であり会社の実質上のオーナーであるリックは金儲けのことしか頭になく、経営権を安酒製造会社に売ると言い出し、逆上した兄に殺される。

トリックが複雑なわけではないが、言葉による説明があまりないので、エイドリアンが弟を殴った(この時点では死んでいない)後で死なせる場面をよく頭にインプットしておかないと、高温で駄目になったワインがなぜ殺人の立証につながったのかがさっぱりわからなくなる恐れがある。要は密閉されたワインセラーだから空調を切ると酸素供給が断たれるということで、エイドリアンほどワインの品質にうるさい人物が1週間もの旅行のあいだ空調を切るという暴挙に出るには理由がなくてはならない、というのがコロンボの状況証拠による追い詰めのキーファクター。

この推論をつきつけて自白を余儀なくさせるには何らかの仕掛けがなくてはならず、それがセラーにわざと閉じこもってくすねた(駄目になった)高級ワイン。この仕掛けだけでも素晴らしいんだが、これを考えつくために、コロンボが短時間でワインについて猛研究し、ワインをこよなく愛する犯人の性格も研究するというさらに入念な伏線が練られていて感動した。コロンボの直感と実証主義知識と敵を知り尽くす精神、それからずる賢さがフルに発揮されたクオリティの高い作品だと思う。

エピソード満足度:9/10(もう少しトリック暴きで説明があれば満点なのだが)
posted by onion_slice at 21:09 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年10月03日

刑事コロンボ「黒のエチュード」

原題"Étude in Black (1972)"、出演ジョン・カサベテス、ブライス・ダナー。

天才指揮者アレックス・ベネディクトはオーケストラの女性ピアニスト・ジェニファーと不倫をしているが、ジェニファーは二人の関係を公にすると言いだす。オーケストラを所有する財団の理事である義母の怒りを恐れたアレックスはジェニファーを自殺に見せかけ殺害する。

犯人役はフォークの大親友カサベテス。この二人の掛け合いを見ているだけで、エピソードが凡庸でも十分楽しめる。惜しいのは、本作のカサベテスの人物像がクールすぎることか。少しちゃらいぐらいのジョンが好きだ。それと吹き替えの声がオリジナルとかけ離れすぎてものすごい違和感を感じる。録画したのをサブ音声再生するといつものジョンの声で安心したが(当たり前だ)、これだけの役者につまらん吹き替えつけるセンスのなさに驚いた。まあいいや。

指揮者の妻役ブライス・ダナーはグウィネス・パルトロウのかーちゃんだ。ちょうどこの作品の放映年にグウィネスが生まれている。透き通った感じの眼とかけっこう似ている。

エピソード満足度:8/10
posted by onion_slice at 21:13 | Comment(1) | TVシリーズ
2009年09月26日

刑事コロンボ「もう一つの鍵」

原題"Lady in Waiting"(1971)、出演スーザン・クラーク、レスリー・ニールセン。

広告会社の社長である兄から、同じ会社の社員との交際を反対された妹が強盗と間違えた正当防衛に見せかけて兄を殺害する。

コロンボではあまり類を見ない正当防衛としてカムフラージュされた殺人。被疑者が殺しをやったことは認めているので、問題は殺意があったかどうか。殺したという状況は明確だが、そこに殺意があったのかを示す物的証拠が皆無である以上、犯罪の立証が難しいケースだと言える。最終刷りの夕刊という状況証拠はあるが弱い。そこでコロンボが利用したのが、容疑者の証言に含まれる事件のディテールの順序と、目(耳?)撃者が語る事件のディテールの順序との食い違い。

この証言の食い違いで容疑者の有罪性に行き着く過程は、数学の論理命題を解いたときのようなすっきり感がある。

犯人役の女もなかなかセクシーで味があってよい。性格の悪さゆえに、コロンボに仕留められるときのカタルシスも大きい。レスリー・ニールセンは共犯者ですらないのでどうもぱっとしないが。。

それにしても来週はいよいよ。いよいよ「黒のエチュード」。ついにカサベテスか。放映開始以来はや9ヶ月。この日を待っていた。録画必須の永久保存版だ。旧時代の化石のようなアナレコしかなくHD記録できないのが心から苦しい。年末にBlu-Ray付HDレコーダ購入予定だったが、その前に放映とは。。

エピソード満足度:7/10
posted by onion_slice at 20:41 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年09月19日

刑事コロンボ「殺しの序曲」

原題"The Bye-Bye Sky High I.Q. Murder Case"(1977)。出演セオドア・ビケル。

会計事務所の共同経営者でもある親友に金の横領をかぎつけられたことから強盗に見せかけ殺す男。

犯人はIQが最高に高いメンバーから構成される社交クラブに所属しているという設定で、それにふさわしくトリックは確かに難解だ。OPである程度ヒントを見せられているのにも関わらずどうやって時間差をつくったのかがピンと来なくて、コロンボと一緒に最後まで追って種明かしされてようやく理屈は分かった。

被害者が死ぬ前にかけたレコードプレイヤーが曲の途中から再生するようになっていたこと、分厚い辞書が床に落ちていたこと、この二点の乏しい状況証拠からトリックの概要を推測していき、二発の銃声の間の人が倒れる音をどう発生させたか、というどうしても解明できないミッシングリンクは犯人自らに埋めさせるよう失言をリードしていくコロンボの捜査能力は、IQ高い知能犯を出し抜く知性だけでなく、犬が嗅覚だけで獲物を追い詰めるようなどこか本能的な特性に裏打ちされているように思う。

