2010年01月04日

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程

監督・若松孝二。2007年日本。

60年代後半の学生運動から極左団体が生まれ、もはやイデオロギー闘争からかけ離れた山岳ベースでの暴力事件、それに続くあさま山荘立てこもりに発展した過程を「総括」した映画。

役者一人ひとりが役にかける尋常でない意気込みがギラギラ伝わってきて、最近の邦画を席巻しているTV企画の延長作品に出ているようなゆるい俳優たちとは一線を画している。とくに山岳ベース事件のシーンでは、森恒夫・永田洋子を筆頭とする連合赤軍メンバー内の狂気に圧倒される。

また、このシーンで何十回と繰り返される「総括」という言葉が、革命思想上の立場からの自己批判という意味合いから段々乖離して、リンチや処刑のトリガー・フレーズとなっていくのがなんとも不気味な演出だった。今後、「総括」という言葉を聞くたびにあの情景が蘇りそうだ。

しかし映画としてのテンションは山岳ベースをピークに下降してしまう。残念なことに、肝心のあさま山荘立てこもり自体にあまりインパクトがない。ちょっと青春ドラマっぽいテイストの演出に傾いているのが気になる。ここだけなら当時のニュース映像の方がよほど緊迫感に満ちているんじゃないだろうか。


posted by onion_slice at 17:52 | Comment(0) | ドキュメンタリー
2008年10月05日

シッコ

いまだに国民皆保険すら導入できないでいるどこかの超巨大国家についてのドキュメンタリー。

保険未加入の国民が5000万人というだけで驚きだが、加入している2億5千万人についても皆がまともな医療を受けられるわけではなく、過去の細かい病歴を引っ張り出され保障を断られるなど、保険会社の利益追求により多くの病人・怪我人が泣き寝入りするほかない現状は悲惨の一言につきる。

ムーアによれば、この利益追求型医療保険モデルの源泉をたどると、大元には50〜60年代アメリカ政府の偏執的反共イデオロギーがあり、さらに、現代アメリカの捩れたヘルスケア制度のベースとなる法案成立前、側近の「より患者が受けるケアが少ないほど儲かるシステムなのです」との助言に「そいつはすばらしい」とか答えているニクソンの極秘会談がある。それから30年以上経ってもNO.1先進国とは思えない出鱈目医療制度は変わらないどころか、制度を変えないためにアメリカ政府・議会の要人たちが医療産業から多額のリベートをもらい、公職を退いた後は医療産業の重要ポストに天下りしているという徹底ぶりだ。

医療という誰もが公平にアクセスできるべきもっとも基本的な公共サービスでさえ、金のことしか考えない人たちに支配されているかわいそうな国に住むアメリカ国民に同情しつつ、何てアホな国家なんだ、と呆れながら見てたけど、日本も段々アメリカ型社会に近づきつつあることを考えるとぞっとする。将来小泉2号が現れて健康保険を民営化する、とか言い出さないとも限らない。

M.ムーアのドキュメンタリーには視点が一方的だ、とか色々批判もあるようで、確かに所々そう感じることもあるが、アメリカの歪んだ政治構造をぐさっと抉り出し問題を提示するラジカルな姿勢は図抜けている。医療保険すら受けられない弱者のようなアメリカ底辺の声をこれだけダイレクトに伝えることのできるドキュメンタリー作家は貴重な存在だと思う。日本にもこの人の亜流クラスでいいから出てきませんかね。


posted by onion_slice at 12:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドキュメンタリー

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