惜しいのは時間が他のエピソードに比べて20分ぐらい短いせいか、トリック暴きがやや急ぎすぎな気はする。複雑なトリックだけに、見終わってもいまひとつ消化不足感が残る。むしろ、天才犯人‐警部の頭脳対決の密度の濃さを印象付けるため、あえて凡庸な視聴者を置き去りにしてこういう釈然としない感を演出するのが狙いなのかもしれないが。

偽金貨を秤1回で見破る小話だけはすっきりした。これは覚えておいて小ネタに使う価値ありです。

エピソード満足度:7/10
posted by onion_slice at 22:39 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年09月12日

刑事コロンボ「二枚のドガの絵」

原題"Suitable for Framing"(1971)、出演ロス・マーティン、キム・ハンター、ドン・アメチー。

美術評論家が、膨大な絵画コレクションを有する富豪の叔父を殺し財産をせしめようとする。

新シリーズ最終話(2003年作)の後で32年タイムスリップして見るコロンボはさすがに若い。といっても40代半ばだが。あの、とぼけたたたずまいに潜む野生的な知性、危なかっしさがたまらない。

犯行のトリック自体はいたって普通の、共犯による時間を利用したアリバイ工作でしかないが、最後の犯人の嵌め方が痛快すぎる。絵の額縁(frame)と、嵌める(frame)を兼ねたダブルミーニングのタイトルがまったく憎らしい。

エピソード満足度:7/10
posted by onion_slice at 22:02 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年09月05日

刑事コロンボ「殺意のナイトクラブ 虚飾のオープニング・ナイト」

原題"Columbo Likes the Nightlife"(2003)、出演マシュー・リス、ジェニファー・スカイ。

事実上最後のエピソード。初回から30年以上経過しており、いまだに「警部」のままだ。が、あんだけ難解な殺人事件解決しまくって出世しないのかよ、との突っ込みはご法度。死体の口に鼻つっこんでマウスウォッシュの痕跡をかぎつけ、手入れされた足の爪チェックをして、自殺に偽装された他殺を暴く徹底した現場主義を忘れてフカフカの警察署長チェアーに座っているコロンボなんて想像する気にもならないからだ。

最後まで小汚いレインコートを着て、本人は希少なクラシックカーと言っているがどうみても安っぽいポンコツ車で犯人の家に乗りつけ、とぼけた口調で「あともうひとつ」を繰り返してねちねちとアリバイ崩しにかかるコロンボ警部は、無数の税金泥棒公務員であふれた官僚機構もつまらん出世人生も超越した個人としての圧倒的な格好良さ、スタイルを提示してくれる。

最後のエピソード自体は凡作+αぐらいの出来だったが、もうコロンボとして画面に出ることはないだろうP.フォークには本当にお疲れさんといいたくなる独特のせつなさがあった。

関係ないが、LOSTのハーリー役のホルへ・ガルシアが出ていたようだ。
後から知ったが、クラブのドアマン役。最後にマシュー・リスに会いにくるジェニファー・スカイを押しとどめる太い人。

というわけでいよいよ来週から旧シリーズカムバックか!最初数話だけ旧シリーズ放映してその後半年新シリーズ流し続けるというNHKのわけわからんじらしプレイには正直かなり参った。あのサブ音声切替禁止というこれまた理解不能なシバリも即刻解除してコロンボの肉声を聞けるようにしてほしい。

エピソード満足度:6/10
posted by onion_slice at 21:15 | Comment(0) | TVシリーズ
2009年08月22日

刑事コロンボ新シリーズ・ベスト&ワースト

1989年〜1999年までの新シリーズを一通り見たので個人的なベスト、ワーストを決めておく。現時点でまだ未放映である2003年の「虚飾のオープニングナイト」は省く。

◎ベスト・エピソード

1.「殺人講義」(1990)
金田一くんっぽいトリック暴きショーがたまらない
 
2.「復讐を抱いて眠れ」(1998)
マクグーハン、最後の演技、そしてフォークとの最後の対決

3.「かみさんよ、安らかに」(1990)
コロンボの妻の毒殺未遂プロットが変り種で面白い。結局コロンボ妻が最後まで登場しないのは残念か(だがリアル妻は他のエピソードで見れる)

次点:「殺意の斬れ味」(1997)「4時02分の銃声」(1993)「迷子の兵隊」(1989)

◎ワースト・エピソード

1.奇妙な助っ人(1995)
退屈死するかと思うほどのグダグダ感

2.影なき殺人者(1991)
お面て。。

3.犯罪警報(1991)
よく覚えてないが。

◎ベスト・トリック
「殺人講義」

◎ベスト犯人
パトリック・マクグーハン「復讐を抱いて眠れ」「完全犯罪の誤算」
次点パトリック・ボーショー「殺意のキャンパス」

◎ベスト助演
リアルかみさん(シーラ・ダニーズ)「殺意の斬れ味」「殺意のキャンパス」「死を呼ぶジグソー」「影なき殺人者」
posted by onion_slice at 13:55 | Comment(0) | TVシリーズ

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